Splunkは、「Splunkによる予測 - IT運用編~リモートワーク、自動化、オブザーバビリティ、クラウドなどによる機会の増加と導入の加速」を公開しました。デジタルトランスフォーメーションの急激な加速をはじめとする、コロナ後の世界で予測されるIT運用に関する注目すべき点を、Splunkのエキスパートたちが考察しています。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、ITの世界は否応なしに「Data Age」(データの時代)に突入しました。ITを運用する上では、デジタルトランスフォーメーションの急激な加速が始まっていることに注目すべきでしょう。データの時代では、ユビキタスで相互連携性の高いデジタルテクノロジーが、データを活用してあらゆる場面で適切な判断を支援し、リアルタイムでの意思決定を可能にします。
ITリーダーは、ITチームを単なるシステムの保守担当から、革新的なITサービスを提供する戦略的パートナーへと進化させるために、少しずつ信頼を築いていく必要があります。しかし、ITサービスの複雑化によって、「仕事を成し遂げたい」というITチームの一見シンプルな希望を実現することさえ難しくなっています。一方で、ユーザーは一貫性や安定性より速さを求めており、「ITは実用性のみを提供する」という考えは、すでに通用しなくなっています。
「エンタープライズアーキテクチャの観点、そしてアプリケーションとソリューションの観点から、ITチームがサービス志向のマインドセットに転換し、速さをどう実現するかについて明確な方向性を持つことができれば、ビジネスチームの一歩先を行くことができるでしょう」と、SplunkのCIOであるSteve McMahon氏は言います。その「明確な方向性」の柱となるのが、インストルメンテーションと自動化です。この2つを追求しないCIOは職を失うと予測しています。
McMahon氏は実際にCIOとして、常に現状を把握し素早く対策を打ちたいと考えており、それこそが「ITがオブザーバビリティに向かう根本的な理由」であるとしています。オブザーバビリティとは、システムの運用状況をどのくらい正確に理解できるかを示す指標のこと。そしてインストルメンテーションは、そのインサイトを得るための測定対象と測定方法を指します。しかし、測定対象となるシステムが複雑化していることに加え、新型コロナウイルスの影響でクラウドへの移行が加速したことで、ダッシュボードや分析レポートの準備すら追い付いていません。
「トランスフォーメーションを迅速に進めるための計画を立てず、組織構造も見直さずに、サービス志向の考え方を取り入れようとするCIOは、3年後には職を失っているでしょう。慎重すぎて決断の遅いリーダーは取り残されるのです」とMcMahon氏は言います。業を煮やしたビジネスチームが自腹を切ってでもシャドーITに走るような事態になれば、ITチームの責任、洞察力、ビジネスへの影響力、評判は失墜してしまいます。
自動化については、「自動化を成功させるために最後の鍵を握るのは、意外にも『人』である」と予測しています。自動化はデジタルトランスフォーメーションの一環として以前から導入が進んでいましたが、新型コロナ対策の感染拡大対策のために導入が急速に進んでいます。その目的は、大量データの管理や定型作業から人的要因を取り除いて、スピード、規模、精度を高めることです。
すでに自動化はさまざまな業界で幅広く利用されています。例えば中国では、パンデミックの発生以来ロボット化の波が押し寄せ、病院、職場、公共エリアの消毒から、検温、ある病院では調理から配膳にまでロボットが活用されています。自動化は効率向上だけでなくイノベーション促進にも役立ちます。Splunkの機械学習責任者であるRam Sriharsha氏は、高度に自動化された環境であってもイノベーションは人間の専門領域であるといいます。
なぜかというと、業務ユーザーがデータに対して有意義な質問を投げかけたり、結果として得たプロセスを自動化したりするには、事前にデータエンジニアがデータを準備し、データサイエンティストがデータサイエンスワークフローを整備して、AI/機械学習エンジニアとインフラチームがそれらを1つにまとめる必要があるためです。「ビジネスのバリュープロポジションは、適切な質問を投げかけてその結果を正しく解釈することでビジネスをモデル化できる人を雇用することにあるのです」とSriharsha氏は結論づけています。
