OSI (Open System Interconnection)モデルは、デジタル環境の構築方法を定める基本的な概念です。この概念的な枠組みには、ネットワーク内やクラウドおよびインターネット環境でさまざまなコンピューターシステムが相互に通信する方法が詳しく示されています。
このブログでは、OSIモデルが私たちのデジタルライフ、アプリケーション、ネットワークにどのように関わっているかを見ていきます。
OSIモデルは、1984年に国際標準化機構(ISO)によって初めて導入されました。当時のネットワークは、イーサネット、トークンリング、FDDI、ARCNETなどの競合する複数の技術規格に従って運用されていました。
今日と同様に、IBM、Burroughs、UNIVAC、Hewlett Packardなどの企業が、互換性のないさまざまなマシンテクノロジーやオペレーティングシステムを提供していましたが、1980年代初頭には、2つの異なるコンピューターシステム間でデータを交換する方法を規定する合意された標準や設計図はありませんでした。
OSIモデルは、さまざまなテクノロジーを使用する多様なコンピューターシステムが相互に通信する方法の概念的な枠組みを提供するために策定されました。システム間の通信に使用されるアクティビティ、プロセス、標準プロトコルが抽象化されて説明されています。
OSIモデルは、設計、エンジニアリング、マーケティング、文書化など、さまざまな用途におけるデジタルコミュニケーションの動作を明確にし、視覚的に表現するのに役立つとともに、ネットワークの問題のトラブルシューティングや切り分けにも利用されています。
ネットワーク、クラウド、インターネットで使用されている概念的な枠組みは、OSIモデルだけではありません。インターネットでは、基盤となるもう1つの通信プロトコルセットとして、TCP/IPフレームワークモデルも総合的に使用されており、多くのTCP/IPプロトコルがOSIモデルで参照されています。
今日でも、メーカー、エンジニア、ベンダー、ユーザーなどは、自身のシステムが他のシステムと通信するために必要なコンポーネントを判断するために、OSIモデルを参照しています。OSIモデルとTCP/IPモデルは、いずれも基本的なレベルでデジタルライフの一部として取り込まれているため、特に意識されることなく、明示的にも暗黙的にも使用されています。
以下に示すように、OSIモデルは7つの階層に分かれており、ネットワークやクラウドおよびインターネットを介して異なるコンピューターシステムが相互に通信するために必要なアクティビティとプロセスが記述されています。
OSIモデルは通常、上から下に降順(第7層から第1層の順)で表され、エンドユーザーレベルである第7層(アプリケーション層)から始まり、間にあるすべての層を経て、通信回線やネットワークカード間でビットを物理的に伝送する第1層(物理層)に至るまで、データがたどる伝送経路が定められています。
異なるコンピューターシステムが相互に通信する方法を定義するOSIモデル
OSIモデルは双方向の通信に適用され、データの送信側と受信側の両方で使用されますが、双方の役割は伝送プロセス中に入れ替わります。
たとえば、あなたが使用中のブラウザからこの記事のURLをリクエストすると(下向きの矢印)、そのリクエストはまずアプリケーション層(第7層)で生成されます。次に、リクエストされたデータ(URLと伝送情報)が変換され、OSIモデルの階層を下方向に移動し、物理層(第1層)で受信されて、SplunkのWebサーバーがあなたのリクエストを受信します。
続いて第1層で、Splunkサーバーがリクエストを処理し、HTMLコードと伝送情報を取得して、記事を送信側に送り返します(上向きの矢印)。データの返送が物理層(第1層)から始まり、記事が伝送され、変換されながらOSIモデルを上方向に進み、使用中のブラウザ(第7層のアプリケーション層)に到達したところで、あなたはこの記事を読むことができます。
このモデルは双方向に適用されるため、ブラウザとSplunkのWebサーバーの両方が送信者と受信者として機能します。
このデータ転送フレームワークをモデル化すれば、内部ネットワークやクラウドおよびインターネット内のほぼすべてのコンピューターシステムで利用できます。
これまでの説明で、OSIモデルが定義するデータの転送の仕組みをご理解いただけたと思います。
OSIモデルを見ると、7つの階層をさらに3つの上位層グループに分類できることがわかります。これらのグループを使って、階層ごとの具体的な機能に触れずに、OSIモデルの機能(ソフトウェア、OSIの心臓部、ハードウェア)を概略的に説明します。
アプリケーション層、プレゼンテーション層、およびセッション層(第7層、第6層、第5層)は、OSIモデルのソフトウェア層と総称されます。次のようなソフトウェアアプリに関連する伝送アクティビティは、すべてこの層で発生します。
トランスポート層(第4層)は、OSIの心臓部とも呼ばれます。異なるシステム間での実際の伝送は、この層で発生します。
ネットワーク層、データリンク層、および物理層(第3層、第2層、第1層)は、OSIモデルのハードウェア層と総称されます。この層で、データは各システムの物理コンポーネントを通過しながら処理されます。
次に、個々の階層を見ていきましょう。OSIモデルの7つの階層は、ネットワークシステムを設計する際の複雑さを軽減する役割を担っています。それぞれの階層では、ソフトウェア層、OSIの心臓部、およびハードウェア層のサブ機能が説明されています。
アプリケーション層は、エンドユーザーに最も近い階層で、エンドユーザーから情報を受け取り、結果をユーザーに送り返します。その名前とは反対に、第7層はクライアントアプリケーションが属する階層ではありません。この階層は、ソフトウェアやアプリがデータを伝送するための、次のようなプロトコルを提供します。
プレゼンテーション層は、データがアプリケーション層(受信側)またはネットワーク層(送信側)で使用可能な形式になるように整えます。第6層は次の役割を担っています。
セッション層は、2つのシステムが相互に通信するために必要なセッション(接続)を確立し、維持します。第5層では次のことを決定します。
また、データ転送を保証および同期するためのチェックポイントも作成します。
トランスポート層は、トランスミッションコントロールプロトコル(TCP)やユーザーデータグラムプロトコル(UDP)などの伝送プロトコルを使用して、システム間のネットワークトラフィックを管理し、正確なデータ転送を保証します。
また、第4層ではフロー制御とエラー制御を行い、伝送速度を調整して、必要に応じて再送信を要求します。
ネットワーク層は、データが通る物理パスを決定して、トランスポート層のセグメントを小さなネットワークパケットに分割して送信します。また、受信側では受信システム上でそれらのパケットを再構成します。このセッションは、主にIPアドレスを使用して、パケットを宛先にルーティングします。
第3層の処理は、送信側システムと受信側システムが同じネットワーク上にある場合、通常はバイパスされます。
データリンク層は、ネットワーク上のデータの形式を決定します。ネットワーク層と同様に、同じネットワーク上の直接接続された2つのノードまたはシステム間でのデータ転送を可能にします。また、物理層(第1層)で発生した可能性のあるエラーも修正します。
データリンク層は、メディアアクセス制御(MAC)処理を使用して、2つのシステム間のフロー制御と多重化を行います。また、論理リンク制御(LLC)を使用して、フロー制御とエラー制御も行います。
物理層は、物理的な媒体を通じて、生のビットストリームデータ(1と0)を変換して送信します。第1層が関係するのは、システムが使用する次のような物理的な接続と電気的な接続です。
物理層では、ハブ、リピーター、モデム、ネットワークアダプターなどのネットワークコンポーネントも扱われます。
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