パーソナルコンピューターは人々の働き方や遊び方に革命を起こしましたが、今日のインターネット時代を切り拓いたのはコンピューターネットワークでした。情報、データ、コンピューターの効率性がもたらしている価値とは、コンピューターネットワークがもたらしている価値に他なりません。コンピューターネットワークが構築されたことで、コミュニケーションの方法から、働き方、買い物、学習の仕方、遊び方まで、私たちの日常生活は一変しました。
ネットワークの構成、保守、管理は、世界中の何百万人ものIT担当者にとってメインの仕事です。ネットワークに対するニーズが高まるにつれて、その業務の容易さも複雑さも増しています。今のネットワークには、より多くのトラフィックをこれまで以上に速く処理することが求められているのです。
しかし、自動化ツールと構成管理ツールを活用すれば、ネットワークのプロビジョニングや監視、トラブルシューティングが容易になり、潜在的な問題にも対応できるようになります。
この記事では、ネットワークのあらゆる側面について取り上げます。まず、ネットワーク構成の基礎とネットワーク管理者が直面するリスク、ネットワークを適切に維持することのメリット、ネットワーク運用のベストプラクティスについて説明します。さらに、ネットワークの監視と管理に目を向け、ツールやベストプラクティスについても触れたいと思います。
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まず、ネットワークとは何かを定義しておきましょう。ネットワークとは、2つ以上のシステムまたはデバイスが接続された状態を指します。大規模なネットワークは企業や政府といった組織全体を接続し、その範囲は複数の地域にまたがることもあります。
そして、ネットワーク構成とは、ネットワークのポリシー、フローの設定や制御を行うことによって、ネットワークインフラを介して通信できるようにするプロセスをいいます。つまり、ネットワーク設定の割り当て、ポリシーの作成、フローの確立、制御の実装など、コンピューターネットワーク全体の設計がネットワーク構成の対象です。
ネットワークの挙動を決定するネットワーク管理プロトコルも、ネットワーク構成の重要な要素です。また、ネットワーク構成管理ツールを使用することで、ネットワーク構成のプロセスを自動化することもできます。ネットワーク構成に関する一般的な作業には、次のようなものがあります。
よりわかりやすい例でご説明しましょう。その例とは、インターネットです。インターネットには有線のネットワークはもちろん、Wi-Fiや移動通信をはじめとする無線ネットワークなど、さまざまなネットワークを介して簡単にアクセスできます。ノートPCや携帯電話などのデバイスを使ってインターネットにアクセスできるのは、インターネットプロバイダーがネットワークを構築しているからです。
インターネットプロバイダーは、構築したネットワークを介して、ホスト(ユーザー)、ルーター、スイッチ、ゲートウェイなど、ネットワーク上のさまざまなコンポーネントにIPアドレスを割り当てることができます。インターネットプロバイダーが行っている具体的な作業には、ホストとサーバー上でのアクセスリストやソフトウェアのインストールの設定、ネットワークの制御、フロー、運用、セキュリティの設定などがあります。
単純に言えば、ネットワーク構成とは、通信ネットワークをレイアウトすることなのです。
もちろん、ネットワークはさまざまな方法、形状、形式で構成できます。ここでは、最も一般的な6種類のネットワーク構成をご紹介します。
構成の種類には、仮想プライベートネットワーク、ローカルエリアネットワーク、パーソナルエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、ストレージエリアネットワーク、エンタープライズプライベートネットワークなどがあります。
ネットワークの構成が組織の運営やIT効率と接続性、つまり、ネットワークトラフィックへの対応やセキュリティの確保、ダウンタイムの短縮、安定性の維持に不可欠であることは言うまでもありません。しかし、ネットワーク構成を軽く考えるべきではない理由は、他にもいくつかあります。
ネットワークを適切に構成することで、ネットワークシステムのオブザーバビリティ(可観測性)を実現し、可視性、トレーサビリティ、アカウンタビリティを確保できます。ネットワークデータを収集、測定、分析することを正式にはネットワークテレメトリと呼びます。
ネットワークは常に変化しているため、ネットワーク上のトラフィックフローを追跡してレポートを作成することは、その安定性を維持するために不可欠です。ネットワークを適切に構成すると、次のことが可能になります。
ネットワーク構成をおろそかにすると、ネットワーク上のソフトウェアとハードウェアがさまざまなリスクにさらされるだけでなく、エンドユーザーがネットワークをシームレスに利用できなくなります。また、こうした問題はネットワークが複雑になるほど起こりやすくなります。
まず、現在のネットワーク構成をご自身で確認してみましょう。以下のコマンドを実行すると、ネットワーク構成に関する情報(デフォルト設定など)を確認したり、ネットワークインターフェイスを設定したりできます。
ネットワーク構成管理ツールを使用している場合は、ネットワークを構成、監視、管理するための独自のインターフェイスが用意されているはずです。
設定ファイルは、ユーザー、サーバーのホスト名、インフラストラクチャ、アプリケーション、設定、パラメーター、外部サービスの認証情報などに関する情報を格納する編集可能なファイルです。このため、設定ファイルを使って次のことができます。
