効果的な戦略を策定するには、組織に影響を与える可能性がある要因を明確に理解する必要があります。そのための重要なアプローチとして、SWOTとPESTELという2種類の分析手法があります。
業界を問わず、これらの手法を駆使することで、戦略計画に磨きをかけ、複雑なビジネス課題に自信を持って取り組むことができます。
SWOT分析は、2つの領域に分けられます。組織の強み(Strength)と弱み(Weakness)を含む内部要因、機会(Opportunity)と脅威(Threat)を含む外部要因です。SWOTという名前は、各要因の頭文字を取ったものです。組織内と組織外の両方に目を向けることで、組織の現状や将来像を包括的に見通すことができます。
強み、弱み、機会、脅威を評価することで、組織は現在の立ち位置を把握し、スマートな計画を立てられるようになります。また、強みをさらに生かし、弱みを克服し、新たな機会をうまく利用しながら、問題や脅威の発生を未然に防ぐこともできます。
SWOT分析は幅広い用途に使えるため、戦略計画、製品開発、市場分析などのさまざまな場面で好んで使われるアプローチです。シンプルながら全方位をカバーできるため、組織内のあらゆる立場の人が手軽にSWOTを利用できます。
SWOTを活用できる領域をいくつか紹介します。
製品の開発と強化
この領域では、たとえば次のような強み、弱み、機会、脅威を見つけられます。
市場拡大
PESTEL分析は、組織の業績や運営に影響を与える可能性がある外部のマクロ環境要因のみに注目します。こうした要因を評価することで、自社が置かれている状況を幅広く理解するためのインサイトが得られます。PESTELという名前は、このフレームワークが対象とする6つの要因の頭文字に由来しています。
それぞれの要因を簡単に見てみましょう。ここでは特にサイバーセキュリティの観点から考えます。
サイバーセキュリティ、データプライバシー、重要なインフラの保護に関する政府の方針、規制、取り組みが与える影響について評価します。また、それぞれの地域や市場で政治が安定しているかを調査したり、政治の不安定さがサイバーセキュリティへの投資に与える影響についても考慮します。
例:データプライバシー法が改定されると、サイバーセキュリティ対策を刷新しなければならず、コンプライアンスコスト全体に影響を与える可能性があります。
サイバーセキュリティの予算や支出、そしてサービス需要に影響を与える可能性がある経済状況を分析します。たとえば、運用コストや価格設定の戦略に関わる、インフレ、為替、経済成長などの要因について影響を評価します。
例:経済が低迷すると、サイバーセキュリティの予算が減少し、新しいテクノロジーへの投資が制限される可能性があります。
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リモートワーク、BYODポリシー、サイバーセキュリティに対する意識など、サイバーセキュリティのニーズに影響を与える社会的な傾向について評価します。また、従業員が求める要素やサイバーセキュリティ業界での人材の充足状況の変化がどのような影響をもたらすかも評価します。
例:リモートワークが増えると、安全なリモートアクセスソリューションへの需要が高まります。
サイバーセキュリティの新たな課題や機会を生み出す最新の技術(AI(人工知能)、クラウドコンピューティング、IoTなど)を評価します。また、既存のサイバーセキュリティソリューションの技術的進歩が生み出す影響や、製品、サービスのアップデートの必要性を評価します。
例:AIが進化すると脅威を検出する能力が高まるが、一方で、AIを駆使したサイバー攻撃に対して新たな防御策が必要になります。
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自然災害や気候変動などの環境的要因が、サイバーセキュリティインフラと事業継続計画に与える影響を評価します。サステナブルな取り組みに対して高まる意識と、それがサイバーセキュリティ運用に与える影響についても検討します。
例:自然災害によってデータセンターに破壊的な被害が発生する可能性があり、強固なディザスタリカバリー計画の必要性が高まっています。
データ保護、プライバシー法、サイバーセキュリティ基準に関連する各地域の法令や規制の変更を分析します。また、サイバーセキュリティの侵害やコンプライアンス違反によってもたらされる法的リスクと責任についても検討します。
例:各国で新たに施行されるデータ保護規制により、企業は法的な罰則を回避するためにデータの取り扱い方法を調整する必要が生じる可能性があります。
PESTELは、企業に影響を与える可能性があるさまざまな外部環境要因について理解するための有益なフレームワークです。政治、経済、社会、技術、環境、法律の各種要因から生じる可能性があるリスクと機会を特定するのに役立ちます。
PESTELによって幅広い視野が得られるため、外部環境に合わせた戦略を策定する際に特に有用です。また、新たな地域や業界で事業を行っている企業や、企業が新たな地域や業界に進出する場合、外部要因がビジネスの成否を分ける重要な要素となるため、PESTELが役立ちます。
どちらの分析ツールも戦略計画において重要ですが、カバーする対象や範囲によって用途は大きく異なります。
SWOTとPESTELのどちらを使用するかは、個々の組織のニーズや状況によって異なります。
多くの場合、両方の分析手法を組み合わせることで、組織の戦略的な位置づけを最も深く理解できます。SWOTの内向きの洞察とPESTELの外向きの洞察が、意思決定のガイドラインとなるでしょう。
戦略計画の基礎を知りたい一般社員や、潜在的なリスクを分析するIT担当者、あるいは外部脅威からの防御を担当しているサイバーセキュリティ専門家でも、SWOTとPESTELは身に付けておいて損のない強力な手法です。
2つの分析を併用し、組織内部の強みと弱み、そして外部の機会と脅威を総合的に検討することで、戦略計画の包括的なフレームワークが得られます。この包括的なアプローチによって、組織は複雑で競争の激しい環境でも生き残り、発展していくことができるでしょう。
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