今日の企業や組織にとってデータ分析は非常に重要です。作成されるデータ量が1日あたり3億2,877万テラバイトにまで増え、ほとんどの企業がそれを簡単に利用できるようになっている中で、データを効果的に分析および解釈するための効率的なツールが不可欠となっています。
この記事では、現在市場で使用されているデータ分析ツールの中から、特に優れた9つをご紹介します。
データ分析ツールとは、大量のデータを収集、クリーニング、整理、分析、解釈して、有意義なインサイトを引き出すのに役立つソフトウェアやプログラムのことです。これらのツールは、データから価値ある情報を抽出するために、次のような手法を使用します。
統計分析
機械学習アルゴリズム
データの可視化
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ここでは、特に人気のあるツールをご紹介します。
Pythonは多用途のプログラミング言語で、データ分析や科学計算に使われることがよくあります。また、pandas、NumPy、Matplotlibなど、豊富なライブラリのエコシステムを備えているため、複雑なデータの操作、分析、可視化を比較的簡単に実行できます。
Pythonは読みやすくシンプルなため、初心者とエキスパートの両方から人気が高く、データを探索してから実用的なインサイトを得るまでの間のギャップを埋める役割を担っています。データ分析におけるPythonの一般的なユースケースは、次のとおりです。
ETL (抽出、変換、ロード)プロセス:さまざまなソースからデータを抽出し、分析用にクリーニングや変換を行います。
データの可視化:有益な情報を視覚的にわかりやすく表現するグラフ、チャート、プロットを作成して、調査結果を伝えます。
機械学習:線形回帰、判定ツリー、ニューラルネットワークなどのアルゴリズムを使用して、予測モデルを構築します。
Webスクレイピング:分析やインサイト獲得のために、Webサイトからデータを抽出します。
大企業での採用の増加やオープンソースコミュニティによるサポートの充実により、データ分析におけるPythonの人気は今後も高まり続けるでしょう。
もちろん、Pythonの用途はデータ分析だけではありません。汎用性の高さで知られるPythonは、ソフトウェアやWeb開発など、データ分析以外の多くの分野でも利用されています。
ご想像のとおり、新しいツールが次々登場する中でも、Microsoft Excelは依然として、データアナリストの強力な定番ツールです。このスプレッドシートプログラムを利用すると、さまざまなデータ操作、分析、可視化が可能になります。
また、使いやすいインターフェイスを備え、ユーザーにとって身近なツールであるため、データ分析によく利用されています。ピボットテーブル、高度な関数、マクロなどの機能を備えたMicrosoft Excelは、大規模なデータセットを簡単に処理できる優れた能力を提供します。
データ分析におけるMicrosoft Excelの一般的なユースケースは、次のとおりです。
データのクリーニングと準備:組み込みの関数やマクロを使用して、分析するデータをクリーニングおよび整形します。
データの操作:データを並べ替え、フィルタリング、整理して、パターンや傾向を特定します。
統計分析:大規模なデータセットを対象に、平均値、中央値、最頻値、標準偏差など、基本的な統計値を計算します。
数式と関数:計算用の組み込み関数の広範なライブラリを備えています。
ピボットテーブル:データを効率的に要約および分析できます。
ピボットグラフ:データをさまざまな形式で可視化します。
VBAプログラミング:カスタムのマクロを作成したり、高度なデータ操作を実行したりできます。
データモデリング:Power Pivotなどの機能で大規模なデータセットを処理できます。
条件付き書式:データの傾向やパターンを簡単に強調表示できます。
アドインとインテグレーション:サードパーティのアドインで機能を拡張できます。
Microsoft Excelは企業や組織で広く利用されており、信頼性の高いデータ分析ツールとして認められています。また、Power QueryやPower BIといったMicrosoft製品とのインテグレーションにより、ダウンストリームのスムーズな分析にも優れた力を発揮します。
SQL (構造化クエリー言語)は、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の標準言語です。データベースに保存されたデータに対して、管理、操作、クエリーを効率的に実行するために使用されています。
SQLは、数あるクエリー言語の1つです。SQLの流れを汲む人気の高い言語としては、MySQL、PostgreSQL、Oracle SQLなどがあります。いくつかの違いはあるものの、ほとんどのSQL系言語は同様の構文と原則に従っています。データ分析におけるSQLの一般的なユースケースは、次のとおりです。
データのクエリー:指定した条件に基づいて、データベースから特定のデータセットを取得します。
データの操作:リレーショナルデータベース内で、データの挿入、更新、削除を行います。
データの集計:SUMやAVGなどの集計関数やGROUP BY関数を使用して、データを集計します。
データベースの管理:データベーススキーマとインデックスを作成および管理して、パフォーマンスを最適化します。
トランザクションの制御:データベーストランザクションを管理して、ACID特性(原子性、一貫性、独立性、永続性)を維持します。
セキュリティと権限:権限を詳細に設定できるシステムで、データへのアクセスを制御します。
