APIを監視することの重要性、APIパフォーマンスの監視システムを実装する際に検討すべき機能について紹介します。
公開日:2022年10月31日
処方的分析は、データとインサイトを提供するだけでなく、行うべきアクションを提案するように設計された、最も高度なデータ分析であると考えられています。処方的分析は、機械学習と数学的アルゴリズムを使用し、過去と現在のパフォーマンス、利用可能なリソース、および考えられるシナリオに基づいて結果を出力し、組織にとって最適な意思決定を支援します。
また、ビッグデータキットのもう1つの重要なツールでもあります。特にデータがゼタバイトレベルまで増加すると、組織がデータの活用法を見つける必要性はますます高まるでしょう。処方的分析を利用すると、小規模な組織や企業でもデータを最大限に活用し、重要なビジネスプロセスを自動化できます。
専門家の中には、処方的分析を予測分析の論理的な派生と考える人もいれば、異なる補完的な分野であると考える人もいます。いずれにせよ、どちらも機械学習アルゴリズムによって駆動し、大量の情報を収集して統合し、幅広い領域における意思決定を支援して結論を導くという意味で、処方的分析は予測分析に関連する分野と言えます。
つまり、予測分析では次に何が起こるのかを知ることができるのに対し、処方的分析ではそれに対して何をすべきかを非常に高い信頼度で知ることができます。しかし、ここで課題となるのは、処方的分析は将来の行動について提案できますが、その選択が正しいかどうかは必ずしも確実ではないということです。この記事では、処方的分析とは何か、最適化やさまざまなユースケースにどのように役立てられるか、他の種類の分析との違い、処方的分析のメリットと実践、および導入に関するいくつかの提案について説明します。
処方的分析とは、特定のパラメーターセットが与えられた場合に、データと機械学習を活用して行うべき最適な行動を導き、より優れた意思決定を行うための方法論と手段を表します。とはいえ、意思決定におけるデータの利用方法の数と同じくらい、処方的分析には多くの利用方法が考えられます。処方的分析は、ビジネスインテリジェンスプログラムに組み込んで運用をガイドしたり、処方的分析の決定結果をダッシュボードのデータ分析として人間のオペレーターに提示したりできます。
ここでは、処方的分析の例をいくつかご紹介します。
ヘルスケア:ヘルスケア業界における予測分析では、救急外来の受診者数の急増、特定の症状の急変、その他の関連要因の急増が発生していないかを予測できます。さらに次のステップとして、データに基づいて何ができるかを提案します。これには、次のようなものがあります。
銀行や金融サービス:銀行や金融サービスでは、起こりうる結果を予測するために予測分析が使用されます。処方的分析では、プロセスの自動化に特化して以下のことを実現できます。
セールス/マーケティング:処方的分析は、セールス/マーケティングにおいて、どの顧客や見込み客が特定のオファーに反応する可能性が最も高いかを特定し、関連するビジネスルールを確立するために使用できます。たとえば、次のような例があります。
セキュリティ運用とIT運用:処方的分析は、組織のサイバーセキュリティを強化し、効率的なIT運用を確保するための重要な役割を担っています。処方的分析によって以下のことを実現できます。
処方的分析は、複数の業界のビジネスインテリジェンスプログラムに組み込むことができます。
マーケットインテリジェンス企業であるIDC社の2021年の調査によれば、世界中で生成および複製されるデータの年平均成長率(CAGR)は、2020年から2025年の間に23%になると見込まれています。2020年だけでも64.2ゼタバイト(ZB)のデータが生成または複製されており、これは2017年の総データ量の4倍に相当します。
その主な推進要因がIoT(モノのインターネット)です。Intel社によれば、2006年のコネクテッドデバイスの数は世界で20億台程度でしたが、2020年時点では2,000億台を超えていると推定されています。これらの各デバイスが生成するデータは、優れた顧客サービスの提供、ネットワークの最適化、マーケティングメッセージの効果的なターゲティング、データセキュリティの向上など、さまざまな用途に使用できます。
コンピューターの処理速度とストレージ容量の増加により、特定のタスクに利用できるデータ量は増え続け、データへのアクセス速度も向上しています。しかし、このデータの増加とアクセス速度の向上は、データを正確に検索してフィルタリングし、結果やビジネス上の意思決定に活かせる能力があってこそ効果を発揮します。
