オブザーバビリティはもはや新しいトレンドではない
金融サービス業界の回答者の半数以上(51%)が、オブザーバビリティの構築に以前から取り組んでいます。そして、その経験の長さが成果につながっています。
金融サービス業界では可視化が進み、以下を含むすべてのタイプのインフラで「可視化がかなり進んでいる」と回答した割合が高くなりました。
- 組織が所有および運用しているネットワークインフラ(53%)
- パブリッククラウドインフラ(50%)
オブザーバビリティとは、IT環境のすべての構成要素について状態を把握することではありません。実際、情報が多すぎるとIT担当者は混乱しがちです。逆に情報があることに安心して行動に結びつかないことすらあります。
金融サービス業界では多くの担当者が、オブザーバビリティツールで生成される過剰なアラートを問題視しています。半数近く(49%)が「ある程度問題である」または「非常に問題である」と回答しています。
一方で、約3分の1 (29%)が、アラートが遅れるまたは届かないために問題を検出できないことを最大の課題に挙げています。
今後、オブザーバビリティ強化の取り組みを進めることで、こうした課題を克服し、より多くの価値を実現できるでしょう。
オブザーバビリティのリーダー的組織は多大なメリットを享受しています。調査では、イノベーション、スピード、レジリエンスなど、ほぼすべての領域で大きな成果を達成しています。
金融サービス業界でオブザーバビリティのリーダー的組織に該当する企業の割合は12%にとどまり、40%がまだビギナーの段階でした。
それでも、オブザーバビリティに対する投資は大きな価値を生んでおり、年間のROI (投資利益率)は平均で2.5倍にのぼります。
テレメトリデータは、ユーザーエクスペリエンスの向上、セキュリティの確保、コンプライアンスの維持、全体的な運用の効率化に役立ちます。OpenTelemetry (OTel)フレームワークに沿ってテレメトリデータを管理すれば、オブザーバビリティプラクティスをさらに強化できます。
金融サービス業界では53%の企業が、主に使用するオブザーバビリティツールにOpenTelemetryが使われていると回答しています。また、多くの企業が、OpenTelemetryを導入した最大の理由として、チームやツール間での標準化の促進を挙げています。
金融サービス企業はOpenTelemetryのメリットを実感している
45%データに対する主導権と所有権を向上させることができると回答した割合
45% より広範なエコシステムを活用して幅広いテクノロジーを選択できると回答した割合
プラットフォームエンジニアリングは、複雑さの軽減、コラボレーションの強化、拡張性の向上に役立ちます。また、オブザーバビリティプラクティスの強化に費やす時間が増えるというメリットもあります。
調査では、回答者の約4分の3 (73%)が、プラットフォームエンジニアリングを広範囲に、または一部のプロジェクトで実践しており、さらに23%が、今後1年のうちに実践する予定だと回答しています。
プラットフォームエンジニアリングの導入には以下のメリットがあります。
オブザーバビリティツールでのAIと機械学習の活用は、すでに当たり前になっています。
調査では半数(50%)の回答者が、AIOpsの最大のメリットとして、複数の監視システムのデータを統合して可視性を向上させることができる点を挙げています。
メリットはほかにもあります。金融サービス業界では、AIOpsツールのROIが期待を上回ったと回答した割合が67%にのぼり、2023年のオブザーバビリティ調査での54%から大幅に増加しました。
金融サービス企業の99%がオブザーバビリティの取り組みで生成AIの利用を検討している
64%データ分析に生成AIを利用したことがある企業の割合
ただし、これらの機能を実際の業務で利用している企業は16%