通信・メディア企業は、デジタル世界の基盤となるインフラを運用して、グローバルなコンピューターネットワークやモバイルネットワークから、光ファイバー通信、衛星通信、ストリーミングメディア、オンラインゲーム、放送、ソーシャルメディアプラットフォームまで、組織や個人が日々利用するサービスやネットワークを支えています。そのため、これらのインフラの可用性を維持することは最重要課題です。通信サービスの品質が悪ければ、顧客は、自身のシステムの可用性を維持するために躊躇なく別のプロバイダーに移ってしまうでしょう。
通信・メディア企業は常に、信頼性を維持しながら、進化する顧客のニーズに適切に対応するという、難しい課題を抱えています。あるエクスペリエンスベンチマーク調査によると、通信・メディア企業の平均NPSスコアは業界最下位タイの31で、平均顧客解約率は22%でした。特に今日、業界の再編やデジタルトランスフォーメーションが進み、異なるインフラを相互接続したハイブリッド環境が急増する中で、環境が複雑化し、潜在的な障害点やシステム障害のリスクが増大しています。また、エッジネットワークの範囲が広がり、重要なサービスや情報がネットワークソースの中心から遠く離れた場所に分散するようになって、当然のことながら処理中断からの復旧が困難になっていす。
さらに、1平方キロメートルあたり100万台のデバイスが同時接続できる5Gネットワークの普及が進んでいます。ネットワークが拡大すれば、必然的に攻撃対象領域も拡大します。機密情報の窃取を目的としたランサムウェア、ボット、APT (Advanced Persistent Threat)など、高度なサイバー脅威が猛威を振るう中で、攻撃ベクトルが大幅に増え、システムやデータがかつてないほど危険にさらされています。
こうした逆境にもかかわらず、そしておそらく、こうした逆境に立ち向かうためにも、通信・メディア企業は、可用性を維持すると同時に、顧客を惹きつけて維持するための革新的なサービスを投入し続ける必要があります。それを両立するための最良の方法が、デジタルレジリエンスの強化です。
このブログでは、通信・メディア企業が今後の成功を見据えてデジタルレジリエンスの基盤を築くための3つの方法をご紹介します。
デジタルレジリエンスを強化するには、何よりもまず、組織のテクノロジースタックとプロセスを完全に可視化する必要があります。通信・メディア企業では、幅広いソースの多様なデータを扱うため、攻撃対象領域が広大です。たとえば、顧客データ、ネットワークトラフィックデータ、アプリケーションデータ、パートナーデータ、IoTデバイスデータなどがあります。これらの機密データ、重要データ、リアルタイムデータ、個人データはいずれもサイバー攻撃で狙われます。
通信・メディア企業のIT環境では、レガシーシステム、クラウドネイティブアプリケーション、その他相互に接続されたデジタルシステムが複雑に絡み合っています。そのため、主なセキュリティリスクやインシデントを早期に検出してシステムに重大な損害が生じるのを防ぐには、すべてのデジタル接点を包括的に可視化する必要があります。
たとえば、Splunkのお客様である通信事業者、2XConnect社では、複数のチームが組織内のすべてのデータを調査できるようにする必要がありました。そこでSplunk Observability Cloudを活用して、データ利用のためのプロセスを整備し、俊敏性とセキュリティを両立したことにより、ダウンタイムを60%削減し、アマゾン ウェブ サービス(AWS)への移行中もアップタイムを100%に維持し、重大なバグの発見後も売上転換率20%を維持することに成功しました。
環境を包括的に可視化すれば、問題をプロアクティブに検出して先手で対応し、大規模な損害を未然に防ぐことができます。たとえば、予期せぬアクセス急増やAPTなど、大きな損害につながるイベントの兆候を検出して、あらかじめ対策を打つことができます。通信・メディア企業は攻撃者にとって格好のターゲットです。多数のシステムが相互に接続されているため、盲点が生まれやすく、脆弱性、マルウェア、その他の異常を見逃しがちなことがその一因です。
状況把握と自動化を実現するテクノロジーは、こうしたインシデントを未然に防ぐと同時に、顧客向けアプリケーションの信頼性とセキュリティを維持して運用チームの負担を軽減するためにも役立ちます。高度な脅威検出のようなソリューションがあれば、不審なアクティビティを自動的に検出し、提供されるコンテキストに基づいてインシデントの優先順位を判断して、修復にかかる時間を短縮できます。たとえば、モンゴルの大手情報通信テクノロジーグループであるUnitel社は、Splunk SIEMを活用してこうした体制を確立することで、インシデント対応を2~3倍スピードアップし、ログ管理を50%効率化しました。
プロアクティブに対応するには、脅威を早い段階で検出するだけでなく、ダウンタイムやサービス停止につながる可能性のある障害やその他の問題を予測することも重要です。5Gの展開においては、クラウドネイティブの新しいアプリケーションやインフラを次々に構築することになります。クラウドネイティブ環境での問題を特定するには、動的なテレメトリマップ、AIベースのインスタントトラブルシューティング、タグ分析などの機能が役立ちます。これらの機能があれば、システムの健全性とパフォーマンスを包括的に把握できます。
インシデント対策の体制が整ったら、次に、顧客のデジタルエクスペリエンスの向上に取り組みます。エクスペリエンスを最大限に高めるには、まず、既存のデジタルサービスやアプリケーションをシームレスに連携させる必要があります。それがすべての前提条件になります。
そのために効果的なのが、アプリケーションパフォーマンス監視です。アプリケーションパフォーマンス監視ソリューションを利用すれば、障害や遅延の原因となるエラーや異常をすばやく検出、分類し、アラートを生成して、トラブルシューティングした後、APIやサードパーティの依存サービスがユーザーエクスペリエンスに与える影響を把握してパフォーマンスを最適化できます。Webとモバイルのパフォーマンス最適化のためのソリューションも、100%の可用性と高いパフォーマンスを維持するために役立ちます。
スムーズで中断のないWebエクスペリエンスを実現すれば、顧客は作業を妨げられることなく自身の重要な活動に集中できます。さらに、Webとモバイルのエクスペリエンスを最適な状態に保てば、顧客解約率を低減し、今後の新規契約率やリピート率を高めることにもつながります。
マクロ経済の不確実性、5Gの展開、ディスラプションの激化、環境の分散化、新たな脅威をもたらす攻撃対象領域の拡大に直面する通信・メディア企業は、大きな逆境に陥っており、早期の対応が求められています。レジリエンスの強化はもはや不可避です。レジリエンスの基盤構築に早めに取り組めば、これらの課題への対応が容易になり、避けられない災害が発生したときにも顧客に最大限のサービスを提供し続けることができます。
カスタマーエクスペリエンスの向上、複雑なハイブリッド環境の包括的な可視化、将来を見据えたプラットフォームの構築の実現方法について詳しくは、Splunkの通信メディア業界のソリューションページをご覧ください。
通信・メディア企業による、Splunkを活用したネットワーク障害の早期検出、セキュリティインシデントへの迅速対応、カスタマーエクスペリエンス向上の事例については、E-book『通信サービスプロバイダーがビジネス価値を高めるための50のSplunk活用法』をご覧ください。
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。