処方的分析は以下のことを実現します。
AI (人工知能)、特に機械学習型のAIは、処方的分析の重要な要素であり、実際、処方的分析とその他の形式の分析との重要な違いの1つと言えるかもしれません。機械学習は予測分析に予測コンポーネントを提供し、大量のデータを取り込んで相関付けを行い、履歴データに基づいて次に何が起こる可能性が最も高いかを推測します。可能性の高い結果を推測することは、特定の目標を達成するための特定のアクションを提案する処方的分析の重要な能力です。
実際の動作としては、機械学習はアルゴリズム(ある結果や解を得るために実行される、レシピのような一連の数学的手順)を利用してデータに適用されます。アルゴリズムをどのように適用して問題を解決するかは、モデルによって定義されます。モデルとは、質問や、その質問に答える際に考慮する変数を定義するフレームワークです。アルゴリズムとは、変数を重み付けし、答えに辿り着くために使用する手順です。
予測分析は一般的に、利用可能なデータに基づいて潜在的な結果を一定範囲で提供するのに対し、処方的分析は、特定の目標を達成するために実行するべき潜在的なアクションを提案します。
具体的には、予測分析は大量のマイニングデータに数理モデルを適用することによって、過去の行動パターンを特定して将来的な結果を予測します。
データマイニング、機械学習、統計アルゴリズムの組み合わせがもたらす「予測的」要素により、予測分析ツールは単純な相関付け以上の機能を実行できます。予測分析を利用すると、企業や組織は実際のデータに基づいて重要な意思決定を下したり、考えられる結果を予測したりといったことを、これまで不可能だった規模で実行できるようになります。
処方的分析は、データに基づいた予測の結果に影響を与えるために実行できる行動を提案することで、予測分析以上の機能を実現します。つまり、処方的分析を使用することで、特定の目標や望ましい効果を達成するために、利用可能なすべてのデータに基づいて意思決定を行い、計画を立て、行動を起こすことができます。
たとえば、サイバーセキュリティ分野では、予測分析に基づくソリューションを使用してネットワークトラフィックを分析し、異常な動作を特定し、その動作が特定の脅威のパターンと一致した場合にアラートを送信できます。これに処方的分析を追加することにより、ソフトウェアは潜在的な脅威を特定するだけでなく、それを遮断するためのアクションも提案します。
予測分析は、利用可能なデータに基づいて潜在的な結果を一定範囲で提供するのに対し、処方的分析は、特定の目標を達成するために実行するべき潜在的なアクションを提案します。
記述分析とは、生データを使用して過去の行動のサマリーを提供する基本的な統計分析で、いつ何が起こったかを記述します。これは、ある時点の状況を静的に記述したものであり、スプレッドシートやダッシュボードのような形式でデータが可視化されます。記述分析では、予測的要素(次に何が起こるか)や処方的要素(結果にどのように働きかけるか)が付加されることはなく、何が起こったかのみが報告されます。記述分析は、発生したイベントや現在発生中のイベントについて説明し、そのイベントに関連付けられたデータを提示する際に役立ちます。
あらゆる企業や組織は、日常業務の一環としてデータを生成しています。処方的分析は、ビジネス分析の数歩先を行くもので、望ましい結果を得るために意思決定者が実行できる推奨アクションを提示します。
実際のデータに基づいて計画を作成する:処方的分析モデルは、組織の履歴データに基づいて次に何が起こるかを理解し予測するものであり、より成功確率の高い計画を意思決定者が作成できるようにするビジネス分析の価値を拡張します。
リアルタイムデータと予測データを並べて表示する:処方的分析では、意思決定者は過去のデータだけでなく、潜在的な経路から予測されるビジネス成果を確認することができます。これによって、インテリジェンスを向上させてより多くのコンテキストを得られるため、短期と長期両方の業務上の意思決定に役立てることができます。
人的ミスの可能性を低減する:組織の意思決定には常に人間が必要ですが、機械がデータを解析し、相関関係を解明し、潜在的な経路を提示できるようにすることで、単純な人的ミスや人間のバイアスが生じる可能性を大幅に低減できます。
反復作業から人々を解放する:データドリブンのアクティビティの多くは、人間が反復作業を行う必要があり、仕事のパフォーマンスだけでなく、仕事の満足度にも影響を及ぼします。処方的分析の実践によって、人間はより重要でやりがいのある仕事に取り組めるようになります。
