政府機関は、すべてのプロセスにデジタル重視のアプローチを採用して業務のモダナイゼーションを進めています。これは大きな前進ですが、その過程でいくつかの重大な問題に直面しています。
まず、マルチクラウドやハイブリッドクラウドインフラへの移行によってIT環境が大規模かつ複雑になり、ITチームの負担が増大しています。また、サイバー脅威のスピード、巧妙さ、深刻さが増し続け、セキュリティチームは難しい対応を迫られています。その中で、組織全体で収集または生成するデータの量と種類がかつてないほど増え、それをどのように処理、保管、活用するかが課題になっています。さらに最近では、日常業務でのAI活用が進むとともに、技術上の課題、倫理的な配慮、コンプライアンスへのスマートな対応が求められています。
モダナイゼーションは組織の能力、スピード、任務の効果を飛躍的に高める一方で、IT運用、エンジニアリング、クラウド管理、サイバーセキュリティ業務を担うIT関連チームに大きな負担をもたらします。特に、人材不足、スキル不足が深刻化している今日の状況下ではなおさらです。
2022年の時点で、米国の行政機関ではサイバー人材が約4万人も不足していました。その後もサイバー人材の需要は増え続けています。労働統計局の予測によると、情報セキュリティアナリストの需要は2022年から2032年の10年間で32%増加し、欠員は年間で最大1万6,800人に達すると見込まれます。
IT人材の不足はすべての政府機関に影響を及ぼします。しかし、政府機関の採用プロセスは官僚的で時間がかかり、給与も民間と比べて低いことを考えると、単に採用枠を増やしても問題の解決は難しいでしょう。特に、国家の安全保障に関わる機関では、新規採用者のセキュリティクリアランスプロセスに長い時間がかかるため、簡単には人数を増やせません。
もう1つの大きな懸念は、政府職員の高齢化が進んでいることです。ベテラン職員が定年退職すると、その貴重なスキルや知識が失われることになります。2022年の時点では、米国の行政機関のサイバー人材のうち30歳未満の割合が6%を切り、約3分の1が55歳以上でした。
「定年退職者の増加、新規採用者の不足、人材の多様性の欠如、離職率の高まり、新しいスキルセットのニーズの拡大を考慮すると、今後、政府のサイバー任務の有効性とサイバー人材の長期的な安定性が著しく低下する可能性がある」と、政府機関のサイバー人材について話し合う省庁間作業部会、Federal Cyber Workforce Management and Coordinating Working Groupは警告しています。
政府機関では、スキルの高いIT人材が不足していることに加えて、ITに関する要求が高度化していることも課題になっています。米国では、最近発令された大統領令とOMB指令により、政府の全機関が、最新のサイバーセキュリティとAIに関するプラクティスおよびアプローチを速やかに導入するよう求められています。
このように急増する業務負荷と人手不足によって不均衡が生じているにもかかわらず、多くの政府機関のITチームが今でも多くの日常業務を手動で行い、スプレッドシートなどの時代遅れの方法で重要なワークロードやプロセスを管理しています。組織としてモダナイゼーションの取り組みを拡大する中で、このやり方を続けていくことは不可能です。
もちろん政府機関もこの問題への対応を進めています。積極的にスキルベース採用のアプローチを取り入れ、既存のIT人材のスキル向上と認定資格の取得に投資し、IT担当者間で業務のローテーションを組むなど、幅広い知識の構築と必要に応じた人材の共有に力を入れ始めています。しかし、これらの取り組みは一定の効果があるものの、問題の解決には到底至りません。
それでは、限られたIT人材を最大限に活用するために最も効果的な方法とは、どのようなものでしょうか。多くの民間企業や公共機関はAIと自動化を導入しています。これらのテクノロジーを活用すれば、単調で繰り返しの多い手作業を大幅に削減するか完全に排除できるため、IT担当者はサイバー運用に集中し、付加価値の高い業務に時間を充てることができます。
たとえば、政府機関の一部のサイバーチームは、SplunkのSOAR (セキュリティのオーケストレーションと自動化によるレスポンス)ソリューションを導入して、既存のセキュリティスタックを変更することなく、数百のサードパーティツールで実行される数千のサイバーアクションを自動化しています。インシデント対応の自動化率は多くのチームで最大95%にのぼります。Splunk SOARでは、データ中心のアプローチに基づき、機械学習を活用して、さまざまなツールで生成されるアラートとデータが統合されます。これにより、問題の優先順位をすばやく判断して適切な順序で対応できるため、SOCの業務効率が向上します。また、自動化プレイブックを使えば、人手で数時間かかる対応を数秒で完了することもできます。
また、Splunkのリスクベースアラート(RBA)機能を利用すれば、AIと自動化によって、問題に事後対応するのではなく先手を打てるようになります。SplunkのRBAは、SIEM (セキュリティ情報/イベント管理)の進化形と言えます。SIEMでは、個々のデータポイントやイベントに基づいてアラートが生成されるのに対して、RBAでは、AIを使って複数のデータポイントやセキュリティイベントが相関付けられ、その関係に基づいて異常な動作やコンテキストに沿ったストーリーが識別されます。Splunk独自のアプローチによってデータを相関付け、サイバーアラートを生成することで、アラートの量が大幅に減少し、忠実度と真陽性率が向上するため、アナリストは脅威ハンティングや攻撃シミュレーションに時間をかけることができます。
AIは他にもさまざまな方法でITチームを強力に支援します。たとえば、Splunk AI Assistantを使えば、サーチ処理言語(SPL)でクエリーを記述しなくても、簡単な英語でAIアシスタントとチャットしながら直感的にデータをサーチできます。そのため、SPLを知らないメンバーでも、組織内のデータをフル活用できます。
政府機関でのAI導入については考慮すべきことがたくさんあります。たとえば以下のような点です。
Splunkは、セキュリティとオブザーバビリティ市場のリーダーとして、政府機関の厳しい要件にも対応し、想定外の結果が生じるのを防ぎながらAIのメリットを享受できるよう支援します。同時に、より安全でレジリエンスが強化されたデジタル世界を作ることに全力で取り組み、責任感を持ってAI活用を推進することで、有意義な変化を生み出します。AIに関するSplunkの理念はシンプルで、以下の3つの考え方に基づいています。
政府機関のIT運用にAIを導入するとどのようなメリットがあるのか、一般的なユースケースを考えてみましょう。
これらはほんの一例にすぎません。AIを活用すれば、人材不足に苦しむ今日のIT運用チームやセキュリティチームをさまざまな方法で支援できます。
政府機関でAIを活用してITチームを支援し、セキュリティ、効率、レジリエンスを向上させる方法について詳しくは、Splunkが提供するE-book『AIと機械学習を活用したセキュリティユースケース』をご覧ください。
Splunkプラットフォームは、データを行動へとつなげる際に立ちはだかる障壁を取り除いて、オブザーバビリティチーム、IT運用チーム、セキュリティチームの能力を引き出し、組織のセキュリティ、レジリエンス(回復力)、イノベーションを強化します。
Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。