Splunkはトラックの内でも外でもパフォーマンスを発揮するために不可欠な存在です。内と外の両方であることが重要です。トラック外の競争で勝てなければ、トラック内の競争でも勝てないのです
マクラーレンは、トラックでの判断を強化し、イノベーションを加速させて、ハイブリッドインフラで生成される大量のデータを管理するための強力なデータプラットフォームを必要としていました。
マクラーレンは、Splunkを活用してリアルタイムデータを実用的なインサイトに変え、F1とeスポーツのレースで競争力を強化し、開発ペースを加速させています。
マクラーレン・レーシングは、F1グランプリで183回、インディ500とル・マン24時間レースで計3回の優勝を誇り、モータースポーツ界で大きな成功を収めている名門レーシングチームであり、常に革新を続けています。2017年には「マクラーレン・シャドウ・プロジェクト」というバーチャルレーシングプログラムを立ち上げてeスポーツ界に進出し、2022年には完全電動SUVによるオフロードレースであるエクストリームEシリーズにも参戦しました。
目標は常に優勝ですが、F1の場合は1位でなくても、ドライバーとマシンのレース中のパフォーマンスに応じてチャンピオンシップポイント(と賞金)を獲得できます。決勝レースのグリッドに並んだ20台のマシンのうち、上位10位以内に入ったマシンにのみポイントが与えられます。
レースではミリ秒の差を争うため、F1チームには大きなプレッシャーがかかります。データを活用して競争力を高めることの重要性を熟知していたマクラーレンは、Splunkに目を付けました。Splunkは、2020年にマクラーレンのF1チームのテクノロジーパートナーとなって以来、迅速な意思決定を支援する強力なデータプラットフォームを提供しています。2021年には、eスポーツチームのマクラーレン・シャドウのパートナーにもなりました。
マクラーレンのF1マシンに搭載された約1万8,000個のパーツは6週間ごとに交換されます。つまり、シーズン終了までにはマシンの約80%が別のものになります。
「F1の世界は進化が速く、立ち止まることは後退することを意味します」と、マクラーレン・レーシングのCEOであるZak Brown氏は言います。「100分の1秒の積み重ねが勝敗を決めます。そのため、マシンのすべてのパーツが『データ駆動』です」
わずかなミスも許されないため、シーズンのあらゆる段階でITが重要な役割を果たします。「F1マシンの構想、検証、製造から、レース、データ分析、メンテナンスまで、ライフサイクルのすべての段階にITが関わります」と、マクラーレン・レーシングのコマーシャルテクノロジー担当責任者であるEdward Green氏は説明します。「私たちは、テクノロジーについても攻めのアプローチを貫いています。Splunkは、システムに関する優れたインサイトを提供してくれるので、組織レベルでイノベーションを推進できます」
このイノベーションは、昨年のF1ファンによる投票で最も好きなチームに選ばれたマクラーレンとファンとのつながりにも変化をもたらしています。「私たちは、ファンが何を求め、どのようなコミュニケーションを望んでいるのかをもっとよく知るために、データを活用して、予測に基づくターゲティング型のエンゲージメント戦略を立てています」とGreen氏は言います。
私たちは、テクノロジーの観点でも攻めのアプローチを貫いています。Splunkは、システムに関する優れたインサイトを提供してくれるので、組織レベルでイノベーションを推進できます
週末のレースでは、チームは戦略をリアルタイムで判断します。マシンに搭載された約300個のテレメトリセンサーから送られるデータをトラックの脇にある移動型IT Rigでストリーミング分析し、天候の変化やタイヤの状態など、あらゆる状況に合わせて調整を行います。その中の1つの計算ミスや一瞬の通信障害が、表彰台に立てるか、1ポイントももらえずに終わるかを分けることもあります。
テスト、練習、予選、決勝のいずれでも、Splunkは1秒あたり100kHzのストリーミングデータを分析して、リアルタイムの判断に必要なインサイトを提供します。これほど膨大な量のデータをオンプレミス、クラウド、エッジという環境をまたいで管理するには、高度な技術が要求されます。しかも、車体、タイヤ、トラック、天気の状態が刻々と変化することを考えれば、その難しさはなおさらです。
「Splunkのおかげで、運用が改善され、信頼性と一貫性が向上しました」とGreen氏は言います。「インフラは非常に重要で、サーバーやデータベースが1台でも停止すると、トラックに出て走ることができなくなります。Splunkは、かつてないレベルのインサイトを提供してくれます。そのインサイトのおかげで、常に優れたITエクスペリエンスを実現できます」
eスポーツへの参戦は、マクラーレン・レーシングチームに新しい可能性を開きました。マクラーレンシャドウチームが提供する競争力の高いプラットフォームに実力のあるゲーマーや将来有望なレースドライバーが集まるだけでなく、そこからeスポーツならではのデータを豊富に収集できます。
そのデータから得られる新たなインサイトの価値は計り知れません。F1チームの場合は、データを収集する機会が3回の練習走行、予選、決勝に限られるので、収集できるデータも限られます。また、今シーズンは過去最多の23レースが行われるため、改善に費やせる日数が減っています。
「eスポーツに対応する装置からSplunkにデータを簡単にストリーミングできるので、F1チームはそのデータに基づいて練習を行い、さまざまなことを試して、パフォーマンスを最適化できます」とGreen氏は説明します。「Splunkによってデータが明確に可視化されるので、ランド・ノリス選手もトラックでの戦略について新しいアイデアを積極的に出すようになりました」
優れたマシンを開発して完璧に仕上げ、通常の5倍の重力を受けながら高速でマシンを走らせ、数分の1秒単位で重要な判断を下さなければならないF1レースは、極限のスピード、不屈の精神、たゆまぬ努力が求められるスポーツです。
マクラーレンの挑戦はインディカー、エクストリームE、eスポーツへと広がり、それと同時に、複数のレースシリーズを管理しながらその複雑さに対応できるプラットフォームの重要性も高まっています。Green氏は、クラウドベースのネットワークインフラへの移行を進め、データの活用範囲を広げるために、Splunkの存在が不可欠だと考えています。「Splunkについて高い価値を感じる点の1つは、その性能がチーム全員の好奇心とイノベーション精神を駆り立てることです」
Splunkについて高い価値を感じる点の1つは、その性能がチーム全員の好奇心とイノベーション精神を駆り立てることです
新たな挑戦が加速する中で、ミリ秒単位でのデータ処理の必要性も高まっています。昔から、勇気、決断力、努力、大胆さはF1の成功条件です。そして今、Splunkのようなテクノロジーパートナーがもたらすミリ秒単位のデータ処理能力がそこに加わっています。
Brown氏は言います。「Splunkはトラックの内でも外でもパフォーマンスを発揮するために不可欠な存在です。内と外の両方であることが重要です。トラック外の競争で勝てなければ、トラック内の競争でも勝てないのです」