処方的分析を始めるのに最適なツールとは、AIや機械学習などの高度な分析ツールを使用して予測モデルを構築できるツールです。これには、新しいデータを大規模に取り込み、データを「クリーニング」する能力、つまり特定の構造に確実に適合させる能力が必要です。処方的なアクティビティにはかなりの処理能力を必要とし、処方的なデータサイエンスフレームワークに基づいて構築されます。また、処方的ツールには、機械学習を使用し、そのアクティビティの結果に基づいて自身をトレーニングする能力も必要です。トレーニングアルゴリズムの設計には、予測結果に基づいて処方的ソリューションが実行すべきアクションやベストプラクティスを決定するために、深い専門知識を持つ人間のオペレーターが必要です。
処方的分析を導入するには、社内にデータ分析の専門知識のある担当者がいるか、またはその専門知識を提供できる外部ベンダーと連携する必要があります。どのような方法で行うにしても、目指す目標を決定するための検出作業や、システムの基本的な要素を構築するためのカスタマイズやプログラミングなど、かなりの量の作業に直面することになるでしょう。
最初のステップは、AI/機械学習モデルを実行できる強力なツールを用意することです。2番目は、結果を解釈し、適切な行動を提案するための人材と専門知識を確保することです。3番目のステップでは、対策を組み合わせて提案したり、対応を自動化したりできる適切なツール(オーケストレーションと自動化、SOARなど)を使用します。
結局のところ、処方的分析を導入する最善の方法は、組織における大規模なソフトウェア開発や運用変更を評価、計画、実装する手順とまったく同じです。
今のところ、処方的分析は予測的分析ほど広く使われてはいませんが、アナリスト企業はこの状況が変わると考えています。利用できるデータの量が増大し、マシンの処理能力や機械学習の機能が向上する中、処方的分析の将来性は非常に有望です。予測分析は、特定の状況下で何が起こるか、あるいは起こる可能性があるかを理解するための信頼できる分野として確立されています。当然ながら、処方的分析も同様の軌跡をたどることになるでしょう。過去と現在のパラメーターから、起こりうる結果を予測し、適切な機能を自動的に実行する能力は、医療、金融、サイバーセキュリティなどの分野における自律システムの大きな進歩につながる可能性があります。
データの爆発的増加は現実に進行しています。これは時として大きな課題に聞こえるかもしれませんが、先進的な組織はこれをチャンスと捉えています。ビジネス、情報技術、情報セキュリティ、そしてビジネス運用のほとんどの領域におけるほぼすべての問題は、何らかのデータの問題です。
このような情報の流れを人間が管理することは不可能であり、データの管理と分析はあらゆる組織にとって重要な能力となっています。データの爆発的増加に関して、「手に入れたデータをどう扱えばいいのかわからない」という声がよく聞かれます。
処方的分析は、まさにこの問題を解決するために設計されており、あらゆる組織がデータをより効果的に活用し、関連するインサイトに基づいて実行できるアクションを理解できるようにします。データの量、速度、種類が増し続けるにつれて、処方的分析の必要性と価値も高まっていくでしょう。処方的分析はまだ初期段階の分野ですが、そこには無限の可能性が秘められています。
Splunkによる2023年の予測
Splunkのリーダーが、企業が直面している最も重要なテクノロジートレンドについて考察します。
オブザーバビリティのリーダー的組織はMTTRを69%短縮していることがわかりました。組織のオブザーバビリティを担う1,250人の現場担当者、マネージャー、エキスパートを対象としたSplunkの調査結果をお読みください。
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は850を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキスト(把握したい要素) に基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。
日本支社を2012年2月に開設し、東京の丸の内・大手町、大阪および名古屋にオフィスを構えており、すでに多くの日本企業にもご利用いただいています。
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