ITシステムのオブザーバビリティを高める施策として、特に素早く始められ、効果が高いものがSynthetic Monitoring(外形監視)です。外形監視とは一言で説明すると、ITシステム外からのテスト通信によるブラックボックステストです。
Splunkの外形監視では大きく分けて3種類の機能が提供されています。
いずれもITサービス利用のユーザーエクスペリエンスの能動的監視であり、問題(エラー発生、レイテンシー悪化)をユーザーが気付く前に検知、対応にあたることで、ユーザーへの影響を最小限に抑えることにつながります。
参考:
リアルなユーザーエクスペリエンスの測定には様々なロケーションからの監視が必要です。SplunkのSynthetic Monitoringでは世界中にある拠点から監視が行えます(一覧はこちら)。
一方で、これが本記事の主題ですが、組織内ネットワークからしか行えない監視もあります。例えば以下のようなユースケースです。
もしかすると「わざわざ外形監視ソリューションを使用する必要はあるのか」と思われるかもしれません。
個別の監視ツールを使うことももちろんできます。しかし、問題があったことまでは分かりますが、それより先の調査は別の方法が必要になるはずです。
一方、Splunkの外形監視ソリューションの大きな特長の一つとして、APM(アプリケーションパフォーマンスモニタリング)やインフラモニタリングと相関分析ができます。例えばAPIテストでエラーやレイテンシーを検出したとき、問題はアプリなのか、アプリであればどのコードか、またはDBか、はたまたホストリソースか、多くの可能性が考えられます。Splunk Observability Cloudでは、APIテストのトランザクションと、アプリ側で処理されたトランザクションを自動的に紐づけることができ、バックエンド側の処理まで追跡でき、問題の切り分けがシームレスに可能になります。これによりオブザーバビリティを高め、より素早い解決につながります。
組織内ネットワークから外形監視を行うためにPrivate Locationという機能が提供されています。本記事の残りでは、この機能の概要と実際のインストール方法を見ていきましょう。
外形監視エージェント(Runnerと呼びます)をコンテナで動作させることができる機能です。Dockerなどで動作させたRunnerが組織内のAppやREST APIに対してテスト実行し、その結果をSplunk Observability Cloudに送信します。
概要は以下図の通りです。
RunnerのインストールはDocker環境があれば即座に完了します。
Private Locationのセットアップページで、このようにコンテナ起動用のコマンドが発行されるので、これを実行するとRunnerが起動します。
RunnerからObservability Cloudへの通信が成功するとOverviewで一覧が確認できます。一つのPrivate Locationに複数のRunnerを紐づけることができ、冗長構成を取ることができます。
後は通常のテスト作成の流れで、Locationsに作成したPrivate Locationが追加されているので、それを指定するだけです(LocationsではPrivate Locationだけ選択するようにしてください)。
Private Locationに関する詳細な設定方法、必要なリソース、通信などについてはこちらのドキュメントをご参照ください。
外形監視のPrivate Locationによる組織内ネットワークへのテスト方法をご紹介しました。これにより、外部公開されていないシステムに対しても外形監視が可能になり、バックエンド、インフラとのエンド・ツー・エンドのオブザーバビリティが適用できます。
お客様に影響が出る前に問題を把握し、不満をもたれる前に阻止しましょう。
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Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。