クラウドの管理においては、「クラウドの複雑さが優れた統合監視ツールの需要を押し上げる」と予測しています。クラウドファーストやクラウドネイティブを掲げる企業であっても、コンテナやKubernetes、サービスメッシュの導入を伴うマイクロサービスアプローチなど、新しいテクノロジーや技法を取り入れれば、複雑化は避けられません。さらに、これらのテクノロジーをすべて監視するだけでなく、観測し、セキュリティで保護する必要もあります。
アプリケーションの構築方法は急速に進化しています。データセンターのJava仮想マシンにデプロイすることはすでに主流ではなく、最近ではすべてをクラウドに配備して一連のサービスを構成するモデルが増えています。「そのため、クラウドに配備されモバイルデバイスと通信するアプリケーションを監視する必要があります。この180度の変化がオブザーバビリティツールの導入を加速させています」とSplunkの最高技術責任者であるTim Tully氏は説明します。
オブザーバビリティツールは、問題が発生したことを知らせる監視ツールとは異なり、修復すべき点とその理由に関するインサイト、修復方法を知らせるもので、ソフトウェアアーキテクチャが最新アプローチにシフトする過程で不可欠な機能です。一方でクラウドファーストやマイクロサービスの手法を使用しないアプリケーションも存在するため、異なるアプローチが混在する環境では、監視が一層複雑になります。
Splunkの最高プロダクト責任者兼クラウド担当SVPであるSendur Sellakumar氏は以下のように言います。「そこで登場したのがクラウドを対象とする新しいタイプのツールです。しかし、私にとって重要なのは、どのインフラを監視できるかではなく、現状を適切に監視できるかどうかです。例えば小売企業の場合、eコマースやモバイルエクスペリエンスをバックエンドのSAPサプライチェーンシステムとどのように関連付ければよいでしょうか」。この2つは別々のシステムで、運用も監視方法もまったく異なりますが、「スマートフォンから靴を購入した顧客」という切り口で考えれば、2つのシステムを結び付けることができます。こうした状況が、統合された監視ソリューションの需要を押し上げており、今後はベンダーの開発競争が活発化するとしています。
十分な準備をしないまま「データの時代」に対応した企業については、「早急な対応のマイナス面が浮き彫りになり、2021年は失敗や無駄が噴出する」と予測し、警鐘を鳴らしています。多くの組織が、突然のオフィス閉鎖に対する急な対応によってデジタル環境は混乱状態になり、秩序が失われるのはもはや時間の問題となっています。新型コロナウイルスの感染拡大対策のために新しいソリューションや複数のクラウドを慌てて導入し、複雑さが増せば、パフォーマンスやセキュリティに問題が生じます。
パフォーマンスの低下は、テクノロジーとプロセスの間にギャップを作ることになるでしょう。この問題を解決するには、長年かけて複雑化した現行システムの構成を把握し、クラウド環境に合わせたAPIの導入や、アプリケーションのリファクタリングなどを行う必要があります。
新しい手順を整備できないと、セキュリティ面に深刻な問題が発生します。特に、イノベーションを可能にする柔軟性を備えたクラウドに、セキュリティ対策は必須であるとSellakumar氏は指摘します。「お客様向けの説明会では、100人中99人が『自社の開発者は標準モデルに従ってAmazonまたはAzureでサーバーをスピンアップできる』と言いますが、『サーバーをインターネットにつながないようにするためのポリシーを組織として設定しているか』と聞くと、『はい』と答える人は大きく減ります」。
簡単なBI分析を実行するなど、クラウドを利用するのは非常に簡単です。しかしその前に、扱うデータとその保存先、保護方法に関するポリシーを策定して浸透させる必要があります。それは容易ではありません。Splunkのような製品があれば、データの扱いを比較的簡単に監視および管理できますが、多くの組織はそこまで考えないのが現状です。これはコストに関しても同様で、運用状況を評価して適時にスケールダウンするための手順が必要です。そのためにはクラウドリソースの一元管理が不可欠になります。
「Splunkによる予測 - IT運用編~リモートワーク、自動化、オブザーバビリティ、クラウドなどによる機会の増加と導入の加速」では、このほかにもIT運用におけるさまざまな予測とその対応について記載されており、ITリーダーやITシステム部門の方をはじめ、多くの企業ユーザーに有用な内容となっています。ぜひダウンロードしてご覧ください。
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Thanks!
福島 徹
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。