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【Data Age - データの時代に備える】2025年にはデータ量が5倍に? 急増するデータへの対応と期待を調査

Splunkは9月11日、世界8か国、5業界のビジネスマネージャーとITマネージャーを対象とした、組織のデータ活用状況に関する調査レポート「Data Age - データの時代に備える」を発表しました。急増するデータに対する組織の考え方や現状が明らかになっています。ここでは、調査結果の概要を紹介するとともに、組織に推奨される取り組みについて紹介します。

データの価値に高い期待を寄せるも、その準備はできていない

Splunkが発表した調査レポート「Data Age - データの時代に備える」は、2019年10月から2020年1月にかけて、米国、フランス、中国、オーストラリア、英国、ドイツ、日本、オランダの8か国、5業界にわたるビジネスマネージャーとITマネージャー2,259人を対象に、2回に分けて実施したものです。日本からは約250名のリーダーが参加しています。なお、SplunkとTRUE Global Intelligenceが共同で実施しています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の概念が発表されて四半世紀が経過し、またビッグデータが注目され始めて約10年が経過して、いよいよデータの時代(Data Age)が到来しました。しかし、5G、エッジコンピューティング、ブロックチェーン、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)、AI/機械学習、IoTの6つのテクノロジーがデータの増加に拍車をかけている現在、膨大なデータが持つ潜在価値を完全に引き出している組織はほとんどありません。

データを完全に活用できる組織は、パフォーマンスの最適化、サービスの向上、新しい市場機会の開拓を実現し、すべての業界で競争優位を獲得できるでしょう。事実、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックは、強力なテクノロジーが経済、労働者、健康に関わり、支え得ることを証明しました。この新しい時代に成功を勝ち取るには、組織内のすべてのデータを可視化し、インサイトをリアルタイムで取得して、すぐに行動を起こすことが求められるのです。そこで、組織が直面する課題と得られる機会について考察するために、今回の調査が行われました。

 

グローバルの調査結果では、全体の67%の回答者が「2025年までにデータの量が現在の約5倍に増加する」と予測しています。そして回答者の81%が、こうしたデータは組織にとって「極めて」あるいは「とても」価値があると回答しています。データが自組織にどのような価値をもたらすかを聞くと、81%が「組織全体の成功」と回答、「イノベーション」(75%)、「サイバーセキュリティ」(78%)と続きました(「極めて」と「とても」の回答の合計)。

データの価値を認識している一方で、増加し続けるデータを活用できる「準備ができている」と回答したのは14%にとどまり、「現在準備中」が33%、「準備していない」が22%と、データを活用する準備が追いついていない現状が明らかになりました。「わからない」という回答が10%あることも気になります。また、前述のデータの時代を牽引する6つのテクノロジーのいずれかについて「専門的な知識がある」または「よく理解している」と回答したのは半数以下で、平均するとある程度以上に理解している回答者は42%になります。

6つの最新テクノロジーのいずれかを「すでに利用している」と回答したIT/ビジネスマネージャーはさらに少なく、調査対象となった回答者の組織の中で最も導入が進んでいるのは「IoT」ですが、それでも28%にとどまっています。このように理解が進んでおらず、現在の導入率も30%以下であるにもかかわらず、これらの最新テクノロジーの将来性に期待を寄せていることも明らかになりました。6つの最新テクノロジーについて、平均で約半数(49%)の回答者が、今後これらのテクノロジーを利用したいと回答しています。

6つの最新テクノロジー別の理解度と取り組み状況

今後5年間で「データが増加する」と回答した人の割合は全体の平均で67%でしたが、日本は75%と平均より高く、最も割合の高かった中国(89%)に次いで高い結果となりました。データが増加する倍率の予測は3.1倍と、8か国で最も低い倍率となっています。また日本は、データ戦略の開拓においても遅れを取っていることが明らかになっています。「競争についていくのに苦心している」と回答したのは日本で67%と、全体平均の58%を大きく上回っています。

次に、最新テクノロジーの理解度について見ていきます。

  • 5G:超高速データ通信

5Gネットワークでは、より多くのユーザーがより多くの場所から高速かつ低遅延でデータ通信ができるようになり、その結果として新しいデータジェネレーターとデータコンシューマーが生まれ、既存のデータジェネレーターとデータコンシューマーがより多くのデータを生産および消費できるようになると期待されています。

