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グローバル調査でオブザーバビリティの効果が明らかに

オブザーバビリティ調査レポートクラウド化やDevOpsの拡大によりIT環境がますます複雑化する中で、システムの全体を把握するオブザーバビリティ(可観測性)に注目が集まっています。Splunkは、グローバル調査レポート「The State of Observability 2022~2022年のオブザーバビリティの現状~」を発表しました。この調査レポートでは、オブザーバビリティが先進的な組織の未来をどのように形作っているかについて調査しています。日本においては、7月に「Splunk Observability Cloud」を、AWSの東京リージョンを活用して国内でのサービスを提供開始すると発表しています。今回は、この2つの発表について紹介します。

オブザーバビリティに関するグローバル調査を公開

今回のオブザーバビリティ調査では、オブザーバビリティがデジタルトランスフォーメーションを促進すると同時に大幅な節約効果を生み、優れた人材を惹きつけて、ビジネスを新たなレベルに引き上げる原動力となっていることが明らかになりました。レポートでは、組織のオブザーバビリティ実践の成熟度を「経験」「データの相関付けの規模」「ベンダー統合の進捗」「AI/機械学習の活用」の4つのカテゴリで、それぞれ成熟度を「リーダー的組織」「取り組み中の組織」「ビギナー組織」と定義して分類、評価しています。

「経験」の観点では、ビギナー組織の割合が前回調査の2倍に増えています。これは、12ヶ月以内にオブザーバビリティの取り組みを始めた企業が非常に増えていることを示しています。しかし、その他「データの相関付けの規模」「ベンダー統合の進捗」「AI/機械学習の活用」ではビギナーで留まっている組織の割合は前回調査と変わりがありません。これは取り組み始めたばかりの企業であっても、オブザーバビリティ実践のベストプラクティスとして、最初からこれらを検討に含めていることを示しています。

調査結果からは、クラウド環境の複雑化も明らかになっています。現在では、ただクラウドに移行するのではなく、複数のパブリッククラウドを利用するのが一般的(70%)になりました。またそのうちの55%が複数のパブリッククラウドを有効活用しています。リーダー的組織では、44%が自社製アプリケーションのすべてのクラウドネイティブワークロードをパブリッククラウドインフラで運用していました(ビギナー組織では22%)。

オブザーバビリティ導入によるさまざまなメリット

オブザーバビリティの成熟度を高めるメリットは、「現状をよりすばやく把握できるようになること」と「問題をより素早く、ときには発生前に解決できるようになること」の2つに集約されます。オブザーバビリティ実践の成熟度が上がると、現場担当者の間で信頼性の高い優れたデジタルエクスペリエンスを自社が提供できているという自信が高まることもわかりました。

自信はすべての成熟度レベルで年々高まっており、全体的にオブザーバビリティの成果が向上していることが分かります。自社サービスがアプリケーションの可用性とパフォーマンス要件を満たすことに完全に自信があると回答した割合は、リーダー的組織は71%にのぼります(ビギナー組織では35%)。

また、可視性も向上しており、アプリケーションのパフォーマンスをかなり可視化できていると回答したリーダー的組織は66%にのぼりました(ビギナー組織では44%)。同様に、セキュリティ態勢の可視性も高まっていました。

アプリケーション開発と信頼性においては、複数のKPIでリーダー的組織とビギナー組織の差が非常に大きくなりました。リーダー的組織は、自社製アプリケーションの多くのコードを本番環境にオンデマンドでプッシュできる割合がビギナー組織の2.1倍、自社製アプリケーションに関する問題を数分以内に検出できる割合も2.1倍となり、年間のダウンタイム発生数の中央値は、リーダー的組織が2回であるのに対し、ビギナー組織は6回でした。開発時間、デプロイ時間、アプリケーションの可視性、問題検出、問題解決など、改善においても両者には大きな差が出ました。

オブザーバビリティのリーダー的組織は、障害発生時の損失コストがビギナー組織の1/10に

オブザーバビリティのリーダー的組織は、革新性(イノベーション)でも際立っています。アプリケーション開発チームが開拓した新しい製品や収益源が、昨年だけで60%、数にして8回増えています(ビギナー組織は5回)。そして、イノベーションと密接に関連するのがデジタルトランスフォーメーションです。リーダー的組織はこの点でも優れており、デジタルトランスフォーメーションの取り組みが非常に成功していると回答した割合は72%で、前年の50%から増加しています。一方、ビギナー組織は32%にとどまりました。

調査では、オブザーバビリティ実現のメリットとともに、システム障害の具体的なコストについても調べています。ビジネスクリティカルなシステムが停止した場合の影響は、業種や組織の規模によってかなり差があります。しかし、さまざまな切り口で平均を調べると、一定の傾向が見えてきます。