SQLの構文とパラダイムは、ほとんどのリレーショナルデータベースシステムの基盤を形成しています。SQLのスキルセットは、データ専門家がデータを効果的に抽出、変換、ロード(ETL)するために不可欠であり、データアナリスト、データサイエンティスト、データエンジニアによって活用されています。
Microsoft Power BIは、インタラクティブな可視化機能やビジネスインテリジェンス機能を提供する優れた分析プラットフォームです。
非技術系ユーザーでも簡単に使用できる直感的なインターフェイスを備えたPower BIは、組織がデータを可視化して企業全体でインサイトを共有したり、アプリやWebサイトにデータを取り込んだりする上で、重要な役割を果たしています。
さらに、膨大な数のデータソースに接続できるため、組織の分析ワークフローの中央ハブとしても機能します。幅広いデータソースに接続できることで、データサイロ間のギャップが解消されるため、データ戦略の統一が促進されます。
Power BIは分析ツールとして、基本的なデータ操作から複雑な機械学習アプリケーションまで、さまざまな機能を備えています。また、Microsoft Fabricとのインテグレーションにより、大規模なデータセットを処理する能力が強化され、高度な分析ソリューションが提供されます。
Power BIの真の強みは、その共有機能とコラボレーション機能にあります。ダッシュボードのレポートをチームメンバーと共有することで、データに基づく議論をリアルタイムで行えるダイナミックな環境を構築できます。
(出典:Any Instructor社のPower BIダッシュボードテンプレート)
確実に言えるのは、Microsoft Power BIは単なるツールではなく、データ分析の民主化を目的とした包括的なエコシステムだということです。
Apache Sparkは、大規模なデータ処理、ストリーミング、および機械学習機能で定評のある統合分析エンジンです。そのレジリエンスの高さと分散性により、複雑なデータワークフローに対応した堅牢なソリューションを実現します。
スピードと汎用性に優れたSparkは、データサイエンス分野で定番のツールであり、ビッグデータのワークロードに対するスケーラブルな処理を可能にします。さらに、Java、Scala、Python、Rなどの複数の言語をサポートすることで、さまざまなデータ専門家に汎用性の高いプラットフォームを提供します。
シンプルなAPIと多言語のサポートにより、ユーザーは幅広い分析能力を活用できます。さらに、Sparkとのインテグレーションにより、SQLベースのシステムと同様の方法でデータに対してシームレスにクエリーを実行することができます。SQLに詳しい専門家は、使い慣れたインターフェイスのおかげで、短期間で使い方を習得できます。
データ分析におけるApache Sparkの一般的なユースケースは、次のとおりです。
データエンジニアリング:分散コンピューティング機能により、大規模なデータセットを効率的に処理します。
データ分析と機械学習:MLlibなどの機械学習ライブラリを予測分析に活用します。
リアルタイム分析:Spark Streamingを使用して、データストリームをリアルタイムで処理および分析します。
グラフ処理:GraphXを使用して、大規模なデータセットでグラフ分析を実行します。
データインテグレーション:Sparkのコネクターを使用して、HadoopやAmazon S3などのさまざまなデータソースをシームレスにインテグレーションできます。
各コンポーネントは、特定の種類のデータワークロードや分析タスクを処理するように調整されています。
そのため、Sparkは大量のデータを処理したり、高度なデータ分析手法を実現したりするための強力なツールであると言えます。また、汎用性と拡張性に優れているため、ビッグデータの処理と分析において欠かせないソリューションとなっています。
Tableauは、インタラクティブで視覚的にわかりやすいダッシュボードを作成できるデータ可視化ツールです。ドラッグアンドドロップ機能を使えば、非技術系ユーザーでも簡単にデータを可視化できます。
Tableauの主な強みは、複雑で大規模なデータセットを処理しながら、リアルタイムで分析できることです。さらに、競合製品のPower BIと異なり、TableauはTableau AIなどのイノベーションを通じてデータコミュニティの拡大するニーズに対応するなど、長年にわたって進化を続けています。Tableauの主な機能は次のとおりです。
ドラッグアンドドロップによる直感的なインターフェイス:コーディングを行うことなく、データを簡単に可視化できます。
リアルタイム分析:ライブデータソースに接続し、リアルタイムでインサイトを獲得できます。
高度な分析機能:回帰分析や予測などの高度な統計モデルを活用できます。
コラボレーションツール:Tableau Onlineを使用することで、ダッシュボードをチームメンバーと共有してリアルタイムで共同作業ができます。
多数のインテグレーション機能:Google BigQueryやアマゾン ウェブ サービス(AWS)などのクラウドサービスを含む、さまざまなデータソースやプラットフォームに接続できます。
Tableauは、その直感的なインターフェイスと高度な機能により、あらゆる規模の企業に人気のツールとなっています。
Rは、統計とデータの可視化に特化したプログラミング言語で、データ分析における汎用性と機能性が高く評価されています。
詳しいデータ分析を可能にするために、Rは統計ツールとグラフィカルツールの包括的なスイートを提供しています。また、高度なデータ操作と複雑な分析を実行できるオープンソース環境を備えており、多くの統計学者やデータサイエンティストにとって欠かせないツールとなっています。
