AIによる現実的な何らかの影響が具体化するにつれて、組織は、人材、プロセス、テクノロジーの再考を迫られています。Splunkのエキスパートが、オブザーバビリティ領域の今後のトレンドを予測します。
Splunkの導入後は、以前よりも適切な意思決定を行い、デジタルトレンドの先を行きながら、完全忠実なオブザーバビリティを実現しています
DANA社では、分断されたリアクティブな監視方法が原因で、急速に変化するデジタル決済環境で、マイクロサービスベースの分散アプリケーションのサービス可用性を確保することが困難でした。
DANA社は、Splunkの完全忠実なオブザーバビリティ(可観測性)によってプロアクティブなトラブルシューティング、インシデント解決時間の短縮、可用性とサービス品質の向上を実現し、ビジネスレジリエンスを強化しました。
インドネシアで1億3,500万人が利用するデジタル決済プラットフォームを提供するDANA社は、国内屈指のデジタルウォレットプロバイダーです。最高のカスタマーエクスペリエンスの提供を使命とする同社は、提供するすべてのサービスの可用性と信頼性を重視しています。
ところが、DANA社の既存の監視スタックには分散トレーシングやアプリケーションパフォーマンス監視を行うための専用ツールが無く、ハイブリッドインフラとアプリケーションレイヤー全体の可視化に限界があり、状況把握の大きな妨げとなっていました。「計測できないものは改善できません。そして、計測にはオブザーバビリティが必要です」とDANA社のCTO (最高技術責任者)であるNorman Sasono氏は語ります。Sasono氏は、DANA社のテクノロジー環境にあるあらゆるディメンションとドメインから、サンプリングせずに全データを収集して監視するソリューションを探していました。
DANA社は市場で提供されているすべてのソリューションを評価して各社の売り込みを厳正に審査した結果、完全忠実なデータを収集する唯一の企業を見つけました。それがSplunkです。同社はSplunk Observability Cloudを導入し、プラットフォームを支えるシステムにプロアクティブなオブザーバビリティ戦略を採り入れて、顧客のための早期復旧とダウンタイムの最小化を実現しています。
「年間のトランザクション件数は、前年比で150%以上増加しています。どのトランザクションにも、セキュリティと信頼性の確保が必要です」とSasono氏は話します。Splunk Observability CloudにはSplunk Infrastructure Monitoring (IM)とSplunk Application Performance Monitoring (APM)が含まれており、DANA社は断片的な監視よりもはるかに優れたアプローチをとることができます。かつてはサイロ化により断片的な監視しか行えませんでしたが、今では一元化されたオブザーバビリティプラットフォームで各トランザクションの完全忠実なトレーシングが可能になりました。
Sasono氏は次のように振り返ります。「当社ではかつて、レガシーな自社開発ソリューションを含むデータ監視ツールを使用していましたが、環境全体を包括的に可視化することができず、把握できる問題が限られていました。Splunkでは当社に必要な情報を幅広く詳細に可視化できるので、中断したトランザクションの情報も取得できるようになりました」以前はパフォーマンスの問題のトラブルシューティングを行う際、アプリケーションとインフラのログを手作業で精査する必要があったため、多大な労力を要していました。サンプリングなしのオブザーバビリティアプローチを採用した今は、DANAアプリケーション経由で届くトレース、スパン、トランザクションをすべて収集して、運用全体を1つの画面で確認することができます。さらに、さまざまなディメンション間でイベントを相関付けることで、データに基づいてより適切な意思決定を行い、潜在的なリスク、脅威、脆弱性をプロアクティブに管理しています。
「Splunkのツールを導入したあと、お客様が問題に気付く前に予測して検出できるようになり、円滑なカスタマーエクスペリエンスと高品質のサービスを提供できるようになりました」とSasono氏は述べます。また、Splunkではクラウドとオンプレミスの両方のリソースを包括的に可視化し、ハイブリッドの運用環境を容易に管理できるため、DANA社はクラウド移行を俊敏に進められています。
Splunkの導入後は、以前よりも適切な意思決定を行い、デジタルトレンドの先を行きながら、完全忠実なオブザーバビリティを実現しています
「当社では、インシデントの発生時に根本原因の特定と問題解決を迅速に行い、15分で『止血する』ことを目標にしています」とSasono氏は話します。Splunk IMとSplunk APMを導入した今では、かつては数時間あるいは数日かかっていたアノマリ検出を即座に行いながら、問題の再発をプロアクティブに防いでいます。
DANA社では、カスタムインデックスタグを有効にして、ログを確認しなくてもエラーコードを把握できるようになったことで、一般的なエラーのMTTR (平均復旧時間)を70~90%短縮できました。こうして大きな成果を実感した同社は、顧客基盤の急成長に対応するため、Splunk Observabilityへの投資を約2倍に増額しました。
Splunkでは監視、トラブルシューティング、解決のためのシームレスなワークフローが実現するため、同社は人材と労力を効果的に活用しています。Sasono氏は次のように説明します。「当社ではインフラの監視に約15人を割り当てていますが、Splunkの導入後には、保険のような他のビジネスシステムの新規開発など、重要なタスクに専念できるようになりました」
パンデミックの間、インドネシアではあらゆるデジタル決済の中でもモバイルウォレットが飛躍的に普及しました。さらに、同国でのデジタルウォレットの普及率は、2025年までに東南アジアで1位になると見込まれています。Splunkのダッシュボードでより多くの関係者が自社のインフラの状態を把握できるようになったため、DANA社では、提供サービスに対するニーズの拡大に応じてシステムを拡張するのに伴い、組織全体のコラボレーションが活発になっています。
Splunkを活用することで、同社は今後もサービス品質の水準を引き上げ、イノベーションを通じて新しいビジネスチャンスを掴むことができます。「デジタルネイティブ企業である当社は、Splunkの活用でデジタルトレンドの先を行くことができます」とSasono氏は語ります。