オブザーバビリティ導入の成功への道筋を描く
行政・公共機関では、オブザーバビリティソリューションを使い始めて1年以上の組織の割合が高く、77%でした。しかし、導入後の活用や浸透という側面で後れをとっており、半数以上(54%)がビギナー組織に該当します(全業界の平均は45%)。
オブザーバビリティ関連のツールやテクノロジーに対する投資不足を感じている回答者が約3分の1 (29%)にのぼることを考えると、納得のいく結果でしょう(全業界の平均は15%)。
行政・公共機関では多くの回答者が、オブザーバビリティツールで生成される過剰なアラートを問題視しています。半数以上(51%)が「ある程度問題である」または「非常に問題である」と回答しています。また、以下のように、組織の環境をかなり可視化できていると回答した割合が低い点も課題です。
市民は、生活に不可欠な公共サービスのデジタルエクスペリエンスに民間企業のサービス並みのスピードと使いやすさを期待しています。これに対して行政・公共機関は、オブザーバビリティを実践することで、シームレスで直感的に使える効率的なサービスを提供できます。
多くの行政・公共機関はオブザーバビリティジャーニーの初期段階にあり、リーダー的組織に該当したのはわずか6%でした。
デジタルレジリエンス戦略を策定していると回答した割合が低く、17%にとどまりました。また、オブザーバビリティとセキュリティの両方の領域を担う役職を設けている組織も少なめで、42%でした。
それでも、オブザーバビリティに対する投資は大きな価値を生んでおり、年間のROI (投資利益率)は平均で2倍にのぼります。
先進的なオブザーバビリティプラクティスでは、データの標準化、可視化、管理が重視されます。それを実現する方法のひとつがOpenTelemetry (OTel)です。
現時点で、主に使用するオブザーバビリティツールにOpenTelemetryが使われていると回答した行政・公共機関は35%にとどまり、業界全体の平均である58%を大きく下回っています。
組織の縦割り化や異なるシステムの乱立が課題になりがちなこの業界では、チームやツール間での標準化の促進というメリットが、OpenTelemetryを導入したい理由の第1位に挙げられています。
行政・公共機関はOpenTelemetryのメリットを実感している
59% OpenTelemetryを導入したことで最新のフレームワークを簡単に導入できるようになったと回答した割合
プラットフォームエンジニアリングを実践している行政・公共機関は67%にとどまり、すべての業界の中で最も低い割合でした。
一方で、プラットフォームエンジニアリングを実践している行政・公共機関では組織全体での標準化が進み、特にセキュリティとコンプライアンスのコントロールやガードレールの整備については93%が効果を実感しています。プラットフォームエンジニアリングの導入には以下のメリットもあります。
オブザーバビリティツールでのAIと機械学習の活用は、すでに当たり前になっています。
しかし、行政・公共機関では活用があまり進んでいません。オブザーバビリティツールセットでAIOpsツールを活用している割合は27%で、全業界の平均である52%を大幅に下回りました。
それでも、半数(50%)の組織が、AIOpsツールのROIが期待を上回ったと回答していることは明るい兆しです。
63% データ分析で生成AIを試したことがある企業の割合
8% これらの機能を実際の業務で利用している組織の割合(全業界の中で最少)