レジリエンス(耐障害性および回復力)の強化と9.5%の増益を達成して競争に勝つための8つの重要な戦略についてご紹介します。
リアルユーザー監視(RUM)は、アプリケーションのパフォーマンス管理においてエンドユーザーエクスペリエンスを測定するために使用される手法で、エンドユーザー監視、またはエンドユーザーエクスペリエンス監視とも呼ばれます。リアルユーザー監視は、エンドユーザーのタイミング、エラー、ディメンション情報をリアルタイムで受動的に収集して分析することで、Webサイトやアプリケーションのユーザーエクスペリエンスを可視化します。開発者はこれを使用して、自分のコードがどのようにページのパフォーマンスやユーザーエクスペリエンスに影響しているかなど、さまざまなパフォーマンスの問題を理解することができます。
リアルユーザー監視では可用性のみを測定するシンプルなアップタイム/ダウンタイムの監視とは異なり、カスタマーエクスペリエンスを包括的に把握できます。たとえば、eコマースのWebサイトで、ホームページは表示されているがコンテンツや画像の配信が遅い、またはユーザーのクリックやキー操作の処理に時間がかかるといったことが起こり、その結果ユーザーがページから離れてしまうことがあります。リアルユーザー監視は、Webサーバーが最初のHTMLドキュメントを送信した後のカスタマーエクスペリエンスをキャプチャします。この情報がなぜ重要かというと、エンドユーザーの待ち時間の80~90%は、バックエンドではなく、クライアント側(Webブラウザ)で発生するためです。
ユーザーエクスペリエンスを理解して最適化し、管理者が問題を常に把握することで最終的にビジネス目標の達成につなげるという目的から、リアルユーザー監視ツールの重要性はますます高まっています。以下のセクションでは、リアルユーザー監視の仕組みとその重要性、実際の導入方法について説明します。
アプリケーションパフォーマンス監視(APM)は、アプリケーションやWebサイトをスムーズかつ効率的に機能させるための手法です。APMツールは、アプリケーションのパフォーマンスと可用性を監視し、サービスが中断する可能性がある場合にアラートを発します。これらのツールは、さまざまな監視ソリューションを備えています。
最新のDevOps環境では、APMを使用することで、DevOpsチームがボトルネックをすばやく発見し、アプリケーションに関する問題のトラブルシューティングや切り分けをより簡単に行うことができるため、APMはソフトウェア開発プロセスの重要な一部となっています。
APMでのリアルユーザー監視の役割
デジタルエクスペリエンス監視(DEM)には、リアルユーザー監視と外形監視の両方が含まれており、ユーザーエクスペリエンスやページのパフォーマンスの測定、改善、最適化が行えることから、組織にとって重要な役割を果たしています。調査によると、パフォーマンスが非常によいサイトでは、一般的に収益やコンバージョン、ユーザーエンゲージメントが高いことが明らかになっています。
ほとんどの組織が、アプリケーションのエクスペリエンスは常に向上させていかなければならないということを理解していますが、その実践には苦戦しています。問題が発生してからアプリケーションのユーザーエクスペリエンスを改善しようとすると、多大な費用がかかることが少なくありません。Splunkの調査によると、パフォーマンスの低さが原因でアプリケーションの使用をやめたと回答したユーザーは90%に上っています。エンドユーザー監視では、Webアプリケーションの問題をエンドユーザーから直接教えてもらうのを待つのではなく、組織がユーザーのアプリケーションの操作やトランザクションを監視することで、アプリケーションのパフォーマンスをプロアクティブに把握することができます。
リアルユーザー監視と外形監視には、それぞれ利点と制限があります。外形監視は、実際のユーザーではなく行動スクリプトを使用するため、ユーザーに影響を及ぼす前に、潜在的な問題を発見し、修正するのに適しています。ただしこれは、実際のユーザーがアプリケーション内で見たりするものや行ったりすることの近似値でしかないため、現実世界のすべてのエクスペリエンスを把握できないという欠点があります。それに対して、リアルユーザー監視は、人間のユーザーがアプリケーションやサービスをどのように使用しているかを正確に表示します。しかし、問題に対処するためには、少なくとも1人のユーザーに対し問題が発生するのを待たなければなりません。
このような違いから、外形監視は、本番前環境でアプリケーションやWebサイトを監視し、本番前に問題を把握して、ベースラインとなるパフォーマンスを確立するのに最も効果的であるといえるでしょう。本番稼働後は、リアルユーザー監視を使用して、Webサイトやアプリケーションが実際のユーザーにどのように影響しているかを可視化することができます。
