AppDynamicsの採用によって、運用と開発の両チームが同じ情報を見ながら対話し、作業を効率的に進められるようになりました
アプリケーション性能の監視やパフォーマンス低下の調査に高度なスキルと多大な労力が必要だった。
パフォーマンスの可視化とレポーティングの自動化を実現。開発チームと運用チームの共通言語が構築された。ボトルネックの一次調査をリモートから実施できるため、データセンターにかけつける労力と移動時間を省くことができた。
お客様が利用されるWebアプリケーションのようにお客様と直接つながっているシステムでのトラブルは、当社に対する信頼性の失墜、サービスからの離脱を誘発しかねません
個人・法人向けクレジットカードの発行から加盟店への決済システム導入、さらにはカード発行業務の受託など、多彩な決済サービスを展開している三菱UFJニコスでは、AppDynamicsを導入によって顧客向けアプリケーションに関するパフォーマンスの可視化とレポーティングの自動化を実現しています。
個人・法人向けクレジットカードの発行から加盟店への決済システム導入、さらにはカード発行業務の受託など、多彩な決済サービスを展開している三菱UFJニコス。これらの事業を支えるシステム基盤や顧客向けアプリケーションは、ビジネスの生命線であり、「可用性とサービスレベルを可能な限り高く保つことが不可欠といえます」とシステム基盤・運用部長の末廣 修司氏は指摘します。
「お客様が利用されるWebアプリケーションのように、お客様と直接つながっているシステムでのトラブルは、当社に対する信頼性を失墜、サービスからの離脱を誘発しかねません。そうした事態に陥らないよう、アプリケーション性能の監視と管理を徹底して行う必要があります。それがシステム基盤・運用部の重要なミッションとなっています」
FinTechあるいはデジタルトランスフォーメーション(DX)といった時代の流れのなかで、顧客向けのデジタルサービスを差別化の源泉にする動きが活発化するにつれて、アプリケーション性能の管理には以前にも増して負荷がかかるようになっていました。同社におけるアプリケーション性能監視は、開発した協力各社が独自のツールを使って行っており、社内の運用チームが一貫して管理する体制になかったことにも課題がありました。
「開発段階でのテストは品質が未成熟な状態のため性能問題が多数発生しますが、そのボトルネックの特定には体力もスキルも必要でした。このような状況は、特定のスキルを持った担当者への業務負荷の集中と、担当者の疲弊につながります。そのため、テクノロジーを使った効率化・自動化が強く求められていました」(末廣氏)
アプリケーション性能やパフォーマンス低下に関する調査を巡る課題を解決すべく、三菱UFJニコスが採用したソリューションがAPM(Application Performance Management)です。そして、APMを実現するための製品としてAppDynamicsを選定。顧客向けWebアプリケーションを中心にAppDynamicsによる性能管理を行っています。 AppDynamicsを選んだ理由として、システム基盤・運用部 システム基盤グループ調査役の中村貴治氏は、第三者機関による評価や、海外における金融機関での豊富な導入実績に加えて、『使いやすさ』を挙げています。
また、AppDynamicsの『導入のしやすさ』も高く評価したと言います。「導入検討する中で、ボトルネック調査・特定のためにソフトウェアへのコードの埋め込みが必要な製品もありました。それに対してAppDynamicsは、アプリケーションサーバーにエージェントを導入するだけで利用を開始できるので、懸念していたシステム負荷への影響もほとんどありませんでした」(中村氏)
三菱UFJニコスでは、ビジネスパートナーである大和総研による支援のもと、2019年からAppDynamicsを導入し、顧客向けWebアプリケーション性能の可視化に活用しています。
AppDynamicsでは、アプリケーションの構造が自動で可視化され、アラート発出のしきい値も機械学習にもとづいて自動的に設定されるほか、トランザクションごとのボトルネックの調査が直感的に行えます。このように使いやすいAPM製品は他にありませんでした
アプリケーション性能可視化の仕組みと体制を整えることの重要性について末廣氏は次のように説明しています。「当社の場合、システム基盤構造の標準化が進み、基盤を起因したトラブルはほぼ発生しなくなりました。トラブルの多くはデータベースアクセスを始めとするアプリケーションの問題ですが、これを解決するには基盤とアプリケーション両チームの連携が不可欠だったのです」現在、社内のシステム運用チームと、アプリケーションを開発した協力会社がともにAppDynamicsを使い、リアルタイムに情報を共有しながら連携して問題への対応・対処にあたっています。運用チームがアプリケーションの稼働状況を把握できるようになったことは、トラブル対応の効率化につながったと言います。
「AppDynamicsの採用によって、運用と開発の両チームが同じ情報を見ながら対話し、作業を効率的に進められるようになりました。AppDynamicsは、開発と運用の意思疎通と協働を支える“共通の言語”として機能しています」(中村氏)
AppDynamicsのダッシュボードを通じてアプリケーションの状態を一目で確認することができるようになったほか、ダッシュボードから定期レポートを生成する作業も自動化され、それも運用担当者の負荷軽減につながっているといいます。
またAppDynamicsの導入によってリモートからの調査が可能になったことについて中村氏は次のように語っています。「従来は、システムトラブルの発生時に当該システムを稼働させているデータセンターに社内の運用担当者がかけつけ、問題原因の調査にあたる必要がありました。AppDynamicsの導入によってリモートからの初期調査が可能になり、トラブル発生時における担当者の移動の手間と時間が削減されました」
AppDynamicsの採用によって、運用と開発の両チームが同じ情報を見ながら対話し、作業を効率的に進められるようになりました
さらに中村氏は、AppDynamicsのサポート体制も高く評価します。「ビジネスパートナーである大和総研にはAppDynamicsの活用支援のサポートを定常的に提供してもらっていますし、シスコからはより有効に活用するためのプロアクティブなサポート(カスタマーサクセスサービス)が受けられます。そのサポート体制は満足のゆくものですし、広範なシステムにAppDynamicsを適用し、それぞれの可用性と問題検知のレベルを上げるうえで有効であると感じています」
このような導入効果に基づき、同社ではAppDynamicsの適用範囲を広げていく計画です。最後に中村氏はAppDynamics活用について語りました。
「当社のあらゆるシステムにAppDynamicsを適用していくことや、AppDynamicsの活用を通じてアプリケーションの性能がお客様のサービス利用状況にどう影響しているか、言い換えれば、当社のビジネスにどう影響しているかも把握できるようにしていきたいです。併せて、AppDynamicsを軸にしたソフトウェア性能改善の輪にシステム部門の運用や開発担当者のみならず、事業部門にも展開するような体制づくりを追求していきたいと考えています」