さらに、さまざまなデータ形式と互換性があり、広範なプロット機能を備えているため、研究者や業界の専門家の間で広く推奨されています。
Rの強みの1つとして、活発なコミュニティの存在が挙げられます。このコミュニティは、コア機能を拡張する充実したパッケージを提供し、計量経済学からバイオインフォマティクスまで、あらゆる分野に取り組んでいます。よく使用されるRパッケージは、次のとおりです。
ggplot2:整った外観のグラフを作成できる強力なデータ可視化パッケージです。
dplyr:直感的な関数と構文を使用して、大規模なデータセットを効率的に操作できます。
tidyr:煩雑なデータを分析可能な形式に整えます。
caret:予測モデルのトレーニングと評価のための包括的なツールセットを提供します。
Bioconductor:バイオインフォマティクスと生物学的データ分析に利用できるパッケージのコレクションです。
Rは、その膨大なパッケージにより、統計モデリング、機械学習、テキストマイニングなど、さまざまな分析タスクに対応できる汎用性の高いツールとなっています。
Lookerはクラウドベースのデータ分析プラットフォームで、データの探索、分析、可視化を実現するエンドツーエンドのソリューションを提供します。
直感的なインターフェイスと、LookML (Looker Modeling Language)などの強力な機能のおかげで、ユーザーはコーディングを行うことなく、データモデルを定義して複雑なSQLクエリーを実行できます。
Lookerの主な機能は次のとおりです。
データの探索と検出:SQLの知識がまったくないユーザーでも、データを探索して可視化できます。
コラボレーションツール:調査結果を同僚と共有して、リアルタイムで共同作業を行うことで、データに基づく意思決定を可能にします。
一元化されたデータリポジトリ:Lookerはさまざまなデータソースに接続し、すべてのビジネスデータを1つの場所に集約します。
リアルタイム分析:ライブデータソースからリアルタイムでインサイトを獲得できます。
カスタマイズ可能なダッシュボードとレポート:ダッシュボードやレポートをLooker Studioでカスタマイズし、チームメンバーと簡単に共有できます。
Lookerは、その使いやすいインターフェイス、コラボレーション機能、および強力な機能により、データに基づく意思決定を重視する企業の間で人気の選択肢となっています。
KNIME Analytics Platformはオープンソースのデータ分析プラットフォームで、データの取り込みから予測モデルの作成やデプロイまで、データワークフローを構築するためのさまざまなコンポーネントが組み込まれています。
視覚的なインターフェイスを備えているため、非技術系のユーザーでも利用しやすくなっています。KNIMEの主な機能は次のとおりです。
ドラッグアンドドロップインターフェイス:コーディングの知識がなくても、データパイプラインやワークフローを簡単に構築できます。
さまざまなツールとのインテグレーション:さまざまなデータソース、データベース、APIに接続できます。
高度な分析機能:機械学習アルゴリズムや統計モデルなどの組み込みツールを使用して、複雑なデータ分析タスクを実行できます。
コラボレーションツール:ワークフローをチームメンバーと共有し、リアルタイムで共同作業を行えます。
コミュニティによる多くの貢献:KNIMEのコミュニティから提供される膨大なノードのライブラリにアクセスして、機能を拡張できます。
KNIMEは、モジュール式データパイプラインのコンセプトを採用することで、ユーザーが分析ワークフローを簡単に調整および拡張できるプラグアンドプレイ環境を実現しています。さらに、このツールはオープンソースであるため、プラットフォームの継続的な開発と改善が可能です。
全体的に見て、KNIME Analytics Platformは、柔軟で費用対効果が高く、カスタマイズ可能なデータ分析ツールを探している企業に最適です。
データ分析ツールの選択にあたって考慮すべき重要事項の1つは、組織の具体的なニーズを理解することです。プラットフォームにはそれぞれ独自の特徴や機能があるため、ビジネス要件だけでなく、必要となる技術的な専門知識のレベルも評価する必要があります。
Tableauは、強力な可視化機能と使いやすいインターフェイスを備えたツールを求める組織にとって、理想的な選択肢と言えるかもしれません。一方、Rは柔軟性と広範な分析能力を備えているため、統計学者やデータサイエンティストに人気の選択肢です。
Lookerは、クラウドベースのインフラストラクチャを提供し、コラボレーションに重点を置いているため、拡張性に優れた使いやすいソリューションを必要としている企業にとって、魅力的な選択肢となっています。KNIMEはオープンソースであり、モジュール式のアプローチを採用しているため、初心者ユーザーから経験豊富なデータサイエンティストまで幅広く対応できる汎用性の高い選択肢と言えます。
この記事で紹介したデータ分析ツールは、一般的に人気のあるツールのごく一部に過ぎません。組織はビジネスインサイトを獲得するために、複数のツールを組み合わせた独自のデータスタックを構築する傾向があります。
データ環境が進化するにつれて、人気がなくなるツールが出てくるかもしれません。それでも、ここで紹介したツールは、現時点で非常によく知られた製品であり、意思決定にデータを活用したいと考えているあらゆる組織にとって役立つ資産となるでしょう。
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Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。