競争に勝ち続けるためには、常につながり、データを活用することが不可欠です。コストの削減、カスタマーエクスペリエンスの向上、効率の改善を目指して、組織はプロセスのデジタル化に取り組んでおり、事実、ビジネスプロセスを1つ以上自動化した企業の割合は66%に上ります。
しかし、活用するデータの量が増えるにつれて、デジタルプロセスの追跡は複雑化し、困難になっています。デジタル化の取り組みが本当に時間とコストの削減につながっているかを確かめるには、どのようにしたらよいのでしょうか。
IT部門が果たすべき役割、それは、複雑になったITシステムを合理化し、重要なデジタルプロセスを改善することによって、価値あるサービスを提供できるようにすることです。リーダーは、ビジネスプロセスアナリティクスによって、ビジネスプロセスを指揮したり、サービスの質を維持しながら収益を向上させたりするために必要なナレッジとインサイトを得られるようになります。このブログでは、ビジネスプロセスアナリティクスについて知っておくべきこと、ビジネスプロセスアナリティクスがビジネスの改善にどのように役立つのか、テクノロジーがその中で果たす役割についてご紹介します。
ビジネスプロセスとは、ビジネス目標の達成に寄与する複雑で相互に関連するアクティビティのことです。たとえば、eコマースビジネスで顧客が注文すると、正しい商品が予定どおりに配送されるようにするための一連の手順が実行されます。注文の受領から処理、配送、フォローアップまで、正しい商品が指定されたタイミングで届くようにするには、どの手順も重要です。
こうしたプロセスを測定、監視、最適化することは、無駄をなくし、カスタマーエクスペリエンスを向上させ、効率を改善する最善の方法の1つであり、ツールとデータを使用してまさにこの測定と監視、最適化を実現するのがビジネスプロセスアナリティクスです。
ビジネスプロセスアナリティクスでは、データ、パフォーマンスメトリクス、統計的手法を使用して、ビジネスプロセスを監視、分析し、最適化します。プロセスのデータを体系的に収集、分析、解釈して、次のことを実現します。
この2つの用語は同じ意味で使用されることもありますが、ビジネスプロセスアナリティクスとビジネスプロセス分析の果たす目的は明確に異なり、機能もわずかに異なります。
ビジネスプロセス分析は、ビジネスプロセスを理解し改善するための、より手作業に近い調査アプローチです。一方、ビジネスプロセスアナリティクスは、統計的な手法と技法によってインサイトを得て、プロセスを最適化するデータドリブンのアプローチです。
不確実な経済情勢の中で、多くの企業が利益を上げ続ける方法を模索しています。実際にある調査では、CEOの91%が今後12カ月以内に景気は後退局面に入るだろうと回答しています。ビジネスプロセスの監視と分析は、コストを削減し、カスタマーエクスペリエンスを最適化して、この先も競争力を維持するための重要な方法です。
ビジネスプロセスアナリティクスには、次のような重要な利点があります。
プロセスを分析することで、業務に遅滞を招くボトルネックや無駄を見つけることができます。こうしたインサイトを得ることができれば、的を絞った改善を行うことができ、対応にかかる時間の短縮や生産性の向上につなげることができます。
ビジネスの世界では「時は金なり」と言われますが、プロセスに要している時間の測定は難しい場合があります。しかし、ビジネスプロセスアナリティクスを活用すれば、業務の各側面にかかっている時間を見積もり、それを基に特定のビジネスプロセスや顧客にかかるコストを計算できます。
プロセス内の無駄や冗長な手順を特定することで、不要なアクティビティをなくし、最終的にはコストを削減できます。また、効率を高めて業務コストの削減につなげることもできます。
プロセスの合理化と改善は、製品の品質向上、納期の短縮、顧客サービスの向上につながり、そのすべてが顧客満足度を高めます。
ビジネスプロセスアナリティクスは、経営陣の戦略的な意思決定に役立つ、証拠に基づいたインサイトをもたらします。プロセスがどのように実行されたかを正確に把握することで、ビジネス目標に沿ったデータドリブンの意思決定を行えるようになります。
プロセスを把握し、継続的に改善している企業は、変化に適応し、イノベーションを生み出して、競争優位性を獲得することができます。
組織全体のビジネスプロセスに関するリアルタイムのインサイトを獲得する上で、テクノロジーとITチームは重要な役割を果たします。ビジネスプロセスアナリティクスを推進する重要なツールには、次のようなものがあります。
ビジネスプロセスアナリティクスをさまざまな形で進化させる上で中核的な役割を担うのが、人工知能(AI)と機械学習です。
