世界や社会が大きく変化し不確実性が高まる中、データ活用により、あらゆる変化やチャレンジをビジネスチャンスに変え、企業の更なる成長とより良い社会の実現につなげていく動きが一段と高まっています。Splunkは昨年、データからあらゆる価値を生み出す「Data-to-Everythingプラットフォーム」という戦略を発表いたしました。これは、セキュリティ、IT運用など個別ソリューションだけではなく、クラウド推進やビジネスプロセスマイニング、IoT化など、実際のビジネスやそれを支えるITの現場に即したデータ活用により、ビジネスや経営をサポートするための「データ・プラットフォーム」であるというメッセージです。
日本においてもデータの利活用に価値を見出し、積極的に取り組まれるお客様がここ数年間で格段に増えつつある中、Splunk日本法人はお陰様で今年で8周年を迎えます。
まさにオリンピックイヤーの今年、データ活用により、日本のお客様が更に世界的な競争力を高め、変化に先駆けたアクションを取っていただけるよう、Splunk日本オフィスのメンバー一同、パートナー様やお客様と連携しながら、引き続きお客様のデジタルトランスフォーメーションの推進に向けて全力で取り組み、貢献して参る所存でございます。
さて、テクノロジーの今後の動向に目を向けた場合、近年、自動化によるテクノロジーの進歩は目を見張る進歩を遂げているのは周知の事実です。この進捗は今年度以降もさらに加速、企業と消費者は、この利便性を最大限享受することになるのは明白ですが、逆に言えばサイバー攻撃等、新手の危険にさらされる危険性も高まることを意味します。
そこで、今回は、喫緊のテーマとしてエマージングテクノロジー、ITセキュリティ、IT運用の3つの領域についてユーザーにもたらすシナジー効果および、これらを軽視した場合の影響について考察したいと思います。
まず、エマージングテクノロジーですが、これは将来、実用化が期待される先端技術を指します。現在、あらゆる産業で蓄積された膨大なデータは、いわゆるビックデータとして将来の企業運営の成否を占う上で重要は意味を持ち、来るべくAI、IoTおよび5G時代を生き抜くうえで必須要件となるでしょう。
しかしながらエマージングテクノロジーの多くは実験段階であり、この開発競争に勝ち抜くことがグローバル時代の覇権を握ることになります。これまでは、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)といった一部のゲームに使用されてきた、このエマージングテクノロジーは今やヘルスケアの分野にも応用されるなど、用途が拡大しています。
特に自然言語処理(NLP)は人間相手に近い会話を可能にするだけではなく、障害のある人のコミュニケーションを補佐したり、外国語をその場で翻訳するなど、大量の非構造化 データを素早く解析することも容易となり、人材の採用、大学入試試験では格段の効率化を実現しています。さらにはビジネスの場においてもソーシャルメディアから収集した非構造データを解析、投資判断など、より正確な意思決定に寄与する機会の増加が見込まれます。
とはいえ、すべてをこれらテクノロジーに依存するのは安易な考えであり、より正確な分析結果を導き出すためには、日々のアルゴリズムトレーニングなくして成果を望むことはできません。
AIと機械学習が意思決定に活用されることは、逆に言えばサイバー攻撃に晒されることを意味するからにほかなりません。そういう観点からすれば、AIや機械学習はヒューマンエラーを再検証する技術の1つであることを認識しておくことも重要です。
次に一部の地域ですでに実用化されている5G通信も今年のキーワードの1つとなります。5Gと聞くと多くはスマートフォンの劇的な速度向上でのみ語られがちですが、やり取りできるデータ量が大幅に増える一方で、遅延が小さくなるため、より効率的でシームレスなエクスペリエンスが可能となります。
特に医療業界ではマシンタイプコミュニケーション(MTC)の導入により、遠隔医療、遠隔リハビリテーション等の実用化も視野に入るなど、医学の場では、バーチャルモデルを使用した外科手術の練習も行われているのです。
これら5Gが社会に定着するのは時間の問題であり、サービスの効率向上、安全性向上、ひいては新しいユースケースの創出のゲートウェイとなることでしょう。
