株式会社野村総合研究所DX生産革新本部、上級システムコンサルタント 山崎 崇生様より、「ニューノーマルの働き方におけるマネジメントの課題と可視化」に関する寄稿をいただきました。
新型コロナウィルスにより多くの企業がリモートワークの導入に踏み切りました。この潮流は、新型コロナウィルスが落ち着いた後も続くのではないかといわれており、「ニューノーマルの働き方」として世間に受け入れられていくものと思われます。
企業におけるリモートワーク導入直後の課題は、どうIT環境を整備するか、どうセキュリティを考えていくのかといったものがメインでしたが、それらの課題が解決しつつある中、リモートワーク中心の働き方をどうマネジメントしていくかということが新たな課題として注目されはじめています。
そこで私たちは、新たな働き方に対するマネジメントを支援するダッシュボードを作成しました。
マネージャーが感じる代表的な課題としては以下のようなものがあげられます。
これらの課題は主にノンバーバル・バーバル含めたコミュニケーションが難しくなったことに起因するものです。リモートワーク主体の働き方では、これまで以上にメンバーと積極的にコミュニケーションをとること、また、メンバー間でのコミュニケーションを推奨することが必要とされています。
そこで私たちは、コミュニケーションにかかわるログ(メール、ビデオ会議情報)を中心に、その他の働き方に関するログ(勤怠情報、Outlookの予定登録の有無、Skypeのプレゼンス情報)をSplunkに取り込み、可視化を行いました。
Splunkの採用理由は、以下の2点です。
① 事前にデータ整形が不要で、様々なログを簡単に取り込める
② 知りたいことに応じて様々なカットで分析できる
まず①についてですが、働き方に関するログは、メール、ビデオ会議、チャット等多岐にわたります。これらのログを事前に項目をそろえてクレンジングして…などとやっていたら、実際にやりたいこと(可視化・分析)に到達するまでにかなりの時間とコストがかかってしまいます。また、働き方に関するログはSaaSのログだけではなく、社内のオンプレサーバにも存在します。こういった様々な場所にある様々なログを、とりあえず取り込んで分析してみたいという状況において、非定型データを様々なやり方で取り込めるSplunkが大きな力を発揮してくれました。
次に②についてですが、世にある働き方の可視化ツールは事前に準備された分析軸に沿ったものしか可視化できないことがほとんどです。例えばビデオ会議の回数が他の部に比べ多いことが分かったとして、じゃあどんな時間帯に少ないのかとか、メールはどうなのかとかをより深く知ろうとした場合に、その分析軸が事前に用意されていなければ知ることはできません。Splunkであれば自分で分析軸をどんどん追加していくことができますので、各部の業務内容に合わせた可視化を柔軟に用意することができます。
それでは実際にSplunkで作ったダッシュボードをご覧いただきたいと思います。
現時点では「労務状況分析」「働き方分析」「メール分析」「ビデオ会議分析」の4つのダッシュボードを作成しています。
何が「良い働き方」なのかは部室(業種や職種)によって異なるため、「よい働き方ができているかどうか」といったスコアは出していません。各システムの利用傾向を全社平均、本部平均と比較することで、自分の部室メンバーの働き方が部のミッションに沿ったものになっているかどうかを部室長自身が検討できることを目標にしています。
作成したダッシュボードの一部を掲載します。
勤怠情報を元に、各部室の勤務状況や業務開始時間の推移を可視化しています。
テレワーク状況、在席時間帯、予定登録の分散状況などを可視化しています。
メール送信ログを基にメール送信数や送信時間帯の可視化を行っています。
メール同様の分析に加え、会議出席者数や会議にかけた時間の分析も行っています。
これらの作成したダッシュボードは、現在弊社のDX生産革新本部でパイロット運用を実施しています。
当ダッシュボードについて本部の各部室長に評価をヒアリングした結果、まずリモートワーク中心の働き方になってマネジメントが難しくなったかという問いには、全員が難しくなったとの回答がありました。その中で7割の部室長が、当ダッシュボードが困難になったマネジメントの手助けになると回答しています。
ダッシュボードの良い点としては、これまで推測するしかなかった自部室の働き方の特徴が可視化により明確になったこと、様々な切り口で働き方を把握できたことがあげられました。
一方改善すべき点としては、パネルの数が多すぎて何を見ればいいのかわかりづらい、個人別の情報がないので誰が実際に課題を抱えているのかがわからない、ストレスレベルや生産性の落ち込みといったビジネスに直結する指標が欲しいという意見がありました。
Splunkを活用することで、非常に短期間で各部室の働き方を可視化できるようになりました。
今後はヒアリングで出てきた改善すべき点を実装するため、異常値を示すメンバーの可視化や、各種パネルをサマリしたダッシュボードを作成していきたいと考えています。また、ストレスレベルが高い人はどんなシステムの使い方をする傾向があるかなど、人の精神状態に関する指標とシステムの利用方法の相関関係を明らかにしていきたいと考えています。
取り組みが進みましたら、またご報告させていただきます。
株式会社野村総合研究所 DX生産革新本部 デジタルワークプレイス事業三部
上級システムコンサルタント
デジタルワークプレイスに関する様々な先進的な取り組みを社内に導入、検証し、価値あるソリューションをお客様にも展開することを目標に日々活動中
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Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。