公開日:2023年1月25日
データ漏えい防止(DLP:Data loss prevention)とは、企業の機密データの損失や盗難を防ぐための一連のツールやプロセスのことです。対象には、企業に重大な影響を与えたり競争上の優位性を低下させたりする可能性のあるデータの侵害、流出、露出、IPの不正使用などが含まれます。企業はデータの保護、データ侵害の検出、規制基準の遵守のために、DLPソリューションを使用しています。
DLPソフトウェアを使用すると、組織はネットワーク、エンドポイント、クラウドリソース全体にわたり、特に個人情報やコンプライアンス関連データといった規制対象データへの不正アクセスや不正転送を検出し防止することができます。また、DLPは、組織が機密データ、規制対象データ、ビジネスクリティカルなデータを特定して分類することや、HIPAA、SOX、GDPR、PCI-DSS、FISMAなどの関連規制にデータポリシーが準拠していることを確認することにも役立ちます。ポリシー違反が検出された場合、DLPはアラート、暗号化、データ分離、その他のアクションを通じて修復を特定し、実施します。
企業はデータの漏洩や損失によって甚大な被害を受ける可能性があり、これと無縁でいられる組織はありません。データ侵害の大部分は外部の脅威によるものですが、セキュリティインシデントの20%以上は内部関係者によるものです。また、データ損失は組織の財務健全性を著しく悪化させる可能性があります。2022年の時点で、米国でのデータ侵害による平均損失額は約950万ドルに達しており、これは前年の900万ドルを少し上回るものです。データ侵害がもたらすのは金銭的損失だけではありません。評判の低下、顧客離れ、生産性の低下にもつながる可能性があります。
以下のセクションでは、DLPの仕組み、そのメリットとユースケースに加え、独自のDLP戦略を開始する方法について説明します。
DLPには、ネットワークDLP、エンドポイントDLP、クラウドDLPなどの種類があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
DLPは、機密情報を特定し、それを保護するためのアクションを実装することで機能します。DLPは、ファイアウォール、ウイルス対策ソフトウェア、監視サービス、エンドポイント保護、機械学習、アルゴリズム、自動化などの標準的なサイバーセキュリティツールと技術を組み合わせて、疑わしいアクティビティや異常なアクティビティを検出、防止、コンテキスト化します。
データは常に3つの状態のいずれかにあります。機密情報を特定し保護するうえでは、それぞれについて課題があります。
DLPは特に、以下に挙げた3つのよくある問題を解決します。
組織のデータは常に、3つの状態(使用中、転送中、保存中)のいずれかにあります。
DLPプログラムは、機密データを分析し、特定するためにさまざまな手法を使用します。その一部を紹介します。
機密データが特定されてデータの分類が実施されたら、組織はデータをどのように保護するかを決定し、それに合わせてDLPポリシーを適応させる必要があります。
2つのテクノロジーが提供するセキュリティ機能は異なるものですが、両者は同期的に連携しながらデータを解釈して優先順位を付けます。DLPは前述のとおり、独立した検索機能ではなく、組織内の部門全体でデータに優先順位を付けることでデータの損失を防ぐためのシステムです。
一方、セキュリティ情報/イベント管理(SIEM)は、環境全体にわたる多数のデバイスから情報を収集してデータログに保存し、集約して相関付けできるため、組織のITセキュリティ態勢全体を包括的に把握することができます。SIEMは高度な分析を用いて、セキュリティチームがネットワークの中断、侵害、高度なマルウェア、その他の脅威を簡単に発見できるパターンを特定し、適切かつタイムリーに対応できるようにします。具体的には、SIEMはセキュリティデバイスやサーバーのログからの情報を解釈し、組織がDLPなどのテクノロジーを使用してデータを保護する方法について、理解を深めて優先順位を付けることを可能にします。
DLPシステムには、次のような多くのメリットがあります。
DLPは、組織全体のサイバーセキュリティ戦略の一環として使用され、データの可視化と保護を提供します。組織は、保護対象保健情報(PHI)、顧客や従業員に関する個人情報(PII)、クレジットカードのデータ、知的財産など、膨大な機密データを生成して保存しています。そのため、データ侵害のリスクにさらされるうえ、規制コンプライアンス違反により多額の罰金が科される可能性もあります。DLPは、組織の機密データを詳細に可視化し、組織のセキュリティ境界外にデータが移動するのを阻止するメカニズムを提供することで、データ損失を防ぎます。
DLPソリューションは通常、次のようなサイバーセキュリティ対策の1つまたは複数をサポートします。
ネットワークDLP、エンドポイントDLP、クラウドDLPを連携させることで、データの流出、内部脅威、不正なデータ露出から組織を保護することができます。
DLPを使い始めるには、まずビジネスにとって重要なデータシステムを判断し、スタンドアロン(ネットワーク、クラウド、エンドポイント)ソリューションが必要なのか、統合ソリューションが必要なのかを決定します。次に、必要なDLPソリューションを具体的に想定した予算を確立し、自社で実装できるか、それとも外部プロバイダーが必要となるのかを決定します。最後に、検討するDLPソリューションの価格と機能に関するいくつかの基準を定め、組織のニーズに最も適合するオプションを絞り込みます。
DLPの開始にあたり、以下のベストプラクティスを実践すると取り組みを正しい方向に導いてくれます。
ここ数年、企業に影響を与えた大きなトレンドに対応するかたちで、DLPにもさまざまなトレンドが出現しています。主なものとして、クラウド導入の増加、リモートワーカーへの依存の高まり、より巧妙なサイバー攻撃の開発が挙げられます。これらに対処するため、DLPソリューションも単体ツールから進化を遂げつつあり、エンドポイントやクラウドなど、ユーザーがデータを操作するあらゆる場所に実装される統合ソリューションになってきています。
また、DLPは、データリスクの捉え方を広げています。かつてはアウトバウンドのリスクと考えられていたデータ損失は、現在では、複数のフェーズで実行される巧妙な攻撃に起因していることが多くなっています。その最初のフェーズはインバウンド戦術で、機密データを見つけるための内部偵察などがあります。これに対抗するため、DLPアプローチはインバウンドとアウトバウンドの両方のデータ損失リスクから保護するように進化しています。
クラウドとモバイルワーカーの拡大に伴い、組織が対処しなければならないデータ保護のギャップは大幅に増加しています。同時に、データ規制は拡大するとともに、複雑さも高まっています。DLPを使えば、両方の課題に効果的な対処を行い、ITコストや複雑さを増加させることなく、セキュリティギャップを解消し、より簡単にコンプライアンスを達成できるのです。
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日本支社を2012年2月に開設し、東京の丸の内・大手町、大阪および名古屋にオフィスを構えており、すでに多くの日本企業にもご利用いただいています。
© 2005 - 2024 Splunk LLC 無断複写・転載を禁じます。
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