世界はデータ分析とAI (人工知能)を通じてデータへの依存度を高めています。このような環境でデータの品質が低ければ、付加価値を生まない業務に費やす時間が74%も増加する可能性があります。
そのため、適切なデータガバナンスが今まで以上に重要となっています。
組織がデータドリブンになり、取り扱うデータの量がかつてないほど増えている中で、データの品質やセキュリティを確保し、規制に順守するには、データガバナンスのあらゆる面を理解することが欠かせません。
この包括的なガイドでは、データガバナンスについて、その定義、主要なコンポーネント、メリット、導入、ベストプラクティスなどさまざまな側面を取り上げます。また、データ管理やマスターデータ管理(MDM)との関係についても触れます。
それでは詳しく説明していきます。
データガバナンスは、組織のデータライフサイクル全体を通じて、その品質、セキュリティ、アクセス性を維持するための一連のプロセス、ポリシー、手法を指す言葉で、的確な意思決定と法令順守の強化を可能にします。
データガバナンスとデータ管理を混同しないようにしましょう。データガバナンスは、データを使用する際の指針となるポリシー、基準、役割に重点が置かれています。一方、データ管理は、こうしたポリシーの適用やデータ資産の管理に関連した取り組みです。データガバナンスとデータ管理は、どちらも組織が持つデータのセキュリティと正確性を確保するために不可欠な活動であり、包括的なデータ戦略を策定するのに役立ちます。
データガバナンスでは、データを次のような状態に保つことを目指します。
これらの目標をすべて達成するため、データガバナンスフレームワークでは複数の重要なコンポーネントを利用します。以下に、その一部をご紹介します。
データガバナンスフレームワークは3つの主要なコンポーネントで構成されています。ポリシーと基準、役割と責任、およびツールです。
ポリシーと基準は、組織でのデータの利用、品質、セキュリティ、機密性に関する規則や手順を定めたものです。これらのガイドラインは、データの正確性と完全性を確保し、次のような業界固有の規制要件に準拠する上で極めて重要な役割を果たします。
また、定められたデータ基準に従うことで、ビジネスプロセスを効率化し、ミスを減らして、データ品質を全体的に向上させることができます。たとえば、次のような取り組みが可能になります。
データに関するポリシーと基準を確立して適用することで、組織はデータガバナンスに取り組むための強固な基盤を構築できます。これにより、データ資産の一貫性、信頼性、安全性を維持できます。
効果的なデータガバナンスを実現するには、組織内のデータ資産を管理、維持するための役割や責任を明確にする必要があります。以下はその一般的な例です。
組織は通常、これらの役割をサポートするために、さまざまな部門や関係者の代表者で構成されるデータガバナンス委員会を設立します。この委員会は、データガバナンスプログラムを監督し、重要なデータのアクセス、使用、管理に関する決定を下します。そのため、次のような指導的役割を担います。
担当者を割り当てるだけでなく、データガバナンスの管理に使用するツールを導入する必要もあります。そこで、検討すべき強力なツールをいくつかご紹介しましょう。
データガバナンスツールは、ガバナンスプログラムの管理と導入を自動化する上で欠かせない要素です。よく使われるツールには、次のようなものがあります。
これらのツールは、次のような便利な機能を備えています。
データガバナンスツールの選定にあたっては、既存の環境に迅速かつ安価に統合できる、拡張性の高いオープンソースのソリューションを検討することが重要です。たとえば、クラウドベースのプラットフォームなら、強力な機能を高いコスト効率で簡単に利用できる可能性があります。
データガバナンスの取り組みを確実に成功させるには、次のようなベストプラクティスを考慮する必要があります。
データガバナンスの取り組みを始める際は、以上のベストプラクティスを念頭に置きながら、次の手順に従う必要があります。
データガバナンスは、次のようなさまざまなメリットをもたらします。
データガバナンスのベストプラクティスを導入すれば、データの正確性、信頼性、安全性を確立できるため、最終的にビジネス成果の向上につながります。
また、データガバナンスによって、質の高いデータを経営幹部に提供することで、ビジネス上の意思決定の強化をサポートできます。
データガバナンスの成熟度評価は、組織のデータ成熟度を評価するのにも役立ちます。
データガバナンスは、AIの時代において重要な役割を果たします。その理由は、機械学習アルゴリズムやAIツールで使用されるデータの品質と信頼性を担保することで、最終的に正確で信頼できる結果の生成をサポートできるためです。
現在のようなAIドリブンな時代にデータガバナンスを推進する上で課題となるのが、データ品質の確保、データセキュリティの保護、該当する規制への準拠などです。
このような課題は、適切なデータガバナンスのベストプラクティスを導入することで軽減できます。具体的には、データの収集、保存、アクセスのための安全で信頼できるシステムの確立、アルゴリズムの精度を維持するための定期的なテストの実施、コンプライアンスやセキュリティに関する潜在的な問題を特定するためのAIシステムの継続的な監査などが挙げられます。
データガバナンスが包括的なフレームワークとポリシーを提供するのに対し、マスターデータ管理(MDM)は組織の最も重要なデータ資産の戦術的な利用や管理に重点が置かれています。
マスターデータ管理(MDM)はデータガバナンスの一分野であり、マスターデータと呼ばれる組織の重要なデータ資産の管理と保守を中心とした取り組みです。
データガバナンスとMDMは、どちらも組織が所有するデータの品質、セキュリティ、コンプライアンスを維持する上で重要な役割を果たしており、この2つを組み合わせて導入することで、さらに大きなメリットを得られます。
データガバナンスは、データドリブンな組織の戦略に不可欠な取り組みであり、データの品質、セキュリティ、コンプライアンスを確保するために必要なフレームワーク、ポリシー、ガイドラインを提供します。
組織は、データガバナンスフレームワークの主要なコンポーネントを理解し、データガバナンス戦略を導入し、ベストプラクティスを適用することで、データ資産の潜在的な価値を最大限に引き出せるようになります。AIとビッグデータの時代において、正確で信頼できるデータで成果を達成し、最終的にビジネスの成功とイノベーションを推進するには、効果的なデータガバナンスが欠かせません。
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