5Gについて「専門的な知識がある」または「よく理解している」と回答した割合は、全体では44%。最も割合が高かったのは中国(62%)で、フランス(59%)、米国(45%)と続きます。日本は24%にとどまり、8か国で最も低い結果となりました。

  • エッジコンピューティング:イノベーションを陰で支えるインフラ

エッジコンピューティングは、ネットワークの終端となるデバイスでデータの処理を行うことで、高速なデータ転送を実現するテクノロジーです。

エッジコンピューティングについて「専門的な知識がある」または「よく理解している」と回答した割合は39%と、6つの最新テクノロジーの中で最も理解が進んでいませんでした。利用には前向きなものの、ユースケースを整備済みの組織は少なく、ユースケースの開発に着手すらしていない組織が多いことがわかりました。「ユースケースの開発はしていない」との回答は、日本が58%で最も多く、「整備済み」「ユースケースを開発中」の回答の割合も8か国で最も低い結果となりました。

  • ブロックチェーン:データの民主化によるセキュリティと透明性の向上

ブロックチェーンは、データの所有権を民主化して単独の攻撃者による不正行為や情報の盗難を防ぐことで、サイバー脅威から保護するテクノロジーです。ブロックチェーンを「すでに利用している」と回答した割合は、全体で24%。「将来利用する予定」は45%で、導入タイムラインの平均期間は3.1年でした。

  • AR/VR:外科医とハイテク製造業者の業務革命

AR(拡張現実)とVR(仮想現実)は、消費市場ではかなり以前から普及の兆しを見せつつも、いまだ普及は拡大していません。一方で産業分野、特に製造をはじめとする業種では、作業をより安全かつ効率的に行うためのコアツールとしてすでに活躍しているほか、ヘルスケア業界でも、医師が手術中に術部を視覚化するために利用されています。

ARおよびVRについて「専門的な知識がある」または「よく理解している」と回答した組織の割合は42%でした。一方で「あまり理解していない」または「まったく理解していない」との回答は35%で、難解とされるブロックチェーンの数字を上回っています。

  • AIと機械学習:データを活用した効率化と発見

AIと機械学習は、データを活用する上で最も重要なイノベーションといえます。より正確な判断と自動化に大きく寄与するため、高い期待が寄せられています。ただし、期待が高まっている割には、「専門的な知識がある」または「よく理解している」と回答した割合は42%にとどまっています。それでも、25%の組織は何らかの形でAI/機械学習をすでに利用しており、51%は将来利用する予定で、導入タイムラインの予測期間は平均3.3年となっています。

  • IoT:以前は存在しなかったデータの取得

IoTはここ数年間で急速に普及しており、その用途も非常に広範囲にわたっています。これらのIoT機器やセンサーなどから得られるデータが、データの時代の中核を占めることになります。それだけに、IoTについては「専門的な知識がある」または「よく理解している」と回答した割合は45%で、6つの最新テクノロジーで最も高い結果となりました。ただし、5Gとの差が1ポイントしかないことも事実です。

IoTは利用率も最も高く、28%の組織がIoTテクノロジーを現在利用しており、さらに48%が将来利用する予定だと回答しています。将来利用する予定の組織での導入タイムラインの予測期間は平均3年となっています。

組織に推奨される取り組み

レポートには、データの時代に大きな利益を得られるようになるために、組織に推奨される取り組みについても紹介しています。取り組みには「すべてのデータを活用する」「ビジネス戦略に基づいてデータ戦略を立てる」「セキュリティを基本原則にする」「断片的なアプローチから卒業する」「全員をデータサイエンティストに育てる」の5つを挙げています。

例えば「すべてのデータを活用する」では、調査結果から組織内のデータを最適に整理、管理、活用していると断言できる組織がほとんどない現状が明らかになっています。まずは、保持しているデータを棚卸しして、データのソースを把握し、その取り込み、管理、分析プロセスを整備することが重要としています。特にデータ資産の把握については、1日でも早く開始するのが最善としています。

調査レポート「Data Age - データの時代に備える」は、誰でもダウンロードすることができます。ぜひご覧いただき、データの時代に備える参考にしてください。

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Thanks!
福島 徹

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