新たな規制の施行、生成AIの普及、国際情勢の緊迫化がサイバーセキュリティに与える影響を考察します。
[ETLを使用するプロセスで]エラーが発生したときに、その発生場所を特定するのが困難でした。Splunkを導入してからは、お客様も私たちも、問題をすばやく検出して解決できるようになりました
システム環境が複雑化、大規模化し、アプリケーションやビジネスプロセス間でのデータのやり取りが増えたことで、遅延が発生するとともに可視性が低下していました。その結果、SAP製品で同期されているマスターデータを利用するビジネスユーザーに悪影響が及んでいました。
オブザーバビリティプラットフォームとしてSplunk Cloudを導入し、Rojo Consultancy社製のSplunk App for Confluent KafkaとSplunk App for SnapLogicを利用する新しい統合戦略を取り入れたことで、データの遅延を大幅に低減しました。同時に、運用コストの大幅な削減、効率と拡張性の向上、顧客満足度の向上も実現しました。
Siemens社の1部門であるSiemens Digital Industries (DI)社は、産業用のオートメーションとソフトウェアの市場リーダーです。同社のソリューションは、人々の日常生活を陰で支えています。私たちが運転する車、料理に使う食品、近所の薬局で買う薬、衣類を洗う洗濯機、普段使っているスマートフォンなど、幅広い製品がSiemens DI社のソフトウェアやソリューションを使って製造または開発されています。現在では17万社以上の顧客が同社のソフトウェアを利用し、大量の産業用IoTデータを分析して、データに基づく意思決定を行っています。
Siemens DI社は、SplunkとRojo社製のSplunk Appを使って、組織のデータストリーミングエコシステムとIT関連のKPIを監視し、事業部門ごとのデータの利用量と利用間隔や、プラットフォーム全体の健全性とパフォーマンスを追跡しています。また、Splunkでビジネス関連のKPIを監視することで、世界各国にある営業拠点での業務を支援しています。Splunkの導入は、Siemens DI社がデータストリームを理解し、オブザーバビリティを構築するうえで重要な役割を果たしました。
Siemens DI社は顧客向けに、製品情報をやり取りするためのデータストリーミングサービス「Product Master Data Streaming (PMDS)」を展開しています。顧客はこのサービスを通じてデータを処理および利用して、他のシステムに転送します。Siemens DI社では、SnapLogicを使用して複数のソースのデータをデータストリームに統合し、そのデータストリームをConfluent Kafkaで処理していますが、データストリーム内の状況を把握できないことが課題でした。データエラーが発生した場合、その原因がSAPシステムにあるのか、顧客が独自に統合した他社製品にあるのかの判断が難しく、解決に時間がかかればパフォーマンスに悪影響が及びます。顧客には問題解決に役立つデータへのアクセス権がなかったため、Siemens DI社に解決を依頼するしか方法がなく、そのたびにSiemens DI社のチームがトラブルシューティングにあたる必要がありました。
「その対策としてまずは、Splunk Enterpriseを使って、統合パイプラインとイベントドリブンのプラットフォームの監視を始めました」と、Siemens DI社のPMDS担当シチズンインテグレーターであるAfonso Rodrigues氏は説明します。「ログに記録している20以上のメタデータフィールドを分析し、ダッシュボードに結果を表示しています。Splunkのおかげで、かつてない透明性が得られました」。SplunkプラットフォームとSnapLogicおよびKafkaを統合するためのSplunk AppがRojo Consultancy社から提供されていたため、Splunkを簡単に導入することができました。この統合により、社内のエコシステムに展開している各種のアプリケーションを1つの画面で監視できるようになりました。
[ETLを使用するプロセスで]エラーが発生したときに、その発生場所を特定するのが困難でした。Splunkを導入してからは、お客様も私たちも、問題をすばやく検出して解決できるようになりました
ETL (抽出/変換/ロード)ツールを使ってデータ処理を自動化する場合、データストリームの正確さとスピードが重要です。しかし、Siemens DI社では、多数のソースから大量のデータが送られるため、プロセスの中断につながるエラーの発生確率が高いという問題がありました。「特に問題になるのは、お客様がデータを受信して利用できるようにするために、ETLを使用するプロセスで膨大な量のデータを何度も複製、変換する必要があることです」と、Siemens DI社の製品マスターデータ担当ITプロジェクトリード兼コーポレートプロセスオーナーであるThomas Hecht氏は説明します。「エラーが発生したときに、その発生場所、原因となっているアプリケーション、問題のあるデータソースを特定するのが困難でした。Splunkを導入してからは、お客様も私たちも、問題をすばやく検出して解決できるようになりました」
Siemens DI社では、Splunkプラットフォームから得られるインサイトを活用したパフォーマンス監視も行っています。これにより、多くの問題を顧客が気づく前に検出し、ユーザーにプロアクティブにアラートを送信して、問題解決に必要な情報を提供できるようになりました。また、接続されているすべてのシステムについてサービスレベル契約(SLA)の遵守状況を監視し、コンプライアンスを維持しています。
Siemens DI社では、Splunkプラットフォームの導入以来、ITチームもビジネスユーザーもデータを直接確認し、データの問題を特定してすばやく解決できるようになりました。これによってコストのかかる遅延も低減することができました。しかしこれは始まりに過ぎません。「次のステップは当然、実際のデータ、つまりデータの意味まで踏み込めるようにすることです」とHecht氏は言います。「データからインサイトを引き出すことは、プラットフォームを運用するITチームよりはむしろ、ビジネスユーザーにとって大きな価値があります。Splunkを使えば、データストア内のデータに対してあらゆる種類の関連分析を実行できます。それはビジネスパートナーに大きなメリットをもたらすでしょう」
SplunkとRojoの製品を活用することで、ユーザーは障害が発生してもボタンをクリックするだけで処理を再実行できるようになりました。また、従量課金制を導入することもできました。「Splunkのおかげで、単にお客様のためにインテグレーションを構築するのではなく、より価値の高いプロセスを提供できるようになりました」とHecht氏は評価します。