設定ファイルはさまざまなフォーマットで記述されますが、YAML、JSON、TOML、INIなどのフォーマットが一般的です。ネットワーク設定ファイルは/etcディレクトリにあります。ここには、/etc/hostsのような一般的な設定ファイルがいくつかあるはずです。以下は、ネットワーク設定ファイルの例です。
これらのファイルによって、ネットワーク運用の基本的なプロセスが決まります。つまり、ネットワーク運用を適切に管理するための要となるのが設定ファイルなのです。設定ファイルの定期的なバックアップ、バージョン管理、更新内容の比較は、いずれもネットワークを適切に運用、管理するのに役立ちます。このようにすることで、追跡や比較、稼動していた以前のバージョンの復元、通知の受信、有害なアクティビティの早期検出が可能になります。
ネットワーク構成は、はやりのテクノロジーではありませんが、次のような用語をよく耳にすることがあるでしょう。いずれも便利なテクノロジーです。
ネットワーク構成には試してみないとわからない側面がありますが、ネットワークの管理に役立つツールが多数提供されています。ネットワーク構成ツールは、ネットワークを管理し、可視化できるように設計されています。最終的に、トラブルシューティングや構成作業を1つの管理パネルからプロアクティブに実行できるようにすることを目指して、ツールを選びます。
ネットワークに対する完全な可視性とインサイトを提供するツールを導入するのが理想的です。
さまざまなベンダーから多種多様なネットワーク構成ツールが提供されていますが、一般的には、スクリプトシステム、ネットワーク構成管理ツール、インテントベースネットワーク構成管理の3つのカテゴリに分類されます。
ネットワークは絶えず変化しているため、ネットワークのパフォーマンスを追跡してレポートを作成することは容易ではありません。しかし、安全で安心なネットワーク運用を維持するためには不可欠な作業です。
ネットワークを適切に構成し、管理することで、次のことが可能になります。
簡単に言えば、ネットワークを適切に構成していないと、組織のニーズを満たすために必要なスピード、効率、セキュリティで運用することができません。その上、さらに深刻なリスクにつながる可能性もあります。適切に構成されていない場合には、次のようなリスクがあります。
ネットワーク構成を把握できたら、そのネットワークの監視と管理に移ります。
(ネットワーク上のすべてのデバイスを保護するのに役立つIoT監視についてはこちらをご覧ください)
ネットワーク構成の監視には、次の2つの何よりも重要な目的があります。
ネットワーク管理者やシステム管理者は監視ツールを活用して、多種多様な問題の情報をさまざまな基準で収集できます。ネットワーク構成監視で問題の発生を検知したら、管理者はネットワーク構成管理ツールを使用してその問題に対処し、修正できます。
ネットワーク監視では、主要業績評価指標を追跡しながら、ネットワークアクセス、ルーター、サーバー、デバイス、スイッチなどのすべてのネットワークコンポーネントを監視します。ネットワーク監視を行えば、稼動率を維持し、組織に大きな影響をもたらす前に重大な問題を特定して解決できます。
まず、追跡するネットワーク、デバイス、メトリクスを決めます。たいていの場合、データを生成するネットワークデバイスはどのようなものでも監視できます。一般的なネットワークパフォーマンスメトリクスでは、次のような情報を追跡します。
ネットワークのハードウェアレイヤーに加えて、ネットワークのソフトウェアレイヤーも考慮する必要があります。このレイヤーでは、DNS、SNMP、ICMPなどのネットワークプロトコルを使用して、ネットワーク環境内のネットワークデータのフローを確認します。これらすべてのレイヤーを監視すれば、確実にネットワークを健全かつ最適な状態で運用できます。
次に、ネットワークトラフィックを監視し、パフォーマンスをネイティブに分析するためのツールが1つ以上必要です。ネットワークの管理に役立つネットワーク構成ツールや管理ツールにはさまざまなものがありますが、適切なツールを選択するのは必ずしも簡単ではありません。
ネットワーク全体を可視化してインサイトを得られるツールが理想的です。具体的には、1つの管理パネルからプロアクティブに迅速なトラブルシューティング戦略を実行でき、設定の適合性を判断できるツールを導入するのがベストでしょう。
ここまで、ネットワーク構成についてあらゆる角度から見てきたところで、次は実践的なベストプラクティスと、効率を損なうことなくコストを削減するための方法を確認しましょう。
ネットワークで何が起こっているかを常に把握しておくことは、ネットワークの安全で効果的な運用を維持するための鍵となります。以下に、ネットワークを適切に運用するためのベストプラクティスをいくつかご紹介します。
ネットワーク管理は、どの組織にとっても大きなコストとなります。特に課題となるのが、ネットワークを適切に運用しながら、無駄なコストを削減することです。そこで、コストを抑えるためのヒントをいくつかご紹介します。
コンピューターネットワークのプロビジョニング、構成、構築、保守、アップグレードを適切に行うために必要なスキルと能力は、専門的かつ価値のあるものであり、この仕事に就く人材が果たさなければならない役割は、かつてないほど重要になっています。
求められる役割が一層増える中、ネットワーク担当者に必要なのは、ネットワーク運用の自動化と監視、サイバー攻撃からの保護を実現し、持てる能力を最大限に発揮して現代のデジタルエコノミーを牽引できるようにするための最適なツールです。
こちらのブログはこの英語ブログの翻訳です。
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