データ量の急速な増大に伴い、メタデータは膨大な量のデータを管理および理解するうえで不可欠な要素となりました。検索エンジン最適化からデータのセキュリティやプライバシーまで、メタデータはさまざまな業界で重要な役割を果たしています。
しかし、メタデータとは厳密にはどのようなもので、日常生活にどのような影響を与えているのでしょうか?
このブログ記事では、メタデータの世界を探索し、その種類や各分野における重要性を見てみましょう。
メタデータは「データに関するデータ」とも呼ばれており、データポイント、文書、画像などのデジタル資産のコンテキストや構造を説明するものです。メタデータは、そういった資産を効率的に整理、解釈、管理するのに役立ちます。たとえば、次のようなものです。
メタデータは、多くの業界で次のような目的で使用されています。
たとえば、効果的なメタデータ管理は、データガバナンスやメタデータリポジトリの保守に欠かせません。メタデータにはデジタル資産に関する概要情報が含まれるため、関連する情報の特定が可能になったり、リソースの検索と取得がしやすくなったりします。
また、検索エンジンはメタデータを利用して関連する検索結果を分類および表示しているため、Webサイトのランキングや人気に関してもメタデータが重要となります。
メタデータを効果的に管理することで、組織はオンラインでの自社のプレゼンスを強化でき、それが流入トラフィックの増大と認知度の拡大につながります。
デジタル資産のコンテキストや構造を伝えるという目的から、メタデータはいくつかの種類に分類できます。それぞれの種類を理解しやすいよう、ここでは説明的、構造的、管理用という3種類に大別して、それぞれについて見てみましょう。
説明的メタデータは、リソースの内容について説明します。たとえば、タイトル、作成者、キーワードなどです。説明的なメタデータがあると、ユーザーは必要なデータリソースをより効率的に見つけてアクセスできるようになるため、リソースの検索性に大きく寄与します。
たとえば、デジタル文書の場合は次のような説明的メタデータが考えられます。
検索性を高める以外にも、説明的メタデータは文書管理システム内でのバージョン管理に役立ちます。
説明的メタデータがあると、ユーザーは変更履歴の記録や確認を行ったり、文書の作成日と最終変更日を参考にしたりして、デジタル資産の効果的な特定と管理、およびコラボレーションが可能になります。
管理用のメタデータは、作成日、ファイル形式、アクセス権限など、リソースに関する情報を提供します。ガバナンス、アクセス制御、セキュリティといった、リソースの管理が主な目的です。
管理用のメタデータには、以下に関する技術的メタデータが含まれます。
管理用のメタデータを保存することで、組織は内部リソースを効率的に管理することができ、データの保存、アクセス、使用を安全かつ適切に行うことができます。さまざまな業界で、この種のメタデータはデータの完全性確保と法規制への遵守にとって重要です。
構造的メタデータとは、書籍の章や映画のシーンといった、リソースの構成に関するデータです。このデータからは、異なるデータリソース間の階層構造に関する情報がわかります。たとえば、目次、ページ番号、セクション番号などです。
この種のメタデータは、取得したデータの表示や探索を改善するうえで非常に重要です。ユーザーは、複雑なデータ構造を効果的に扱えるようになります。
デジタル文書においては、構造的メタデータを付加するうえでマークアップ言語が重要な役割を果たします。ユーザーは、段落や見出しなど文書内の各要素を区別できるようになります。メタデータを提供するマークアップ言語には、次のようなものがあります。
これらのマークアップ言語では、単語、文、段落などのテキストのまとまりをタグで囲むことで、タグで囲まれたコンテンツを識別したり、構造的メタデータを使用しやすくしたりします。
こうしたメタデータは一般に、Webスクレイピングの技術を使用してWebページから抽出されます。これは、データアナリストやデータサイエンティストがデータ収集の際によく使う手法です。経験則から言うと、Webページのスクレイピングを行うには、データを正しく抽出するためにXML形式の仕組みを理解している必要があります。
メタデータの主要な機能として、リソースの検出が挙げられます。つまり、ユーザーや検索エンジンが適切なデータとリソースを簡単に見つけられるようにすることです。
メタデータには、Webページの内容に関連する説明とキーワードが含まれています。検索エンジンはこの情報を結果に表示し、ユーザーはそれを基に、どのような操作を行うかを判断します。たとえば、HTMLのmetaタグは、検索エンジンやサイトのカテゴリ分けやランク付けに使用する重要な情報が含まれています。
メタデータには、データの整理と理解という重要な役割もあります。ユーザーはメタデータから得られるコンテキストを参考にして、デジタル資産を適切に扱い、ほかのデータ要素との関係性を理解することができます。
メタデータはほかにも、組織のポリシーや業界の基準にそってデータを適切に管理および維持するデータガバナンスにも役立ちます。