外形監視は、ユーザーフローをエミュレートする行動スクリプトでユーザーのトランザクションをシミュレートし、重要なエンドポイントやユーザージャーニー全体の可用性、機能の状態、パフォーマンスを測定します。この技術は、人工的なユーザーエクスペリエンスを段階的に進めていくため、プロアクティブな監視に分類されます。一方、リアルユーザー監視は受け身型の監視と見なされます。具体的には、外形監視は次のように機能します。まず、管理者(SLAのアップタイムを担当するチーム)が、いくつかのチェックポイントを定義し、パフォーマンスメトリクスを選びます。その後、ロボットクライアントが、アプリケーション内で事前定義されたユーザージャーニーをたどり、人間の行動を模したトランザクションをシミュレートして、ページの可用性(URLの反応があるか)、機能(すべてのボタンが動作したか)、パフォーマンス(ページリソースの読み込み速度)の情報を返します。通常は、重要なサービスのエンドポイントが停止した場合にアラートを通知するように設定して、インシデント対応をトリガーするようにします。
基本的なアップタイム(Webサイトは稼働しているか)、パフォーマンス(現在のサイトの速度はどのくらいか)、継続的なコードの改善(最近のリリースでユーザーエクスペリエンスが向上したか)など、さまざまな質問に対する答えを外形監視が収集する情報から得ることができます。
外形監視に固有の利点がいくつかあり、それによりチームは以下のことを行えるようになります。
外形監視はWebサイトやアプリケーションのユーザーエクスペリエンスを理解するための有効な方法であるものの、現実世界のすべてのシナリオをシミュレートできるわけではありません。そのため、Webアプリケーションを実際に使用しているすべてのユーザーエクスペリエンスを把握するには、リアルユーザー監視が必要となります。
リアルユーザー監視は、RUMツールを介してエンドユーザーのブラウザから直接、アプリケーションやWebサイトのパフォーマンスメトリクスを収集します。一般に、リアルユーザー監視プロセスは、JavaScriptのスニペットをWebページのヘッダーに追加することで機能します。リアルユーザー監視を導入すると、ページの読み込みにかかる時間や、サーバーが最初のHTMLファイルを送信するのにかかる時間など、Webサイトやアプリケーションのユーザーエクスペリエンスに関する重要な質問の答えを得ることができます。また、以下のような、より大きな動向についてのインサイトも得られます。
リアルユーザー監視ツールは膨大な数のユーザーから大量のデータを収集するため、一般に、チャートやグラフなどのデータの可視化機能で情報やインサイトを簡単に把握できるようにしています。また、ダッシュボードによって、ページの読み込み時間やトップページなどのメトリクスが直感的に理解できるかたちで可視化されます。各ユーザーセッションの詳細を確認し、特定のデジタルジャーニーのパフォーマンスが平均に満たななかった場合はその根本原因を探り、改善する方法をドリルダウンすることもできます。
リアルユーザー監視を最大限に活用するには、いくつかのベストプラクティスに従う必要があります。
リアルユーザー監視では、ユーザーデータを追跡、収集、分析するようにページを準備し、それらのデータをまとめて実用的なレポートを作成するために、サードパーティのソリューションを使う必要があります。リアルユーザー監視ツールの選択肢は無数にあるため、ツールを検討する際は、次の質問について自問してみましょう。
サービスを利用する顧客は誰しも、快適なエクスペリエンスを求めています。ページの読み込みが遅かったり、不完全だったり、あるいはトランザクションエラーその他の問題が発生したりすると、単にユーザーをいらだたせるだけでなく、ユーザーエクスペリエンスを台無しにして、自社のビジネスのイメージを永遠に損ねてしまう可能性があります。リアルユーザー監視は、他のツールにはできないかたちで、優れたカスタマーエクスペリエンスの実現を妨げる要因を明確にします。それにより、サイトやアプリケーションのパフォーマンスを最高度に維持することが可能になり、顧客のリピート率の向上につながります。
IT環境の監視を強化する
オブザーバビリティの3本の柱を実践して、ネットワーク全体の監視を強化しましょう。
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は850を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキスト(把握したい要素) に基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。
日本支社を2012年2月に開設し、東京の丸の内・大手町、大阪および名古屋にオフィスを構えており、すでに多くの日本企業にもご利用いただいています。
© 2005 - 2024 Splunk LLC 無断複写・転載を禁じます。
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