Splunkはオブザーバビリティ分野ではログやマシンデータの高度な分析が可能であるSplunk Cloud / Enterprise(以下Splunk Core)と、フロントエンドからバックエンドまでのエンド・ツー・エンドの可視化が可能なSplunk Observability Cloudを提供しています。
歴史的経緯から、エージェントとしてSplunk CoreへはUniversal Forwarder(UF)を使用しログを送信し、Splunk Observability CloudへはSplunk Distribution of OpenTelemetry Collector(OTel Collector)を使用しメトリクス、トレース、ログ(fluentdをバンドル)を送信するようになっていました。
このようにエージェントが分離されている中、Splunkでも統合の重要性は認識されており、そしてついにUFのAdd-onとしてOTel Collectorを展開できるようになりました。
Splunk Add-On for OpenTelemetry Collector(OTel Collector Add-on)
この記事では、本Add-onについて詳細に見ていきたいと思います。
OpenTelemetry CollectorとUniversal Forwarderを使用することで、オブザーバビリティにとって必要なテレメトリーデータの取得を死角なしに行えます。
Splunk Coreでログ分析を中心にされてきたお客様にとって、オブザーバビリティへの拡張を容易にできます。これによりフロントエンドやバックエンドまでトランザクションレベルでの分析をトレース、メトリクスを用いて可能になります。
また、メトリクス(CPU使用率など)をUFからログデータとして変換し、取得していた場合、メトリクスに置き換えることでパフォーマンス向上や取得間隔短縮といったメリットも得られます。
一方、OTel Collectorを既にお使いのお客様にとっては、ログ取得に一日の長のあるUFを利用できます。ログ送信の信頼性もさることながら、数多くのAdd-on(ログ取得テンプレート)により取得設定の時間短縮および自動パース処理による容易なデータ分析を享受できます。
また、Deployment Serverを使用することで、OTel Collector含む、コンフィグ配布がリモートから容易に行えることも大きなメリットです。
本Add-onとしては、UFのAdd-onとしてOTel Collectorを配布、インストールを行います。そのためアーキテクチャとしてはシンプルで、UFとOTel Collectorは引き続き個別に動作します。
基本的なアーキテクチャ
UFからはログ(テキストファイルであればなんでも)をSplunk Coreに送信します。
通常は9997/tcpでSplunk独自プロトコルで送信しますが、HTTP Proxyを通す必要があるなど、状況によってはhttpout機能によりHEC(HTTP Event Collector)によりHTTPによる送信が可能です。その場合のポートは443/tcp(Splunk Cloud)、8088/tcp(Splunk Enterprise※変更可能)です。
OTel Collectorからはメトリクス、トレースをHTTPS(443/tcp)によりSplunk Observability Cloudへ送信します。
HTTP Proxyを経由する場合
多段構成を組むこともできます。外への通信が特定ホストに制限されているシステムでは、しばしばこのような構成を取ります。
多段構成
注:OTel Collectorは開発が盛んですので使用ポートは今後変わる可能性もあります
配布方法は特に本Add-onに限って特別なことはありません。
1. Deployment Serverによる配布、2. 構成管理ツール利用、3. マニュアル配布があります。
もしDeployment Serverがあるようでしたら推奨する方法です。OTel Collectorの設定を配布できるのが最大のポイントです。
例えば、特定ホストで新規に取得したいメトリクスが増えた場合(Apache httpdメトリクスなど)、Deployment Serverから一括でコンフィグファイルを配布できます。
Deployment Serverではなく、既存の構成管理ツール(Ansibleなど)を使用している場合は、そちらでも結構です。
比較的エージェント数が少ない場合はマニュアル配布でも結構かと思います。ただし、Deployment Serverの利用は是非ご検討ください。
設定すべき項目は大きく以下になります。詳細情報はマニュアルをご参照ください。
注:本ブログ執筆中の最新バージョンであるver 1.1.0に基づきます。今後変わる可能性もあります。
本記事ではOpenTelemetry CollectorとUniversal Forwarderを統合するためのSplunk Add-On for OpenTelemetry Collectorをご紹介しました。
オブザーバビリティにはテレメトリーデータの取得、活用が必須です。本Add-onを使うことで、これまでSplunkが得意としていたログの取得に加え、OpenTelemetry Collectorによるトレース、メトリクス取得を一つのエージェントのように統合することができます。
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Splunkは、2003年に設立され、世界の21の地域で事業を展開し、7,500人以上の従業員が働くグローバル企業です。取得した特許数は1,020を超え、あらゆる環境間でデータを共有できるオープンで拡張性の高いプラットフォームを提供しています。Splunkプラットフォームを使用すれば、組織内のすべてのサービス間通信やビジネスプロセスをエンドツーエンドで可視化し、コンテキストに基づいて状況を把握できます。Splunkなら、強力なデータ基盤の構築が可能です。