ネットワークを円滑に運用したいと考えていても、ネットワークを停止させることなく最適な状態で確実に稼動させるには、どうすればよいでしょうか?
その答えがネットワーク監視です。
ネットワーク監視では、ネットワークのパフォーマンス、可用性、全体的な機能を監視します。これにより、エンドユーザーに影響が及ぶ前に問題を特定して解決できるようになります。以下で、詳しく説明します。
ネットワーク監視とは、コンピューターネットワークのパフォーマンス、可用性、稼動率を追跡する手法のことです。ユーザーに影響が及ぶ前に問題を特定し、トラブルシューティングを行えます。そのため、一部のツールでは、ルーター、スイッチ、サーバーといったネットワークデバイスからデータを収集して分析し、潜在的な問題を特定できます。
ネットワーク監視がビジネスの規模や業界を問わず必要になるのは、次の点で役立つためです。
ネットワーク監視は、IT運用に欠かせない要素です。一般的に、ネットワーク担当者が、ネットワークオペレーションセンター(NOC)を支えています。
ネットワーク監視には主に4つの種類があり、それぞれ目的と対象範囲が異なります。以下に、簡単に説明します。
(アプリケーションパフォーマンス監視についてはこちらをご覧ください)
ここで1つ明確にしておきたいことがあります。ネットワーク監視とネットワークセキュリティ監視の違いについてです。一方はもう一方の一部といえます。
ネットワーク監視システムは、一連のソフトウェアツールで構成され、ネットワークインフラを常に監視できます。トラフィックパターン、サービスの可用性、パフォーマンス指標などの側面を監視します。
問題が発生した際には、テキスト、メール、またはSlackなどのアプリケーションを通じてネットワーク管理者に自動的に通知を送信できます。ネットワーク監視システムの導入には、次のようなメリットがあります。
プロトコルとは、ネットワーク上のデバイスが相互に通信し、データを送信するためのルールのことです。ネットワーク監視の標準的なプロトコルには、SNMPとICMPの2つがあります。
SNMPは、ネットワーク要素を管理するアプリケーション層プロトコルです。スイッチ、モデム、WLANコントローラー、ルーターなどのネットワークデバイス間で共有される管理情報を交換したり抽出したりします。この情報は、以下に基づいてネットワークのパフォーマンスを監視するために使用します。
ICMPはエラーを通知します。ネットワークデバイスで使用されるプロトコルで、要求されたサービスまたはホストが利用できないことや、宛先までの経路上にあるルーターが正しく機能していないことなどを示すエラーメッセージを送信します。
IT監視は、戦略的かつ効果的に活用することで、テクノロジーを利用してビジネスを推進するための、あらゆる種類の重要なユースケースを強化できる基本的な活動です。ここでは、小規模なソフトウェア企業から大手テクノロジー企業まで、あらゆる企業がネットワークを監視している理由をご紹介します。
監視チームを適切に展開すれば、潜在的な問題を未然に検出できるため、ユーザーに影響が及ぶ前に問題を解決できます。
たとえば、帯域幅の過負荷によりネットワーク全体が遅くなり、ビジネス運営に影響を与えそうな場合を考えてみてください。その場合でも、効率的な監視戦略を導入していれば、業務に影響が及ぶ前に、監視チームがこの問題を検出してトラブルシューティングを行うことができます。
ネットワークがダウンしてから時間が経過するほど損失が拡大します。設定ミスやトラフィックの異常な変動に対処する場合に適切なソフトウェアを使用すれば、何が起こっているのかをすばやく把握し、問題をすぐに解決できます。
複数のオペレーティングシステム、仮想化、ハイブリッドクラウド環境を活用すると、ネットワークが複雑になります。このような複雑さによって、新たな脆弱性や課題が生まれます。こうした問題に対応する上で、ネットワーク監視は以下の点で役立ちます。
システム内のハードウェアとソフトウェアツールを組み合わせることで、ITチームの手動作業を減らすことができます。これにより、スタッフは優先度が高く、組織にとって重要なプロジェクトに時間を費やせるようになります。
ネットワーク管理者は、ネットワークが最適に動作しているかどうかをリアルタイムで判断するのに必要な情報を得られます。また、監視ソフトウェアを使用して、障害を特定したり効率性を高めたりと、さまざまなことを行えます。
ネットワークトラフィックのパターンと異常を監視することで、セキュリティ侵害、不正アクセス、異常な動作を検出できます。これにより、以下のことが可能になります。
ネットワーク監視ではさまざまな課題に直面する可能性があり、それらを防ぐための適切な戦略が必要になります。ここでは、認識しておくべき問題をいくつかご紹介します。
問題が発生しても、ネットワークを適切に可視化できていなければ、トラブルシューティングで勘に頼りがちになります。問題の根本原因を探る際に見当をつけられないのは、ネットワークを十分に可視化できておらず、ネットワーク管理者が、ネットワークを構成するデバイスや接続といった全体像を把握できていないためです(オブザーバビリティがこの問題の解決策になります。オブザーバビリティの応用、またはフルスタックのオブザーバビリティと呼ばれる場合もあります)。
