データセキュリティの重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。データ漏えい防止(DLP)は、機密情報を保護し、進化し続ける規制への準拠を徹底するための重要な要素として誕生しました。
このブログ記事では、DLPの定義、主要な構成要素、ソリューションの種類、重要性、ベストプラクティス、ツール、一般的な課題など、DLPについて知っておくべきことを解説します。
データ漏えい防止(DLP)は、データの安全性を確保するためのセキュリティソリューションです。DLPは、機密情報の悪用や不正な共有を特定して防止します。
エンドポイント検出/対応(EDR)が企業全体にセキュリティインテリジェンスと脅威検出機能を提供するのに対し、データ漏えい防止(DLP)は、転送中のデータ損失の防止に特化したEDRのコンポーネントの1つです。
DLPソリューションは、知的財産、顧客情報、財務記録の不正アクセス、悪用、紛失を防止し、コンプライアンスを確保して組織の評判を保護します。DLPの戦略の重要な要素には次のものが含まれます。
これらの要素を取り入れることで、機密データを保護し、不正なユーザーによるデータ侵害のリスクを最小限に抑えることができます。
DLPが今日のデジタル環境に不可欠である理由として、データ侵害、規制違反の高額な罰金、ブランドイメージの低下などのリスクが高まっていることが挙げられます。データ侵害は、次のようなさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
IBM社が公開している「2023年データ侵害のコストに関する調査レポート」によると、データ侵害の平均コストは445万ドルに達しています。
組織は、データ侵害による財務的な影響に加え、顧客の信頼を維持すること、そして知的財産を保護することの重要性も考慮する必要があります。
DLPソリューションには、ネットワーク、エンドポイント、クラウドという3つの種類があります。これらのソリューションはそれぞれ独自のデータ保護機能を提供し、組織固有のニーズと要件に対応します。
各ソリューションの機能とメリットを理解するため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
ネットワークDLPソリューションは、組織のネットワーク内で転送されるデータを保護するとともに、データフローを監視および制御することに重点を置いています。
このソリューションは、インターネット、イントラネット、エクストラネットなどのネットワークを通過するデータを保護することで、組織が機密情報を管理し、不正アクセスを防止できるようにします。ネットワークDLPソフトウェアを使用すると、次のようなメリットも得られます。
エンドポイントDLPソリューションは、ノートPC、デスクトップ、モバイルデバイスなどのデータアクセスや使用状況を監視、制御することで、ユーザーレベルでのデータ保護を実現します。
このソリューションは、エンドポイントデバイスからのデータ漏えいを防ぐことに重点を置いており、組織は機密情報が悪用されたり不適切に処理されないように管理できます。エンドポイントDLPソリューションは、メール、ファイルのアップロード/ダウンロード、USBストレージデバイスの使用、プリンターへのアクセスなどのデータ転送を監視することで、潜在的なデータ漏えいを検出します。
クラウドDLPソリューションは、クラウドベースのシステムに保存および処理されるデータの保護を目的としており、データ保護規制への準拠や不正アクセスの防止に役立ちます。
クラウドDLPソリューションは、一般的なクラウドベースのアプリケーション(例:Office 365、G Suite、Box、Dropboxなど)を保護します。
データやアプリケーションをクラウドに移行する組織が増えるにつれ、堅牢なクラウドDLPソリューションの重要性がますます高まっています。クラウドDLPは、クラウド上のデータに対して次の機能を提供します。
クラウドDLPソリューションを導入すれば、組織はデータ保護規制に確実に準拠しながら、クラウドに保存された機密データを保護できます。つまり、クラウドベース環境のメリットを活用しながら、データの制御も維持できるという、二重のメリットを享受できます。
DLP戦略の導入には、いくつかの重要な要素が含まれます。以下のような要素が連携してデータセキュリティの強固な基盤を構築し、機密データを確実に保護します。
それぞれの要素について知っておくべきことは次のとおりです。
DLP戦略における最初のステップは、データの特定です。組織が保有する機密データの種類とその保存場所を特定し、把握する必要があるためです。どのようなデータを保有し、どのように管理すべきかを認識するためには、このプロセスが不可欠です。
