データは今日の世界の新しい通貨と言えるでしょう。どの組織もデータとインサイトを駆使して競争優位性を獲得する必要性を認識している今日の状況では、組織のデータを管理する最高データ責任者(CDO)が極めて重要な役割を果たします。
複雑なガバナンスへの対応からデータ主導型の運営まで、今日の大手企業が推進するイニシアチブの成功の背後では、CDOが活躍しています。
そもそも、CDOの職務とはいったい何でしょうか?
このブログ記事では、CDOの主要な責任、スキル、資格、キャリアパスに加えて、今日のデータ主導型ビジネス環境でCDOが直面する課題とチャンスなど、CDOの役割に関するすべてを解説します。
それでは、CDOの役割について知っておくべきことを1つずつ見ていきましょう。
最高データ責任者(CDO)は、組織のデータ戦略を管理するシニアエグゼクティブであり、データの品質を保証し、データの分析とガバナンスによってビジネスの価値を高めていく責任を負っています。デロイト社が説明しているように、データは現代の世界において計り知れない価値を秘めている資産です。組織には、全社的なデータ戦略を策定する責任を負うシニアレベルのエグゼクティブが必要です。
CDOの役割は進化しており、組織内で重要な地位を占めるようになりました。経営幹部のすぐ下のレベルでCEOまたはCOOの直属として配置されるのが理想と言えるでしょう。CDOをそのように配置することで、経営幹部と密接に連携してデータ主導型の意思決定と戦略を推し進めることができます。
データを活用して優れた意思決定プロセスと十分な情報に基づいた戦略を実現したいと考える組織がますます増えており、それに伴いCDOの役割もかつてないほど重要になっています。CDOは、戦略的ビジネス資産としてデータの重要性が高まるのに応じて生まれた役割です。
CDOに関するある調査によれば、CDOを置くグローバル企業の割合は2022年に21%から27%に増加し、今も増加し続けています。とはいえ、27%はまだ少ないと言えます。CDOの役割はこれからもその重要性を増していくことでしょう。
組織が自らのデータ資産を効果的に管理および利用するために専任のリーダーを任命すれば、データ主導型の意思決定プロセスを活用するチャンスが数多く生まれます。
CDOの報酬は、組織の規模、業界、経験値などの要素によって大きく異なります。Salary.comによれば、CDOの給与の中央値は年間33万5,000ドルです。
このデータから、CDOが高収入であること、そしてデータ主導型のビジネスの世界においてCDOの重要性が高まっていることがわかります。
CDOの定義が明確になったところで、CDOが担う職務について興味が湧いてきたかもしれません。このセクションでは、CDOの職務についても見ていきましょう。
CDOは、以下のように、データ管理のいくつかの分野で極めて重要な役割を果たします。
重要な職務についてもっと詳しく見ていきましょう。
CDOはデータ運用を支援します。この業務には、組織全体を対象としたデータ管理プラクティスの策定が含まれます。
このプラクティスには、一貫性と安全性に優れた自動データ管理を実現するために、人、プロセス、製品が定義されます。CDOは、データ運用に関して以下の点を監督する責任を担います。
データの収集には当然、調査やインタビューなどのさまざまなソースからデータを取得することが伴います。これらのデータは貴重なビジネス資産と見なされます。効果的なデータの保存と管理は、円滑なビジネス運用に不可欠です。これは、データを安全に整理および維持すると同時に、データの検索しやすさと使いやすさに関わるためです。
データ運用で重視すべき点の1つは、利害関係者が情報に基づいて意思決定を行うのに必要なデータを確実に利用できるようにすること、つまりデータ資産のアクセシビリティです。とはいえ、データ資産のアクセシビリティを阻害しうる要素がいくつかあり、それらの要素を排除することが組織の課題となります。
CDOには、組織が信頼できる正確なデータにアクセスできるように、プロセスの設定を監督する責任もあります。データソース(内部および外部)を管理して、それらのソースの価値を最大化する戦略を構築する責任も負っています。
(データ運用の各コンポーネントがデータオブザーバビリティという大きな概念を形成します。)
CDOは、基本的な運用に加え、データの品質管理も支援します。データ品質管理とは、企業の事業部門全体にわたって、データが正確かつ完全であり、一貫性、信頼性、関連性に優れ、最新であることを保証するために設計されたさまざまなプラクティスを指します。CDOは、以下の方法でデータ品質を確保する必要があります。
(データ品質を確保するための一般的なプラクティスであるデータの正規化とETLについてもご覧ください)
CDOは、確立した優れたデータアーキテクチャを基盤として、分析によってビジネス価値を推進する役割も担っています。データ分析とは、生データを調査し、有意義で行動につながるインサイトを抽出することです。その際に、さまざまな統計手法やコンピューティング手法を使って、データセットに含まれるトレンドを特定します。
それでは、CDOはこれをどのように実現するのでしょうか?