メタデータのもう1つの重要な機能が、データセキュリティです。メタデータを活用することで、以下のことが可能になります。
メタデータにアクセス権限、認証、および暗号化に関する情報を保存することで、データにアクセスおよび変更できる人を正規ユーザーに限定できます。これはデータの完全性とセキュリティの維持にもつながります。
メタデータは日常の多くの場面で使われ、さまざまなデジタル資産のコンテキストや構造を提供しています。このセクションでは、メタデータの活用例をいくつかご紹介します。
データベース管理では、構造を維持した状態でデータを保存および整理するうえで、メタデータが重要な役割を果たしています。
データベース管理システム(DBMS)は、データを格納する列名と行番号で構成されていて、コンテキストを提供するとともに、データアクセスをスムーズにしています。DBMSカタログは、身近なメタデータの一例で、データベースオブジェクトを定義する情報を格納し、データ収集に関連付けられています。ほかにも以下のような例が挙げられます。
SQLのメタデータは、データ型や各列の長さなど、データベースの構造情報を提供します。そのほか、アクセス制限、作成者、バージョン番号、タイムスタンプなど、何らかの説明的な属性が含まれる場合もあります。
データベースにおける効果的なメタデータ管理は、データの適切な保存、整理、アクセスを可能にします。これが最終的には、組織内でのデータに基づくプロセスの効率化につながります。
メタデータは、Webページに欠かせない要素です。ページ内容に関するコンテキストを検索エンジンに提供し、検索エンジンのランキングを改善し、Webのインデックス作成を支援します。メタデータは検索エンジンがWebページの内容を素早く正確に識別できるようにするので、ユーザーは適切な情報を簡単に見つけられるようになります。また、帰属や所有者を明確にすることで、Webサイトのセキュリティ強化にも役立ちます。
Webページに関するメタデータには、次のようなものがあります。
Webページ内のメタデータは、検索エンジンのランキングを改善することに加えて、ページ内に含まれるソフトウェアの言語、ツール、オブジェクトのコンテキストも提供できます。
地理空間のメタデータは、地理データに関する詳細で信頼性の高い情報を提供します。たとえば、作成日、作成者の連絡先、地図の投影法などです。この種のメタデータは、地理空間データの正確性と信頼性を確保するために非常に重要で、ユーザーによるリソースの発見やアクセスを容易にします。
データセット内の地理的なオブジェクトや属性にコンテキストを提供する以外にも、データ品質を維持するため、および機密データを確実に保護して正規ユーザーのみにアクセスを制限するためにも、地理空間のメタデータは重要な役割を果たします。
メタデータは、非代替性トークン(NFT)の価値においても大きな役割を担っています。非代替性トークンとは、売買や交換が可能なデジタル資産のことです。NFTには、名前、説明、作成年、アーティストの名前など、NFT本体に関するメタデータが含まれています。この情報はブロックチェーンネットワーク上に保存され、NFTの真正性を検証するために使用できます。
販売者と購入者にコンテキストを提供するほかにも、NFTに関するメタデータには偽造や詐欺から保護する役割もあります。これは、悪意ある人物がブロックチェーン上に保存されている検証済みの情報を改ざんするのが困難だからです。たとえば、Cardanoブロックチェーンでは、トランザクションメタデータが以下の目的で使用されています。
業界固有のメタデータ標準によって、さまざまな分野でデータ属性の説明の一貫性や構造が確保されています。これらの標準は、組織がデータの説明と共有を行う際の共通のフレームワークとなり、ユーザーはデータに簡単にアクセスしその内容を理解できるようになります。
業界固有のメタデータ標準としては、以下のような例があります。
業界固有のメタデータ標準に準拠することで、組織はデータを正確に説明し、容易に発見できるようにし、その他のシステムやツールとの互換性を高めることができます。その結果、組織はデータ管理のプロセスを合理化できるようになります。また、データ品質を改善したり、異なるプラットフォームや業界の間でデータのコラボレーションと共有を促進することもできます。
メタデータはデータセキュリティとプライバシーの世界でも活用されていて、機密情報の保護や、データリソースへの不正アクセス防止に役立っています。
たとえばメタデータは、データのアクセス権限、認証、暗号化についての情報を提供することができ、権限を持つユーザーのみがアクセスおよび編集できるようにします。組織では、メタデータリポジトリやデータカタログのようなメタデータ管理ツールを使用することで、データ資産に対する適切な管理の維持とデータプライバシー規制への準拠が容易になります。
組織はメタデータ管理について注意を払うとともに、ユーザーのプライバシー保護やデータの完全性確保のために適切な措置を講じる必要があるのです。
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