Splunkは、ガートナー社による2024年のマジック・クアドラントのSIEM (セキュリティ情報/イベント管理)部門で、10回連続でリーダーの1社に位置づけられました。
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複雑な環境でも快適な通信を実現
ユナイテッド航空の通信環境は複雑で、直接制御できない要因の影響を受けることもあるため、「エージェント・オンデマンド」の可用性とパフォーマンスを維持するとともに、通話の中断を最小限に抑えることは最重要課題です。同社のプラットフォーム/ネットワークエンジニアリング担当ディレクターであるDan Field氏は次のように述べています。「『エージェント・オンデマンド』を支えるアプリケーションやシステムがどれだけ複雑であっても、顧客から見てサービスは常にわかりやすく、手軽に利用でき、円滑に機能する必要があります」
ユナイテッド航空では、AppDynamicsとCisco ThousandEyesを使って、「エージェント・オンデマンド」を支える複雑なデジタルエコシステムを包括的に可視化しています。その対象は、内部のサーバー、データベース、ネットワークだけでなく、顧客が利用するインターネット接続やモバイル接続などの外部サービスにも及びます。
同社のエンジニアは、独自のダッシュボードを使用することで、根本原因をすばやく分析してMTTRの短縮につなげると同時に、ユナイテッドの係員に情報を提供してカスタマーエクスペリエンスの向上に役立てています。たとえば、乗客のモバイル通信やWi-Fi接続が不安定なときは、ビデオをオフにする、Webexから音声通話やチャットに切り替えるなど、接続を維持して快適に会話できるようにする方法を係員が乗客にアドバイスします。
顧客満足度とロイヤルティをさらなる高みへ
「エージェント・オンデマンド」では、乗客が最小限のストレスと遅延で目的地までたどり着けるようにするために、顧客に関する問題の迅速な解決と快適な通信を重視しています。この姿勢が、組織の評判と重要なNPS (ネットプロモータースコア)の向上につながり、ユナイテッド航空を親しい人に勧めたいと考える乗客の増加に結びついています。
「お客様にとって、ユナイテッドの係員とすばやく連絡を取って安心を得られることは大きなメリットです」とField氏は説明します。「場合によっては1時間近くも列に並んで待たなければならないところを、このサービスを利用することで、係員と直接会話して、フライトの振り替えや宿泊施設の予約を15~20分程度で完了できます」
Field氏は、ユナイテッド航空が「エージェント・オンデマンド」を専任の運用チームに引き渡した際のエピソードを紹介してくれました。同氏によると、初期フェーズにおいて、システム内でサーバーの誤動作が発生しました。しかし、AppDynamicsからのリアルタイムのインサイトに基づいて問題の原因をピンポイントで特定し、障害が発生しているサーバーをロードバランサーから切り離すことで、問題をすばやく解消できました。
「以前は問題のトラブルシューティングに30分かかることもありました」とField氏は言います。「しかし、AppDynamicsのおかげで可視性が大幅に向上し、その半分の時間で問題を解決できるようになりました。問題の兆候が検出されたときはすべての関係チームにあらかじめ通知されるため、コラボレーションが強化され、効率も向上しています」
Field氏は、シスコの通信エコシステムの拡張性と、それをサポートするAppDynamicsなどのオブザーバビリティツールも高く評価しています。たとえば、吹雪が発生すると数十件のフライトがキャンセルされ、多数の乗客が同時に「エージェント・オンデマンド」にログオンする可能性があります。このような場合でも、シスコアーキテクチャの生来の安定性と拡張性の高さにより、リアルタイムの通話量に基づいて、対応可能な係員の人数をシームレスに調整できます。
「『エージェント・オンデマンド』は常に可用性を維持する必要がある最優先のサービスです。AppDynamicsのおかげで、快適な通信を妨げる問題をただちに解決できるという安心感を持って、一度に数百人のお客様に対応できます」と、Field氏は語ります。
同氏は、AppDynamicsと他のSplunk製品をさまざまに組み合わせて活用することにも期待を寄せています。ユナイテッド航空のSOC (セキュリティオペレーションセンター)では、Splunkを使ってインフラデータを分析し、インシデント、挙動の変化、その他のセキュリティ関連イベントを検出しています。
Field氏はこう話します。「AppDynamicsとSplunkの統合により、セキュリティインフラとアプリケーションのデータ分析や、環境全体のトレンドの特定と重要なアクションアイテムの生成に、SplunkのAI機能をさらに活用できると期待しています」
複数のソースからデータを収集して統合できるようになったことで、AIアプリケーションや自己修復型インテリジェンスの導入への道も開かれました。「シスコのロードマップの中で、問題の根本原因をプロアクティブに特定する生成AIの開発に注目しています。手動で調査を行うことなく問題をすばやく解決できるようにすることは、お客様に最高レベルのエクスペリエンスの提供を目指す私たちの取り組みにおいて1つの重要なステップです」とField氏は期待を寄せます。