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2024年セキュリティの現状:競争が激化するAIの活用
先進的なサイバーセキュリティ対策を推進する組織がどのように課題を克服し、AIを活用してイノベーションを推進し、デジタルレジリエンスを強化しているかをご確認ください。
ある日突然、大規模停電、サイバー攻撃、あるいは自然災害など、深刻なインシデントが企業を襲ったとしたら、どうすればよいでしょうか?被害を最小限に抑え、できるだけ早く通常業務に戻らなければなりません。
しかし、こうしたインシデントを収束させる方法がわからない場合は、どうしたらよいでしょう?
この役割を担うのがインシデントコマンダーです。
彼らは、重大なインシデントへの対応を主導する訓練を受けた専門家です。状況を素早く評価し、対応策を調整し、緊迫した状況でも重大な決断を下すためのスキルと経験を備えています。
Splunk IT Service Intelligence (ITSI)は、顧客に影響が及ぶ前にインシデントを予測して対応するための、AIOps、分析、IT管理ソリューションです。
AIと機械学習を活用して、監視対象のさまざまなソースから収集したデータを相関付け、関連するITサービスやビジネスサービスの状況を1つの画面にリアルタイムで表示します。これにより、アラートのノイズを低減し、障害を未然に防ぐことができます。
インシデントコマンダー(IC)は、インシデント対応に関するすべてを管理する責任者です。状況の把握から、事態を収めるための対応策の決定まで、その職責は多岐にわたります。
重大なインシデントが発生すると、インシデントコマンダーは次のように対応します。
当初の計画であるプランAが失敗することもあります。調査の最中に予期しなかった事態が発生することも見越して、ICは常にバックアッププランも用意しておきます。これは2次的なプランとして異なるシナリオを想定したもので、状況に応じて組織がどのように対応するかを定めています。
ICは非公式なかたちで、組織内にいる各分野のエキスパート(SME)と連携することもあります。SMEは各分野の専門家であり、問題の根本原因を特定するための知識や経験を持っています。そこでICは彼らの意見に耳を傾け、より大局的な観点から状況を把握するのです。
正式なかたちとしては、ICはインシデントコマンドシステムを活用して対応します。
インシデントコマンドシステム(ICS)とは、切迫したインシデントに対応するための標準化されたアプローチのことです。これによって、関係機関や担当者がスムーズに協力して共通の目標を達成するための、一連の指示(コマンド)が得られます。
インシデントコマンドシステムには、5つの重要なチームが関与します。
(Splunkソリューションがインシデント管理プロセス全体をどのように支援するのか、こちらをご覧ください)
サイバー攻撃と無縁の組織はありません。また、攻撃が発生するタイミングを事前に知ることもできません。攻撃発生時に頼りになるのが、インシデントコマンダーです。インシデント対応の指揮を執り、リスクを評価し、対応作業を調整する専門家です。
インシデントコマンダーがいなければ、インシデント対応チームは連携が取れず、完了した作業を別の担当者が始めてしまったり、重大な情報が抜け落ちてしまったりするでしょう。
しかしICがいれば、コマンドチームをスムーズに連携させ、重複した作業を一本化したり、全員の意識を合わせたりできます。彼らは状況を分析した後、対応済みの作業と次に取り組むべき仕事を整理していきます。
対応策を調整するため、ICはそれぞれの作業の進捗状況を把握します。
インシデントコマンダーは、インシデントへの対応を調整し、危機を乗り切るという重要な任務を担っています。危機的状況に対処するために必要な職務と責任をすべて見ていきましょう。
ICの中心的な責任は、インシデントに関わるすべての情報を集めて、チームメンバーに伝えることです。そこで求められるのが、卓越したコミュニケーションスキルです。
効果的なコミュニケーションができれば、必要なときに、必要な情報をメンバーに伝達できます。解決が困難なインシデントもあります。そのため、チームメンバーのトレーニングも実施しておく必要があります。
インシデントチームのトレーニングの際は、基本的なアクションプランを必ず伝える必要があります。インシデントはいつ発生するかわかりません。そのため、ICが個別の対応策を見つけて実施できるようになるまでは、チームが基本的なアクションプランを進めておくというのが理想的です。
インシデントを評価することは、インシデントの原因を理解するという点において重要なステップです。評価の際にICは、インシデントの発生原因と組織の弱点をテストおよび特定するために、さまざまな側面を詳しく調査します。
インシデント評価が完了したら、インシデントを解決するための重大な決定を下します。この段階で、ICはインシデント対応プロセスに取り組み始めます。
インシデントコマンダーが下す重要な決定事項として、以下のものがあります。
重要事項を決定した後は、それらを実行に移します。 インシデントコマンダーは、個々のインシデントに特化したアクションプランを作成します。作成方法は次のとおりです。
これによって、重大なタスクを優先的に処理し、対応をスムーズに進めることができます。
ここで、よくある誤解についてお伝えさせてください。ICの仕事は、プランの策定にとどまりません。インシデントコマンドチームと密に連携し、インシデント収束に向けてプランをどのように実践していくかを導くことも大切な役割です。
ICがインシデント対応計画を策定したら、専門性のレベルに応じてチームにタスクを割り振ります。タスクのなかには、特定のスキルや知識が必要なものもあります。そうしたタスクについては、ICが適切な担当者を選びます。