レベルごとにダウンタイムの損失コストを計算したところ、リーダー的組織は250万ドル、取り組み中の組織は790万ドル、ビギナー組織は2,380万ドルと、大きな差が出ました。リーダー的組織が平均してダウンタイムのコストを90%以上削減できていることは、オブザーバビリティのメリットを示す有力な証拠といえます。

オブザーバビリティを幅広く実践してビジネス全体を可視化すれば、セキュリティ強化、パフォーマンス向上、年間コスト削減など、多面的なメリットが見込まれます。

日本のオブザーバビリティ導入への課題の1つは人材不足

日本の結果を世界と比較すると、オブザーバビリティ導入への課題が浮き彫りになりました。日本では、オブザーバビリティ導入に対するチームの抵抗感を課題として挙げた組織が36% (他国の平均は22%)、オブザーバビリティ人材の不足を挙げた組織が38% (同22%)にのぼりました。

グローバルの結果をみても、世界中の組織がオブザーバビリティへの投資に意欲を示す一方で、人材不足がオブザーバビリティ向上の大きな足枷になっていることがわかっています。調査では95%の組織が、インフラやアプリケーションの管理と可用性のモニタリングに必要な人材の獲得を課題に挙げ、81%が、人材不足が原因でプロジェクトやイニシアチブが失敗した経験があると回答しています。

オブザーバビリティのリーダー的組織になるには、適切なオブザーバビリティツールとプラクティスを整備し、優れた人材を惹きつける環境を作ることが重要です。データの量と多様性にAIで対抗すれば、人材不足の問題を緩和できます。優れた人材を獲得するためには、スキル取得の教育に投資することも有効です。

オブザーバビリティの強化はビジネス競争力の大幅な向上につながります。レポートではこのほか、「オブザーバビリティ実践の現状」と「オブザーバビリティの将来の展望」について詳しく解説しています。また、「オブザーバビリティの普及はこれからが本番」であるとして、オブザーバビリティ実践のための推奨事項も紹介しています。

これらの情報は、レポート「2022年のオブザーバビリティ調査」をダウンロードしてご覧ください。

「Splunk Observability Cloud」をAWS東京リージョンで提供開始

Splunkは7月26日、「Splunk Observability Cloud」を、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の東京リージョンを活用し、同月より日本国内において順次サービスの提供を開始すると発表しました。Splunk Observability Cloudは、インフラ監視、アプリケーションパフォーマンス管理、リアルユーザー監視、合成モニタリング、ログ調査、インシデント対応のすべてに対処できる、包括的なクラウドソリューションです。ITチームやDevOpsチームは、今までにないエンドツーエンドの可視化が可能になります。

日本では株式会社カインズがECサイトのリニューアルをきっかけにSplunk Observability Cloudを採用し、サイトの継続的な監視業務およびWebサイトの表示速度などの計測作業が可能になりました。また、東京証券取引所は、情報系システム基盤のハイブリッドクラウド環境への移行において、Splunk Observability Cloudの構成製品の1つであるSplunk Synthetic Monitoringを導入し、インシデントをいち早く検知できるようになり、ユーザー体験の改善も可能になりました。

今回、AWS東京リージョンを通じて日本でのサービス提供を行うことで、国内企業は国内データ保持の選択肢を得ることが可能になり、またオブザーバビリティにとって重要な要件である低レイテンシーでの観測が可能となります。企業はこれにより、データレジデンシーに関連するコンプライアンス要件にも対応できるようになります。

昨今、低レイテンシーでのサービス提供に対する需要は拡大しています。データ転送速度の遅延によるサービス利用者の不満が募ることで、ウェブサイトからの離脱率は高まり、収益機会の損失に繋がりかねません。近年は、BtoC(Business to Consumer)に加え、BtoBtoC(Business to Business to Consumer)というビジネスモデルも主流化し、可能な限りリアルタイムに近い形での顧客対応が必要であると認識する企業の割合は増加しています。サービスのインフラ基盤となるデータセンターの拠点を日本国内に有することで、海外拠点にあるクラウドサーバーを利用する際と比較し、データ転送時間の短縮を実現することができます。また、お客様のIT環境により近い場所においてサポートを行うことで、セキュアでより精度の高いサービス提供が可能となります。

今回のSplunk Observability Cloudの国内提供開始について、アクセンチュア株式会社、株式会社日立ソリューションズ、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、SCSK株式会社、株式会社マクニカ、日本電気株式会社、富士通株式会社などの国内パートナー企業が東京でのサービス開始を歓迎しています。この機会にぜひ、ご検討なさってみてはいかがでしょうか。

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Thanks!
三船 亜由美

Splunk
Posted by

Splunk

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