ネットワーク構成図を作成できる機能を備えたネットワーク監視ツールを使用して、ネットワークの全体像を視覚的に表しましょう。こうすれば、ネットワーク上のデバイスと接続を把握できるようになります。
ネットワークが拡大し、進化するにつれて、トラフィックとリソースの利用パターンも変化することがあります。それまでは普通と考えられていたことが、通用しなくなっているかもしれません。そうなると、画一的なベースラインでは適切に対処できなくなります。
履歴データや傾向を分析して効率的にベースラインを生成し、自動的に設定できる監視ツールの導入を検討しましょう。また、ベースラインの精度をテストするために、管理下で試験的な変更を加え、監視システムの応答を確認する必要もあります。
ベースラインは静的なものではありません。そのため、ネットワークの進化や利用パターンの変化に応じて、ベースラインを適応させ、改良できるよう準備しておきましょう。
ネットワークでは、毎秒膨大な量のデータが生成されます。これには次のデータが含まれます。
このような膨大な量のデータは、監視システムを圧迫し、パフォーマンスのボトルネックを引き起こします。すべてのデータが同じ重要性を持つわけではありません。関連性の高いデータポイントのみを取得するフィルタリングメカニズムを実装し、データを集約して、重要な情報を保持しながらデータ量を削減しましょう。
現代のネットワークは、相互接続された数多くのコンポーネント、デバイス、プロトコルで構成されており、その複雑さと動的な性質によって障害の特定が難しくなっています。障害を特定できないと、パフォーマンスの問題を引き起こしている原因を正確に把握することはできません。
これを解決するには、エンドツーエンドの監視を実装して、送信元から宛先までのデータフローを追跡します。そうすることで、経路上のボトルネックや障害を特定し、問題の根本原因を判断できるようになります。
ネットワーク構成図は、ネットワークコンポーネント、デバイス、インフラ要素間の関係や接続を示すものです。しかし、ネットワーク構成は複雑かつ技術的なため、解釈が難しいこともあります。
この問題を克服するには、標準的なガイドラインを確立し、記号、色、用語などを統一します。次に、論理、物理、運用など、情報を階層ごとに分けて構成図を作成します。
こうすることで、不要な情報に気を取られることなく、関連性の高い要素に目を向けることができます。
ネットワーク上では、多様なアプリケーションが運用されており、それぞれ帯域幅とリソースの要件は異なります。また、各アプリケーションのトラフィックは、時間帯、曜日、特別なイベントなどの要因によって、時間とともに変動します。
この変動性により、先を見据えて処理能力の要件を正確に予測することは困難です。そのため、過去のデータや現在の傾向のデータから将来必要な処理能力を予測できる、予測モデリングの手法を採用するとよいでしょう。これらのモデルは、将来のニーズについて計画するのに役立ちます。
データを送信する際に暗号化やセキュリティプロトコルを使うと、トラフィックが暗号化され、監視ツールで迅速にデータを検査できないことがあります。これにより、セキュリティ脅威やパフォーマンスの問題が発生していても、監視範囲が狭いために検出されない「死角」が生まれます。
この問題を解決するには、ネットワーク内の重要なポイントをすべてカバーする監視戦略を構築する必要があります。ネットワークの主要な接続点、データセンター、入口や出口に監視ツールを展開して、すべてのポイントを確実にカバーしましょう。
分散システムや分散ネットワークをサポートする場合、一元的に管理する能力に欠けるため、一貫した監視や管理の手法を実装することが困難になります。分散ネットワークでは、次のような多くのセクションにネットワークが分散しています。
ネットワーク全体を1つの画面に表示できる、一元化された監視プラットフォームを実装することで、データの統合、パフォーマンスの分析、問題の特定をより効果的に行うことができます。
ここまで読めばおそらくお気づきだと思いますが、複雑なネットワークの監視は、手動で行ったり、個別に行ったりしようとしている限り、容易なことではありません。ただし、組織のネットワーク監視を支援するソリューションは数多くあります。
そのようなアプローチのひとつとして挙げられるのが、ネットワークとシステムを個々のコンポーネントとしてではなく、すべてを統合して監視することです。これにより、各コンポーネントを個別に監視する必要がなくなります。それをお手伝いできるのが、Splunk Observabilityです。
ネットワーク監視とは、コンピューターネットワークのパフォーマンスを追跡することを指します。ビジネスの規模を問わず、ネットワークを監視して、ビジネスやユーザーの活動に影響が及ぶ前に問題を特定し、トラブルシューティングを行う必要があります。
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Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。