データ分析を活用すると、意思決定の基盤となる情報の拡充、カスタマーエクスペリエンスの最適化、潜在的な機会の明確化を容易に行えるようになります。これがCDOによるビジネス価値の推進です。データ分析を通じて新しいビジネス機会を特定し、意思決定プロセスを強化するというCDOの役割は、組織の全体的な成長と成功に寄与します。
組織は自らのデータ資産のパワーを活用して、変化の激しいデジタルビジネス環境で競争力と俊敏性を確実に維持できるようになります。また、組織全体でデータを民主化することで、データ分析機能を強化し、すべてのビジネス上の課題に対する答えを導き出すデータ主導型のアプローチを構築することもできます。
規制の遵守を保証し、機密データを保護するデータのガバナンスとセキュリティも、CDOの職務に含まれる重要な項目です。CDOには以下をサポートする責任があります。
セキュリティ対策では、不正アクセスや悪意のある攻撃から組織のデータを保護します。そのためには、技術的、管理的、物理的に必要な保護手段を実装しなければなりません。適切なデータ暗号化やセキュリティシステムの定期的な監視を実施し、脆弱性や侵害を迅速に特定することもCDOの責任です。
政府機関で働くCDOは、コンプライアンスと規制を確実に実施する責任を負っています。データのセキュリティと完全性を維持するうえで、この責任は重大です。それだけでなく、CDOは、データガバナンスフレームワークの導入を監督します。HIPAA、GDPR、その他特定の業界に固有の規制要件の遵守を実現すると同時に、データの取り扱い方法に関する手順とガイドラインを確立します。
主な任務は以下のとおりです。
こうした任務をすべて果たしていけば、組織内にコンプライアンスの文化が確実に浸透します。
CDOの任務は他にもありますが、これまでに説明した事柄はCDOの役割の中核をなします。
CDOの肩書にふさわしい人間として働くには、以下の分野で専門家レベルのスキルや知識を有している必要があります。
経験と学位:データ関連分野でシニアリーダーの役割を10年以上経験したことに加え、コンピューターサイエンスや統計学など、関連する分野の学士号または修士号が求められるでしょう。
分析および問題解決能力:強力な分析能力と問題解決能力はCDOに不可欠です。データを評価し、発見した事象に基づいて決断できなければならないためです。
リーダーシップとコミュニケーションスキル:データスペシャリストのチームを巧みに指導および監督し、チームの結論と決定事項を利害関係者に明確に伝えるには、この2つのスキルが欠かせません。
データに関する専門知識:データの適切な管理、評価、保護を確実に行い、データガバナンスのポリシーとプロトコルを構築して実行するには、データの管理、分析、ガバナンスについての徹底した理解が極めて重要です。
一般的に、CDOのキャリアパスには以下の段階があります。
CDOになるための段階は固定的なものではなく、上記の段階を経ずにCDOになることも可能です。ただし、関連する役割で経験を積んでいれば、チャンスは増えるでしょう。技術とリーダーシップの両面でスキルを伸ばすことも、この役割で成功するために重要です。
スタートアップ企業で働いている場合は、CDOになるために必要なすべてのスキルセットを最初から身に着けられる可能性が高いといえます。その場合、以下のようなキャリアパスになると考えられます。
CDOは、要求されるレベルが高く新しい役割であり、課題に直面するのは当然です。ビジネスデータの管理には、非常に大きな責任が伴います。その責任を果たすには、データのガバナンス、セキュリティ、運用の複雑さに巧みに対処する必要があります。
CDOが直面する可能性のある一般的な課題は次のとおりです。
これらの課題に巧みに対処していくには、技術的な専門知識、戦略的思考、強力なリーダーシップスキルのすべてを同時に発揮する必要があります。とはいえ、CDOには以下のような目的を達成するチャンスがあります。
CDOの役割をさらに理解するために、データ管理に関係する類似した役割との相違点を見てみましょう。
最高データ責任者(CDO)は組織の全データに関して責任を負います。これには、データガバナンスフレームワークを定義し、企業のデータ資産を保護および管理することが含まれます。一方、最高分析責任者(CAO)は、分析を活用してビジネスの意思決定を推進することに責任を負います。
一般に、CAOは予測モデルの構築に重点を置き、顧客の行動を詳細に分析します。CDOはデータ管理のすべての側面を監督します。これには、データの保存、分析、アクセスが含まれます。
言い換えれば、CDOは、分析を含めたデータのあらゆる側面を管理する責任があります。これに対してCAOは、インサイトを取得して意思決定を推進するためのデータの使用についてのみ責任があります。
データ主導のビジネス環境において、CDOの役割が極めて重要なものとして注目を集めるようになりました。CDOは、組織の戦略的方向性を形作るうえで極めて重要な役割を果たします。データ運用全体にわたるその職務には、データ品質の管理、データ分析によるビジネス価値の推進、データのガバナンスとセキュリティの保証が含まれます。
データの重要性が高まるにつれ、CDOの役割はますます重要になっていきます。データの効果的な活用によってビジネスで成功を収め続けるには、CDOの役割が鍵となるのです。
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