
CISOレポート
デジタルレジリエンスへの道を取締役会と共に歩む
CISOと取締役会はかつてないほど緊密に連携しています。それぞれが果たすべき役割はまったく異なるため、成功指標に対する認識にずれがあります。
準同型暗号化は、他の暗号化と同じように、データの機密性や秘匿性を保持するための手段です。他のタイプの暗号化と異なるのは、データを暗号化した後でも、そのデータの秘匿性を保持しながら、データに対する「操作」(数学演算)を実行できることです。
この手法が画期的なのは、暗号化されたデータは通常、復号化しない限り意味をなさないことです。それまで、データを他の人と共有したければ、相手を信頼して復号化したデータの中身を見られるようにするか、そのデータでの共有作業をあきらめるしかありませんでした。
しかし、準同型暗号化を使用すれば、暗号化されたデータを相手と共有し、その当事者に暗号化前のデータの中身を知られることなく、そのデータを操作してもらえるようになります。
そもそも「準同型」とはどういう意味なのでしょうか。
数学に詳しい人でなくても理解できるように説明してみましょう。準同型という言葉は、「同じ構造」を意味するギリシャ語に由来します。これは、何らかの対象に対して演算を実行でき、写像後もその対象の構造が保持されることを意味します。
数学的に言えば、「群準同型とは、群演算を保持する群間の写像」ということになります。
しかし、これでは分かりにくいので、(不完全ながら)極めて単純な例を見てみましょう。
2つの数字があるとしましょう。まず、この2つの数字を足し合わせてから、最後の桁を取り出します。次に、この2つの数字の最後の桁を取り出してから、足し合わせます。すると、両方の結果は同じになるはずです*。
(**「2つの数字が28と19だったら、最初の結果は7で、2番目の結果は17になりますよね」と言われれば、おっしゃるとおりです。これが不完全な例であることは承知していますが、今はできる限り群論から離れて説明しようとしています。ですから、2つの数字を足しても10を超えない例でお考えください。そして、もっとよい例があればぜひ教えてください)
実行できる演算は、加法、乗法、またはその両方です。私の不完全な例を参考にしていただければ、先の話が乗法にも当てはまることがお分かりいただけるでしょう。「部分準同型」暗号や「完全準同型」暗号といった言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、その違いは、写像がまだ機能しているデータに対して、どの演算を実行できるのかという点にあります。
各種類の基本的な違いは、暗号文に対して実行できる数学演算の回数にあります。
暗号技術に関心のある方は、部分準同型方式の1つであるRSAについてすでにご存知かもしれません。RSAでは乗法が使用されますが、その理由は、メッセージを指数で累乗することで暗号化が行われるからです。以下に言葉と記号で説明しましょう。
暗号文Cは、公開されている暗号化指数でメッセージmを累乗したもので、すべてn (適切に選択された2つの大きな素数を掛け合わせた結果)を法とします。
これは、次のように表せます。
C1 = (m1^e) (mod n)
別のメッセージに対して同じ演算を実行し、そのメッセージをm2とすると、次のようになります。
C2 = (m2^e) (mod n)
この2つの暗号文C1とC2を掛け合わせると、次のようになります。
(m1^e) (mod n) ✕ (m2^e) (mod n)
これは、次のように書き換えることができます。
(m1^e) (mod n) ✕ (m2^e) (mod n) = ( (m1^e) ✕ (m2^e) ) (mod n) = ( (m1 ✕ m2) ^e) (mod n)
メッセージを暗号化してから掛け合わせれば、その逆の操作(メッセージを掛け合わせてから暗号化)と同じ結果が得られます。したがって、RSAは乗法を用いた部分準同型暗号化となります。
だからと言って、すべてのデータにRSAを使用して、自分を準同型のエキスパートとアピールすることのないようにしてください。超高速なAESなどの他の暗号化方法と比べて、RSAは動作が遅くてコストがかかります。そのためRSAは大きなデータブロック全体ではなく、鍵などの小さなデータの暗号化に使用します。
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