日本政府においてはクラウド・ファースト(先ず、クラウドの利用を検討)の掛け声のもと、クラウドの利用が促進されてきました。具体的には、2018年6月には「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」を日本政府が発表しました。
次は、クラウド・スマート(クラウドの賢く適切な利用)が新しい掛け声になりそうです。クラウド・スマートは、政府の新方針として、2022年5月に実施されたデジタル庁技術検討会において言及されており、「単にクラウドに移行するだけではなく、クラウドのメリットを十分に得られるように」との思いが込められています。
さて、この方針変更ですが、裏を返せば、2022年現在はクラウド・ファーストの掛け声に従って単にクラウドに移行しただけで、クラウドのメリットを十分に得られていないクラウド案件が見過ごせないほどあるということでしょう。クラウドを適切に活用すれば、業務効率向上、稼働率向上、セキュリティ向上、コスト削減といった素晴らしいメリットが享受できます。しかしながら、クラウドの特性を理解せず、オンプレと同様の運用をすれば、こうしたメリットが享受できないばかりかかえって大きなマイナスになってしまいます。
では、実際よく陥るクラウド移行時における課題をご紹介します。そして、どう対策すれば避けられるのでしょうか。
第1の失敗:コストの肥大化
第2の失敗:安定性を犠牲にした改革の推進
第3の失敗:セキュリティ戦略なきクラウド戦略
第4の失敗:統合アプローチを備えていない新規ツールの導入
第5の失敗:ツールの肥大化に伴う複雑性の増大
第6の失敗:データ価値の活用不十分
日本政府の場合、これまでのシステムを単にクラウドに置き換えた際に発生する第1 ~ 3の失敗に陥っている事例が多い気がします。政府の新しいクラウド利用指針も第1の失敗(クラウドにかかるコスト)と第3の失敗(セキュリティ)を意識した改定になっています。第4 ~6の失敗は、クラウドの重要なメリットであるSaaSの利用やアジャイル開発が活発に進み、データに基づく改善を図ろうとする際に生じる課題です。これらの問題が顕在化し、解決されてはじめてクラウドの適切な利用とみなせるのではないでしょうか。しかし、これには、あと数年はかかるかもしれません。
対策について一言で説明するならば、まずクラウドシステムからの確実なデータの収集と分析です。利用するクラウドシステムから情報を収集し分析することで、業務改善や稼働率向上やセキュリティ向上、コスト削減につなげることが可能です。
資料 『クラウド戦略上の6つの失敗 その回避策(政府機関編)』 では政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に向けて、クラウド・スマートを実現するため非常に示唆に富むレポートとして詳細を解説しています。また、本資料の中では「オブザーバビリティ」という概念が大事だと強調されています。ぜひ読んでいただければと思います。
我が国のクラウド移行を高いレベルで実現するため、弊社としても貢献できるよういっそう励む所存です。
ぜひ『政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準に対応する Splunkの活用』も併せてご覧ください。
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