Splunkは、日本を含む10カ国、1,250名の企業のIT担当者およびビジネス意思決定者を対象とした調査レポート「State of Data Innovation(データイノベーションの現状)」を発表しました。この調査は、オーストラリア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、日本、ニュージーランド、オランダ、英国、米国のビジネスマネージャーとITマネージャーを対象に、Enterprise Strategy GroupとSplunkが共同で実施したものです。デジタルトランスフォーメーションとして、様々な新たなタイプのデータ分析やそのデータを活用してビジネスプロセスを変革する「データイノベーション」に取り組む組織と、そうでない組織の大きな差が浮き彫りになっています。ここでは調査レポートの内容と、Splunkの年次イベント「.conf21」の発表内容を紹介します。
今回、Splunkが発表した調査レポート「State of Data Innovation(データイノベーションの現状)」では、データイノベーションを「新しいタイプのデータ分析を採用するか、または新しいデータソースを分析対象にすることにより、ビジネスプロセスを再創造または変革する取り組み」と定義しています。このデータイノベーションの調査により、データを有効に活用できる組織や企業は、より多くのイノベーションを実現し、DXの促進やビジネスにより有意義な効果をもたらすことを証明することが目的です。
データ主導のイノベーションに組織が成功しているかどうかを判断するために、「データの定義」「データの集約」「データの品質」「データの調査スキル」「データの調査ツール」「データの監視」の6つの基準で各企業を評価しています。その結果、6つの基準をすべて満たした「リーダー」企業は全体の9%、3~5つを満たした「フォロワー」企業は35%、2つ以下の「ビギナー」企業は56%と分類されました。
調査結果から、データ活用の成熟度が高く、イノベーション重視の戦略をとるリーダー企業は、データイノベーションが進んでいないビギナー企業に比べてめざましい成果を達成していることがわかりました。その差は、製品イノベーション、データの収益化、従業員の生産性、アプリケーション開発の強化において、大きく開きました。特に、データ関連製品/サービスの収益成長率は、ビギナー企業の年間20%に対してリーダー企業では75%増の35%に上ることが分かりました。
また、データ活用の成熟度に関係なく、ほとんどの企業が「データイノベーションは従業員の生産性の向上と製品/サービスの進化につながる」と考えています。改善対象として回答が多かったものは、「従業員の効率/生産性」(62%)、「製品/サービスの開発とリリース」(55%)、「新しい職務の必要性や人材配置の優先順位の確認」(50%)でした。
日本企業の調査結果では、例えば今後24カ月におけるダークデータ活用の重要性について、「最も重要」を選んだ回答者は6%にとどまりました(世界全体では23%)。また、今後24か月におけるビジネスおよびIT戦略について、上位5つの優先事項のひとつつとして「ダークデータ活用」を選んだ回答者は49%(世界全体では58%)でした。
新型コロナウイルスの感染拡大によるデータイノベーションの加速については、日本では16%が「大幅に加速した」と回答し(世界全体では28%)、55%が「多少は加速した」と回答しています(世界全体では45%)。さらに、日本の回答者にとって、データイノベーションにおける上位3つの課題は、「イノベーションに時間がかかりすぎる」(40%)、「データイノベーションに必要なスキルがない」(39%)、「構想を推進するために各チームを調整してまとめるのが困難」(32%)となりました。
一方で、データイノベーションがもたらす成果について、日本企業においては「従業員の効率性や生産性」について60%、「直接的なデータ収益化」について48%、「新しい職務の必要性や人材配置の優先順位の確認」について45%が成長や改善を実感しているという結果になりました。これは世界全体での結果とあまり変わりません。
また、データ活用のためにニーズが増しているスキルは、日本では「データベース管理」が71%で最上位だったのに対し、世界全体では「データの可視化および表示」が60%で最上位でした。
データ活用によってDXやイノベーションのスピードと効果を上げるためには、データを活用する文化を育む必要があります。レポートでは、データイノベーションのリーダー企業がデータ活用により測定可能な成果を得るために実施している戦略を紹介しています。
1:開発者にデータを迅速に提供する
2:相反するイノベーション目標に優先順位を付ける
3:クラウド分析はもはや基本で、これからはオブザーバビリティに注目する
4:データを掘り下げる
5:イノベーションにインセンティブ制度を導入する
6:イノベーションを測定する
7:イノベーションの責任者を明確にする
8:ソフトウェア開発ライフサイクルを継続的に改善する
9:利益を得るために投資する
詳しくは調査レポートをご覧ください。
Splunkの年次イベント「.conf21」が、オンラインで開催されました。ここでSplunkは複数の重要な発表を行っています。日本ではセキュリティベンダーのイメージが強いSplunkですが、グローバルではデータをあらゆる規模で調査、監視、分析、活用することを目的としたソリューションを展開するベンダーと認識されています。今回は、例えばクラウドでの利用を想定し、対象範囲を大幅に拡大していることなどが特徴となっています。
例えば、「.conf21」で発表された最新版の「Splunk Cloud Platform」および「Splunk Enterprise」では、クラウドデータに容易にアクセスするための機能や、Splunkプラットフォームでインデックス化を行う前のデータ、また取り込み中のデータを利用するための機能が新たに開発されています。これらはAmazon AWSとMicrosoft 365を皮切りに、今後はGoogle Cloud Platform、Microsoft Azureのデータソースへと対象が拡大されていく予定です。
また、クラウド上の安価な課金モデルの選択肢として、新たなオプションが追加されました。Splunk Cloudのお客様向けには、ワークロードベース価格体系へのオプションとして「Flex Index」がプレビューとして提供されています。使用頻度は少ないものの長期間保存する必要のあるデータをコスト効果の高い方法で取り込み、検索、保存を可能にします。
多くの製品にオブザーバビリティ機能の拡張を実施したことも特徴のひとつです。オブザーバビリティポートフォリオの範囲と機能を拡大したことで、お客様環境のサービス、インフラ、アプリケーション、ユーザーを最大限に可視化することが可能になります。また、すぐに使える新しいダッシュボードとディレクターによって、面倒な初期設定の手間を軽減し、短期間で価値を実現することができます。DX推進の観点からも有効な機能といえます。
もちろん、セキュリティにおいても「Splunk Security Cloud」および「Splunk SOAR」の機能を拡張し、オンプレミス、ハイブリッド、そしてクラウドの環境をエンドツーエンドで可視化して管理することが可能になり、SOCの作業負荷を大幅に軽減します。
さらにSplunkは、20年以上にわたりインサイトを活用した業務オペレーション改革に携わってきたアクセンチュア社の業界やテクノロジーに関する深い知識と豊富な経験を、Splunkのプラットフォームテクノロジーへ融合させる新しいビジネスグループを創設しました。これからのSplunkにも、ますます期待していただけると思います。
----------------------------------------------------
Thanks!
三船 亜由美
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。