テクノロジーが進化している一方でディープフェイクという旧来からある手口も進化し、同様に増加していることにも注意が必要です。テクノロジーの進化による被害といえば、ハッキングが主戦場のように思われがちですが、Verizon社の2019年のデータ漏洩、損害調査報告書によれば、2013年から2019年にかけて、ハッキング、マルウェアのインシデントは減少傾向にある一方で、ソーシャルエンジニアリング攻撃のインシデント割合は実質的に2倍に増加しています。
これらインシデントを誘引するに至った要因の34%が人的ミスによるものだというのです。すなわちITセキュリティの弱点は決して排除することのできない要素は“人”であるといことを念頭に置く必要があるでしょう。
企業はソフトウェアの脆弱性を解消し攻撃への対応をすることも重要ですが、一方で、単純な人的弱点を突かれないようなための従業員のへのトレーニングを徹底することも留意しなければならないのです。
2017年に基幹インフラの根幹を揺るがす大規模なサイバー攻撃が社会に大損害を与えました(WannaCry攻撃)。しかし、これはあくまでも序章に過ぎないとみるのが正しいかもしれません。たかだか3年前のことであっても、その間のテクノロジーの発展は目覚ましく、デジタル化はあらゆる領域に波及していることを自覚する必要が求められるのです。
そこで重要になるのは、状況を可視化した上であらゆる脅威リスクを緩和する多層型のアプローチです。分析と自動化機能を提供し、さまざまな部門や業種に対応できるツールを備えた、セキュリティ運用プラットフォーム導入がもっとも効果的な対策と言えるでしょう。
IT担当者は自社の運営を円滑に保ちつつ、ユーザーメリットを最大化することが期待されています。しかし、現実にはテクノロジーの進化を効果的に享受しきれていない実態が垣間見られます。
そんな現状下で、キーワードとなっているのは、ARとVRです。これまでAR、VRと言えばゲームに代表されるエンターテイメントの分野に目が行きがちでした。しかし、現在では商用・ビジネスアプリケーションとして多くの業界が着目している分野なのです。
そういう背景から、2020年は様々な組織でAR、VRが活用されることが予想され、消費者市場での爆発的な普及を後押しすると期待されています。4Gの定着で屋外での動画視聴や配車アプリが普及したように、来る5G時代の到来は特にARが主役になり得るでしょう。
現状のARアプリケーションは、消費者が日常行う作業を考慮して作れていないことから、ユーザーエクスペリエンスを提供するARデバイスに進化すれば市場規模が一気に拡大することが予想されます。
このプロセスの鍵を握るのが、技術面とコスト面での手の届きやすさと言っていいでしょう。近年、ARエクスペリエンスの提供と言えばスマートフォンが挙げられます。しかし、それら端末は新しい機種になればなるほど価格が高騰し消費者の潜在的クレーム対象となっています。それら現実を踏まえ、今後のARデバイス普及のカギは「低価格化」と言えるでしょう。
イノベーションの推進と言えば、自動化を思い浮かべる方が大多数だと思います。しかし、自動化はスピードの向上、コスト削減には存分に威力を発揮しますが、一方ではイノベーションや創造的破壊によって企業の進化、発展を妨げる危険性をはらんでいる実態も認識するべきです。
AIを取り入れた自動化は、定型作業、もしくは分析ツールとしての活用により新たなインサイトを得ることに重宝されています。単純作業から解放された従業員を付加価値の高い業務に就かせることがAIの真骨頂とも言えます。結論から言えば自動化は従業員の仕事を補佐し、より価値の高い成果の実現を後押しする手段として使用することが前提なのです。
今後10年のテクノロジーの変化とデータの活用に関して、Splunkのテクノロジーエキスパートによる、「2020年の予測」レポートを用意しておりますので、こちらもぜひご覧ください。
本年も皆さまと共に、2020年が充実し、活気ある一年となるよう尽力して参りますので、何卒よろしくお願いいたします。
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Thanks!
福島 徹
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。