さらに、AIツールを活用して個々の顧客の行動ややり取りに基づいてプロセスをカスタマイズし、顧客満足度やロイヤルティを高めることができます。
今日のペースの速いデータドリブンのビジネス環境において、データの処理はより効率的かつリアルタイムになるとともに、その重要度を増しています。大多数の企業がクラウドに移行する中、クラウドコンピューティングはビジネスプロセスアナリティクスの主要なイネーブラーへと変貌を遂げています。クラウドコンピューティングの真価は、オンデマンドで拡張可能なコンピューティングリソースを提供し、高額なオンプレミスインフラストラクチャに投資することなく、大規模なデータセットの分析を容易にすることにあります。
ビッグデータは、ビジネスプロセスアナリティクスにおいて、分析の材料の提供という基本的な役割を果たします。デジタルビジネスの世界で企業は、ソーシャルメディアでのやり取り、顧客トランザクション、ログファイル、センサーデータなど、さまざまなソースから大量のデータを生成し、アクセスしています。こうしたデータを分析して、パターンや傾向、相関関係を明らかにすることによって、ビジネスプロセスに関する貴重なインサイトを得ることができます。
ビッグデータを適切に活用すれば、主要なビジネス活動に関してより深く詳細なインサイトを得ることができ、ボトルネックや無駄、改善すべき領域を特定できます。また、予測分析機能を強化することで、将来の傾向の予測やデータドリブンの意思決定を行えるようになります。
予測分析は、過去のデータと最新のデータに基づいて、将来起こる可能性のある事象に関する重要なインサイトを提供します。統計モデルと機械学習アルゴリズムを基盤として、将来の傾向、結果、行動を予測できます。
予測分析は、顧客の需要、プロセス障害の可能性、業務効率の傾向を予測したり、プロセスの変更がもたらす潜在的な影響を特定したりするのに役立ちます。企業はこうした情報を活用し、リソースの割り当ての最適化や顧客満足度の向上、問題の未然防止につなげたり、組織の位置付け全般に役立てたりして、より大きな成果を生み出すことができます。
ビジネスプロセスアナリティクスの導入は、慎重に計画し、いくつものステップに分けて実行する必要があります。一般的なステップは次のとおりです。
まず、ビジネスプロセスアナリティクスを導入する目標を明確にすることから始めます。次のようなビジネス全体の目標に沿った目標を定めます。
すべてのプロセスをすぐに分析する必要はありません。まずは、ビジネス目標に大きく影響するプロセスを特定することから始めます。そのプロセスは、リソースを大量に必要とする場合もあれば、カスタマーエクスペリエンスに直接影響する場合もあります。
特定したプロセスに関連するすべてのデータを収集します。各手順にかかった時間、関連するコスト、エラー率、および結果の品質に関するデータを含めます。データを正確かつ一貫して収集できる最適なツールとシステムを導入しておくことが重要です。
通常、生データを分析するには事前に準備とクリーニングが必要です。外れ値の削除、値の正規化、欠落したデータの処理などを必ず行います。
データに統計的手法と分析手法を適用して、インサイトを収集します。設定した目標によって、単純な記述分析や予測モデリングだけで済む場合もあれば、複雑な機械学習アルゴリズムを開発しなければならない場合もあります。
分析結果は、理解しやすくアクセスしやすい方法で提示します。プロセスのパフォーマンスや特に懸念される事項を明確に把握できるようにするため、ダッシュボードやレポートの作成機能を備えた視覚化ツールの使用を検討します。こうして得られた結果を活用して情報に基づいた意思決定を行い、必要なプロセス変更を実施します。
ビジネスプロセスアナリティクスは、1回限りのプロセスではありません。プロセスのパフォーマンスを継続的に監視し、フィードバックと結果に基づいて分析アプローチを改善します。ビジネス目標の変更、プロセスの変更、分析技法の改善を反映できるように、分析を繰り返し更新します。
ビジネスプロセスアナリティクスは、無駄の特定、データドリブンの意思決定、将来の結果の予測、ビジネス全体のパフォーマンスの向上に役立つ強力なツールです。AI、機械学習、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの主要なテクノロジーを活用することで、組織のプロセスに関するより深いインサイトを得て、リソースを最適化し、顧客満足度を高め、競争力を維持することができます。
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