中小企業でも大企業でも、データの処理には時間と労力がかかります。しかし、このデータを成長の機会に変える方法があるとしたらどうでしょうか。それを可能にするのがDataOpsです。
DataOpsは、手動のプロセスを自動化することでデータ品質を向上させるためのコラボレーション環境の構築を支援します。調査によると、DataOpsプラットフォームの市場は、2023年の39億米ドルから2028年には109億米ドルに成長する見込みです。この成長は、組織が業務の効率化を着実に進めていることを示しています。
このブログでは、DataOpsの概要とそのメリットについて説明します。
DataOpsは、テクノロジーとプロセス、そして人々を結び付けるアプローチです。具体的には、データオーケストレーションの自動化を通じて、データの品質、速度、コラボレーションを組織全体で改善します。ガートナー社は、DataOpsを次のように定義しています。
「データ管理者とデータ利用者間のデータフローにおけるコミュニケーション、統合、自動化を組織全体で改善することに重点を置いた協調的なデータ管理手法である」
DataOpsには、データサイエンス、データ分析、データエンジニアリング、データ管理、ビジネスインテリジェンスなど、多くの関連する手法と似ている面があるかもしれません。いずれにせよ、データ中心のアプローチを最優先にして、データ利用者に適切なタイミングで価値を提供することで、次の取り組みをサポートします。
コラボレーション、自動化、および継続的な改善は、顧客に価値をもたらします。このようなコアバリューを業務プロセスに確実に組み込めるように、DataOpsマニフェストでは、遵守すべき18の原則を定めています。
このマニフェストは時間とともに改定されます。データ環境の変化に従って、新しい原則が追加されるだけでなく、既存の原則が修正されることもあります。
DevOpsは、開発と運用を自動化することで、ソフトウェアの開発と提供を効率化します。DataOpsは、データを生産する側とデータを利用する側の壁を取り払うことで、データの信頼性と価値を高めます。
ただし、どちらもコラボレーション、自動化、および継続的デリバリー/インテグレーションを重視しています。また、目標の達成に向けて同じようなアプローチを採っています。しかし、方法の選択は、組織の具体的なニーズや目的によって変わります。
データ管理とは、データの収集、保存、管理、使用を組み合わせたプロセスです。これには、データガバナンス、品質保証、およびセキュリティが含まれます。
DataOpsは比較的新しいアプローチで、アジャイルなテクノロジーとDevOpsを組み込むことで、データの取り込みと準備からレポートの作成と分析に至るデータライフサイクルを自動化します。これにより、分析開発にかかる時間が短縮され、データの品質が向上します。
DataOpsは、統計的プロセス制御(SPC)を使用することで、リアルタイムで品質を監視し、予想されるデータパターンからの異常や逸脱を検出します。具体的には、次のようなサイクルがあります。
データパイプラインまたはETL (抽出、変換、ロード)プロセスが継続的に統合されます。自動化された継続的インテグレーションパイプラインによって、これらの変更のビルドとテストが行われます。テストに合格すれば、これらの変更がメインブランチにマージされます。その結果、コードが常に機能し、今後の開発に向けた準備が整います。
自動テストが、継続的インテグレーション/継続的デリバリープロセスの一部として実行され、データの品質とモデルの精度を検証します。これらのテストにより、データエンジニアやサイエンティストにフィードバックが提供され、開発プロセスの問題の把握に役立てられます。
組織はツールを使用して、データ処理パイプラインと分析環境の構成を管理します。その目的は、開発環境、ステージング環境、および本番環境間で不整合が生じるリスクを軽減することにあります。
DataOpsは、次の5つの主要な柱で構成されています。
データをサイロ化せずに活用することで、組織は価値の高い製品やソリューションを構築できます。ただし、製品化にあたっては、次世代のビジネスモデルを取り入れる必要があります。その方法は次のとおりです。
チームの考え方と行動を、DataOpsの原則に合わせる必要があります。組織が高品質のデータ製品を構築できるのは、データチームが協力的で、さまざまなチームメンバーの意見が取り入れられる場合に限られます。
そのためには、チームのメンバーに率直さを求め、データドリブンな意思決定スキルを発揮するよう促す必要があります。
目標を短期間で達成したり進捗状況を把握したりするには、データと分析を日常業務に統合する必要があります。これにより、データを活用して優れた製品を構築できるようになります。必要な作業は、モデルを管理、監視、改良し、組織にとって常に関連性があり価値の高い状態にすることだけです。
データプロジェクトのビジネス手法と戦略を明確に定義した計画を立て、ロードマップやブループリントにまとめることで、ターゲットオーディエンスに迅速にリーチし、彼らが求めるソリューションを提供することができます。
DataOpsでは、データの取り込み、変換、ガバナンスなどのタスクに対して、構造化された方法論とプロセスを導入することも推奨されています。これにより、プロセスのスピードと信頼性が向上し、エラーを削減できます。
DataOpsの原則を導入することで、組織はDataOpsの実験の精度、導入の速度、データの品質を向上させることができます。そこで、組織の可能性を最大限に引き出すためのベストプラクティスをいくつか紹介します。
DataOps分野でキャリアを構築するのは大変だとお考えかもしれません。そこで、キャリアをスタートさせるにあたって知っておくべきことをすべて紹介します。
DataOpsの分野は幅広く、その役割は組織の規模、構造、ニーズによって異なります。一般的なDataOpsの役割としては、次のようなものが挙げられます。
調査によると、米国のDataOpsエンジニアの平均給与は年間約11万685ドルです。ただし、給与は州、専門知識のレベル、DataOps認定資格などの要因によって変わる可能性があります。Talent.com社が2023年にさまざまな州のDataOpsエンジニアの平均給与を調査したところ、次のような結果となりました。
専門知識の習得は、キャリア形成の中で最も重要な段階です。そこで、データ運用の分野で知識を得るのに最適な学習コースをいくつかご紹介します。
(データ関連のその他の資格については、こちら(英語)をご覧ください。)
DataOpsは、製品の提供を迅速化し、ソースシステムから分析プラットフォームへのデータ移動にかかる時間を短縮します。DataOpsのプラクティスが成熟している企業は、このアプローチを採用していない企業と比べて、データモデリングとデータ管理で効果的なコラボレーションを実現できる可能性が2倍高くなります。
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