複雑なインシデントの場合、ICが指揮を執って複数のチームを編成し、複合的なアプローチでインシデントに対応します。この手法で、問題解決までの時間が短縮されるのです。
ICは、俯瞰的な視点からの進捗監視を頻繁に行い、常に最新の状況を把握します。また、チームやメンバーが作業フローに沿って滞りなく仕事ができるよう、交通整理を支援します。
チームメンバーとコミュニケーションを取り、定期的な状況報告を依頼することで、必要な情報を収集します。この際、必要に応じてインシデントコマンダーからチームにフィードバックやアドバイスを出すこともできます。
インシデントの発生時は、パニックや混乱がつきものです。現場が混乱していると冷静に考えられなくなり、最悪の決定をしてしまうことがあります。
インシデントコマンダーは、チームが集中して良い仕事ができるよう、落ち着ける環境作りに努めなければなりません。具体的には、以下のような方法があります。
チームがインシデントを解決したら、ICはその結果を詳しく確認します。事後分析レポートを入念に確認し、チームのパフォーマンスの評価を行い、インシデント対応の目標を達成できたか見極めます。
また、インシデントコマンダーは事後分析ミーティングを開催します。ここでは、発生原因、解決のために取り組んだこと、そこから得られた教訓など、インシデントに関するあらゆるトピックを議論します。これによって、将来同じようなインシデントが発生した場合に対処しやすくなります。
続いて、インシデントコマンダーになるためのスキルを見てみましょう。この役職に就くためのプロセスは複雑であり、職責に見合った知識、スキル、専門的経験が求められます。
インシデントコマンダーとして活躍するために必要なスキルは、以下のとおりです。
インシデントコマンダーには、問題解決能力が不可欠です。大きなプレッシャーがかかる状況で、複雑な問題を見つけて解決する方法を理解している必要があります。同時に、じっくりと創造的に考えて現実的な解決方法を生み出す必要があります。
インシデントに対処するためには、効果的なコミュニケーションが欠かせません。チームに考えをわかりやすく簡潔に伝えるために、高度なコミュニケーションスキルが求められます。
インシデントコマンダーは、人々の安全や健康に影響を及ぼしかねない重大な決定を下します。さまざまな選択肢のメリットとデメリットを検討して、自信を持って決断する必要があります。
話し上手なだけでは不十分です。ICには、人の話を聞く高度なスキルも必要です。さまざまな意見や考えを積極的に聞き出し、それを基に的確な意思決定を下すのです。
同じインシデントは2つとしてありません。インシデントコマンダーは、変化の激しい状況に迅速かつ効果的に適応しなければなりません。
インシデントコマンダーは、インシデント対応チームを率いる立場です。チームを鼓舞し士気を高めると同時に、明確な指示や方向性を伝えてリーダーシップを発揮する必要があります。
インシデント対応では、時間が非常に重要です。1分たりとも無駄にしないよう、ICはタスクに優先順位を付けます。
絶対に必要というわけではありませんが、同じようなインシデントに対応した経験があれば非常に有利です。どのような問題が起こりそうか予想しやすくなり、効果的な解決方法を迅速に考え出すことができます。
インシデントコマンダーは、インシデント発生時に組織の安全を守り、業務の正常な運営を確保する役割を担っています。インシデントは思わぬタイミングで発生するものですが、それらに効果的に対処するためのベストプラクティスは存在します。詳しく見てみましょう。
インシデント対応の世界はめまぐるしく変化しています。そのため、最新のベストプラクティスやトレンドを把握しておくことが欠かせません。そのためには、カンファレンスに参加したり、同じ分野の専門家と交流するのがよいでしょう。
効果的なインシデント管理の第一歩は、充実した計画作りです。ICは時間を取って、インシデント対応計画を決定してドキュメントに残す必要があります。この計画には、各チームメンバーの役割と責任を明確に記載します。
インシデントコマンダーは、所属組織およびITチームと緊密に連携するものです。そのため、各チームメンバーが担う役割や責任について理解するとともに、全体的な組織構成についても把握している必要があります。
インシデント発生時には、ICがこなすタスクの量が多すぎてパニックになりがちです。落ち着いて取り組むには、緊急性と重要度を基準にタスクに優先順位を付けたり、タスクを扱いやすい大きさに分割したりする必要があります。こうすることで、疲弊することなく仕事をスムーズに進めることができます。
切迫した状況でも、ICは落ち着いて事に当たります。自分がより良い意思決定をできるようになるだけでなく、チームや関係者からの信頼も高まります。
インシデントが解決したら、事後分析を行って改善の見込みがある部分を探すのがよいでしょう。ICは時間を取って、そのインシデントから得られた教訓を文書に残し、今後に備えてチームやインシデント対応計画を必要に応じて変更します。
インシデントコマンダーは、サイバー攻撃や自然災害などの危機的な事態に対処します。インシデント対応の取り組みを先導し、プレッシャーの下で重要な決定を行い、対応チームの調整を行います。
効果的なコミュニケーション、アクションプランの作成、タスクの委任、調整が、ICの主要な職務です。ICがいなければ、インシデント対応チームは重大なことを見逃してしまうかもしれません。ICはメンバーの認識を合わせ、インシデント対応を効果的かつ効率的なものにします。
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