機密データを特定したら、組織はそれを保護してデータ漏えいを防ぐための適切な対策を確立できます。機密データの特定には、データ分類ラベルやタグ、コンテンツ検査、コンテキスト分析などのいくつかの方法があります。
組織は、これらのアプローチを活用してデータ環境を包括的に把握し、データ保護の取り組みに優先順位を付け、機密データを保護することで最も価値ある資産を守ることができます。
データの分類も、DLP戦略の重要な要素です。機密性とリスクレベルに基づいてデータを分類することで、適切な保護対策を適用できます。
データ漏えい防止ソフトウェアを使用して、以前に設定したデータ漏えい防止ポリシーに基づいてユーザー行動の適合性を評価すると、リスクレベルに応じてデータを分類するのに役立ちます。
監視と適用は、DLPにおいて重要な役割を担っています。DLPツールを使用して潜在的なデータ侵害、漏えい、または悪用を特定して食い止め、データ保護ポリシーを適用するためです。DLPツールは、次の目的で使用されます。
DLPツールの使用例と使用方法については、後ほど詳しく説明します。
従業員がデータ保護ポリシーを認識し、機密データの適切な管理方法をしっかりと理解できるようにするには、従業員へのトレーニングとガイダンスの提供を継続的に行うことが不可欠です。
トレーニングによって、従業員の意識とサイバー脅威インテリジェンスを向上させ、データ漏えいにつながる人的ミスのリスクを減らすことができます。さらに、従業員はデータ保護の重要性を理解し、潜在的な脅威を特定して、データ侵害を防ぐための適切な措置を講じることができるようになります。
また、従業員の間で強力なデータセキュリティの文化も育まれます。
DLPツールとソフトウェアは、データセキュリティポリシーを順守し、データ漏えいを防ぐために重要な役割を果たします。よく使われるDLPツールには、Digital Guardian DLP、Forcepoint DLP、Symantec Data Loss Preventionなどがあります。これらのツールは機密データの検出、分類、監視、保護に役立ち、データ保護の取り組みが包括的かつ効果的であることを保証します。
DLPツールとソフトウェアは、次のようなさまざまな機能を提供します。
DLP戦略を成功させるには、データ保護のさまざまな側面を反映したベストプラクティスに従う必要があります。
まず、包括的なDLPポリシーを策定し、それを組織の広範なセキュリティ戦略と連携させることが重要です。明確なポリシーフレームワークは、データ保護の取り組みに一貫性を持たせ、効果を発揮できるよう促します。
データの分類に優先順位を付けることも、データ漏えい防止のベストプラクティスの1つです。これにより、最も機密性の高いデータを特定して保護することができます。
DLPソリューションの定期的な見直しと更新も非常に重要です。定期的に見直すことで、データ漏えい防止ソリューションに追加される最新の機能を評価、テストし、導入できます。
DLPには多くのメリットがある一方、その導入においては共通の課題に直面することがよくあります。
組織はさまざまなシステムやプラットフォームのデータを識別して保護する必要があるため、データの種類や場所を管理する複雑さが課題となります。
さらに、人的ミスが依然としてデータ侵害の主な原因であるため、従業員へのトレーニングや意識向上の取り組みを継続する必要性が大きなハードルとなる場合があります。
DLPの導入で課題となるのが、データ侵害の検出における誤検知と検出漏れの可能性です。誤検知は不要なアラートやリソースの浪費につながり、検出漏れはデータ侵害が見逃されたままになる可能性があります。
このような課題を克服するために、組織は堅牢なDLPソリューションに投資し、ポリシーとプロセスを継続的に改善して、データ保護の取り組みを効果的かつ効率的なものにしていく必要があります。
結論として、データセキュリティは重要であり、DLPは組織のデータセキュリティ戦略に不可欠な要素であるといえます。組織は、監視と適用や従業員へのトレーニングなどのベストプラクティスを実施することで、データの安全性を確保できます。
堅牢なDLPツールやソリューションに投資することで、DLPの導入に伴う一般的な課題にも対処できます。さらに、組織は潜在的な脅威からデータを確実に保護するために、必要な措置を包括的に講じる必要があります。そうすることで、自社のシステムやネットワークのみならず、顧客の機密データも保護することができます。
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