犯罪が高度化していく中でちょっとした“違和感”を見つけていくためには、複数のログを相関的に見て判断できるような高度な分析が必要だと考えたのです。
概要
株式会社セブン&アイ・ホールディングスのグループ会社として、多くの利用者に安全かつ先進的な金融サービスを提供している株式会社セブン銀行。600を超える提携金融機関等のカードが利用できるATMを展開するATMプラットフォーム事業では、セブン&アイグループ内の店舗や施設だけでなく、交通・流通・観光の各拠点などグループ外へのATM設置も積極的に展開しており、2018年5月末現在で24,000台を超えるATMが国内に設置されています。また、同社独自の口座サービスを提供する決済口座事業では、インターネットやATMを通じた非対面取引によるサービスながら、普通預金や定期預金、ローンサービス、デビットサービス、海外送金サービスなど幅広い銀行サービスを提供しており、月に約17,000件の新規口座が開設されている状況です。
同社では、非対面での取引が中心となってビジネスを展開していることから、開業当初からセキュリティやリスクに対する意識を高く持っており、不正防止対策をはじめとした各種リスク対策への投資を積極的に行ってきました。その対策を実施するための中核組織となるのが、口座の不正利用対策の立案や口座開設謝絶、警察などへの捜査協力、セキュリティ対策などを手掛けている金融犯罪対策部であり、その組織内には恒常的な部門としてCSIRTも設置されています。この金融犯罪対策部が実施する不正防止対策に向けた基盤としてSplunk Cloudを導入、さまざまな情報ソースをもとに解析を行うことで、不正口座の発見から口座利用停止、口座開設謝絶といった不正対策が可能になっています。また、アナログ的な手法から脱却することで、金融犯罪への効率的な対応が可能な環境整備にSplunk Cloudが大きく貢献しています。
同社が恒常的に対応できる組織として金融犯罪対策部の中にCSIRTを立ち上げたのが2015年のことですが、これまでは預金取引のモニタリングやインターネットアクセスの監視といった個別のソリューションを導入し、金融犯罪の発見に努めてきたと7BK-CSIRT リーダー (企画部次長) 安田貴紀氏は振り返ります。「起きている事象を点でとらえることが可能な優れたソリューションではあるのですが、それだけでは監視の目をすり抜けてしまうケースも。例えば口座申込の情報は正当に見えても、一定期間の時間軸で見ると、同じマンションの階違いで毎日申し込みがある、同じ部屋で異なる氏名の人から毎月申し込みがあるなど、単一の情報だけでは不正かどうかが判断しにくい場面もあります。犯罪が高度化していく中でちょっとした“違和感”を見つけていくためには、複数のログを相関的に見て判断できるような高度な分析が必要だと考えたのです」。